荻窪の「丸長中華そば店」でラーメンとか。
行列にビビり通り過ぎたあの日が心残りで、並びがあっても今日は並ぶと強く意志を持ち降りる荻窪駅。南口から線路沿いにを東に3分ほど歩く角地にたたずむこの系譜の根っ子。3方に張るオレンジのテントに「丸長中華そば店」。
先頭が見えて角を曲がると10人以上の待ち人に怯む14時13分。営業は15時まで。「本日は入れ替え制で案内があるまで外でお待ちください」とドアに張られる案内に果たして食べられるのかと不安を抱えながら寒波の木枯らし舞う寒さの中とりあえず並びます。
そんな中、時折り漂う煮干の薫りに元気をもらい、澄んだ青い空を眺めて気を紛らわせていると、後ろにいつもここに通っているよな薄着のおっさんが並ぶ。うん、大丈夫、たぶん食べられると安心して亀のように縮こまり時間を過ごす。
少しすると山が動き、案内されて店内に吸い込まれる待ち人。ぐっとゴールが近づいてあと5人となる。そわそわと店内を覗きながら寒さに耐えるある意味同士。またしばらくして店内に招き入れられるも同士が入りおいらで止められる。
腰が曲がるお母さんはやさしく、もう少し待ってねと元気をくれて、本日は終了しましたと看板の案内を変えながら後ろにつく3人で終了を伝えるそろそろ15時になる頃。
再び扉が開き、あちらのテーブルに相席でと案内されて店内へ。とりあえず暖かいに心を緩めて手を摩り一息つく。眺める壁に張られるメニューには「当店自慢」のつけそばに「伝統の味」のラーメンと餃子とシューマイに支那竹と大びんと小びんのビール。
見渡す周りはほぼビールを飲んで思い思いにくつろぐ穏やかな空間。おいらも今日は飲んじゃおうと決めて、娘さんがお冷と温かなおしぼりを届けてくれるタイミングで、「大びんとシューマイ半分とラーメン」をお願いする。
まず運ばれるメンマとネギのおつまみとキリンのラガーとグラス。
一味を振りまぶしてつまむそれは柔らかなメンマと歯応えの良いネギにオイリーなタレがからむ憧れたつまみ、ぐいっと煽るラガーの苦みとともに沁みる。うん、良い午後とテレビを眺めたり厨房を眺めたりしてこの空気に浸る。
少しして届くシューマイは餡がぐるっと皮で包まれる白い梅干しのようなシューマイ。箸で割りからしを添えて醤油に付けて頬張ると、肉や玉ねぎがペーストになる餡をふわふわの皮が包む天使のような食感のとろけるシューマイ。
ひゃー、おいしい。半分でなくて4個のままにすればよかったと後悔しながらも小刻みにしてシューマイ、ネギメンマ、ビールと三角に回し浮かれます。
そして満を持してラーメン。濃い茶の汁にメンマと肉と海苔と麺を覆うあぶらの輪が光る水面のオールドスタイル。
飲むスープは柔らかな煮干にジャンクが潜む尖る濃い醤油にやさしくパンチを受ける感じ。うん、これ、いくらでも飲めるとしばらくレンゲを動かして、もともちでぷりぷりの汁を吸い少し茶色くなる弾力ある中太の麺を啜り、脂身のしあわせと旨みが詰まる肉肉しい肉を噛み千切り、柔らかなメンマを咀嚼しながら、おいしいに包まれる。
威風堂々と振る舞う腰の曲がるお父さんに感謝。おいしかったと話す高齢のご夫婦と笑顔で会話のお父さんにホッとする。まだまだ頑張ってほしいと勝手な思い。
昼から大瓶は思いのほかほろ酔いで、元気で明るいお母さんにお金を払いごちそうさまと店を出る。木枯らし吹き荒む中で40分ほど待ちありついたあわせな午後。