“フレンチスタイル”を踏襲するカフェ『café 螢明舎 八幡店』
本八幡駅から徒歩2分の場所で営業を行う『café 螢明舎 八幡店』。店主の下田さんが表参道の老舗喫茶『カフェ レ ジュ グルニエ』で修業し培った技術とスタイルを継承する“フレンチスタイルの珈琲屋”だ。そのフレンチスタイルを構成する重要な要素が豆と抽出方法、そして店内の内装である。コーヒーはフレンチローストのオールド・ビーンズを使い、フランネル(布)でハンドドリップし、専用ポットでデキャンタージュ。そうすることで、味や香りに深みが増し、トロリとした舌触りが生まれる。
そんな上質なコーヒーを、まるでフランスの住居の一室を思わせるような空間で味わう。このシックで重厚感のある雰囲気が漂うデザインは、すべて下田さんが手掛けたものだ。「『café 螢明舎』は、一杯のコーヒーをより美味しく感じていただくために設えた空間」と語る下田さん。1982年の創業以来、伝承された技術とスタイルをたゆまず維持し続ける姿は、まさに“珈琲職人”だ。
『café 螢明舎 八幡店』店舗詳細
/アクセス:JR本八幡駅から徒歩5分、地下鉄新宿線本八幡駅・京成本線京成八幡駅から徒歩3分
乾物とカフェが融合。『かんぶつとコーヒーのお店 まるに商店』
ニッケコルトンプラザ通り沿いで営業する『かんぶつとコーヒーのお店 まるに商店』は、隣で営業を行う『伊藤海苔店』の系列店。海苔用の倉庫として使われていた場所を改装し、2017年にオープンした。「長いこと海苔店として乾物を販売するだけだったんですけど、飲食店として乾物を表現するのも面白いんじゃないかと思ったんです」と、オーナーを務める4代目の伊藤信吾さんは話す。
ショップには、オーガニック原料・無添加にこだわって揃えた海苔やお出汁などの乾物から、ドライフルーツやお茶まで幅広く並ぶ。また、店内に併設されたカフェでは、この店で製造された手作りの焼菓子とこだわりのドリンクを楽しむことができる。コーヒーは、ニュージーランドに本社を置き、清澄白河にも直営店とロースターリーを構える『ALLPRESS ESPRESSO』の豆を使用。ほかにも、伊藤さんが築地で営む日本茶専門店『Matcha Stand Maruni』で扱っている自社ブランドの抹茶を使用したマッチャラテなども提供する。
『かんぶつとコーヒーのお店 まるに商店』店舗詳細
コーヒーはケーキとの相性を考えセレクト『The O.C』
JR本八幡駅南口から続く目抜き通りの一画に、アメリカ西海岸を思わせるような佇まいの『The O.C』が現れる。このカフェは、店舗設計・施工、店舗デザインを主要事業とする株式会社オービスが運営し、同社の事務所も兼ねている。「街ごと高感度へと誘う挑戦」として、アメリカ・カリフォルニアのリゾート地にありそうなケーキ屋さんをイメージしてデザインされた。
そんなこの店に並ぶのは、色とりどりのケーキや焼菓子。菓子監修をチーズケーキが名物のパティスリー『HARU』の長谷川シェフが務めていることから、チーズを使用したケーキの種類が豊富に揃う。そのお供に最適なコーヒーは、清澄白河にあるロースターカフェ『HAGAN ORGANIC COFFEE』の豆を使用。ケーキとの相性を考えセレクトされたコロンビアコーヒーは、しっかりとしたボディ感にビターチョコレートのような甘みとナッツを思わせる香ばしさが特徴だ。
『The O.C』店舗詳細
身も心もほぐすハーブティー。『MINT BLUE』
体によくてもなんとなく癖のある味と思われがちなハーブティーだが、「本来はおいしいもの」と店主の関口正風さん。まろやかに仕上げるためブレンドに使うハーブは3、4種に抑え、材料は細かくしすぎず大きく砕くか、ほぼ原形のまま用いるという。事実、飲んでみると優しい口当たりでじっくり味わいたくなる。と同時に、じわじわ効果が表れる気がして、つい「ほっ」と声が漏れる。
『MINT BLUE』店舗詳細
コーヒーと自分の時間をしみじみ味わう。『珈琲 飄々』
目玉は、店主の斉藤順さんが自ら焙煎したブラジルやタンザニアなど、7種の豆を均等な割合でブレンドしたコーヒー。愛機は手回しロースターで、「回転数や速度を自在に変えられ、日々研究です」と斉藤さん。しっかりとした苦味がありつつすっきりもして、多層的な芳しさが鼻先を舞う。ひと口ずつしみじみ味わううち、おのずと内省的になったりして。とはいえ、斉藤さんとの会話も味わい深い。「焙煎は独学。自分の好きな味をとことん追求しました」とにっこり。
『珈琲 飄々』店舗詳細
気さくな「ボンジュールさん」に会いに。『JEAN PAUL THIEBAUT』
近所の子供たちに「ボンジュールさん」と呼ばれているジャン・ポール・チェボーさん。1982年、28歳でパティシエとして来日し、『ルコント』などの名店を渡り歩いた。その後六本木で教室を開き、2017年には満を持して自宅近くに店をオープン。本格フランス菓子の技術を活かしながらも飾りすぎず、素材の持ち味を真っ直ぐに生かした、親しみやすい味わいのケーキが人気だ。
『JEAN PAUL THIEBAUT』店舗詳細
取材・文=信藤舞子、柿崎真英 撮影=金井塚太郎、柿崎真英