チーズケーキに特化したカフェ

様々な飲食店やショップが軒を連ねる本八幡南口通り。その通り沿いの一画に、アメリカ西海岸を思わせるような佇まいのカフェ『The O.C』が現れる。ウッド調のファサードに、建物のそばには背の高いヤシの木。

広いウッドデッキを越えて店内に入ると、右手側にはフィナンシェやマドレーヌなど贈答用にもぴったりな焼き菓子が数多く並ぶ。その反対に置かれたガラスケースの中には、色とりどりの生菓子。チーズケーキが名物のパティスリー『HARU』の長谷川シェフが菓子監修を務めていることから、チーズを使用したケーキの種類が豊富に揃う。

そのラインナップは、一番人気だというNYチーズケーキをはじめ、スフレフロマージュ、バスクフロマージュなど、およそ7種類。それぞれに使用するチーズを変えて、味わいに変化をつけていると、パティシエの石丸美香さんは教えてくれた。

(左から)NYチーズケーキ496円、シャインマスカットのプレミアムタルト604円、たまごのスフレフロマージュ486円。
(左から)NYチーズケーキ496円、シャインマスカットのプレミアムタルト604円、たまごのスフレフロマージュ486円。

石丸さんは、この店のオープンにあたって、長谷川シェフのもとで2年ほど修業したという。そこで培った技術や知識をベースに、定番から季節に合わせた生菓子など、オリジナルのスイーツを開発・製造している。

HAGAN COFFEE(Hot)334円。
HAGAN COFFEE(Hot)334円。

そんなスイーツと一緒に楽しみたいコーヒーには、『HAGAN ORGANIC COFFEE(へイガンオーガニックコーヒー)』の豆が使われている。コロンビアで有機栽培されたスペシャルティコーヒーの豆のみを輸入し、焙煎から販売までを一貫して行っているコーヒー店だ。その代表である芳賀さんがメニュー開発から淹れ方まで監修を務めた。ケーキとの相性にこだわりセレクトされた、深煎りで酸味のある豆を使用したコーヒーはすっきりと飲みやすい。

コーヒー豆の販売も行っている。
コーヒー豆の販売も行っている。

2021年10月現在は新型コロナウイルスの状況を鑑みて、1階販売スペース奥のカフェエリアを閉鎖中。利用可能時期は未定だが、決まり次第SNSなどを通して発表するという。それまでの間は、2階のテラス席のみがカフェ利用可能となっている。

本八幡を“街ごと高感度へと誘う挑戦”

店の脇から2階へと続く階段を上ると、開放的なテラス席が広がる。屋内には、何やらPC作業中の人の姿が見える。その正体は、この店を運営する株式会社オービスの従業員。実は、この建物はオフィスも兼ねているのだ。

株式会社オービスは、店舗設計・施工、店舗デザインを主要事業としながら、本八幡周辺で複数の飲食事業を展開している企業である。『The O.C』は、“オイシー”をコンセプトに、食を通じて同社が考えるライフスタイルデザインを地域の人に提供したいという想いのもとオープンした。店名の由来の一つにもなっている、アメリカ・カリフォルニア州の高級ビーチリゾート地オレンジカウンティ。そんなカリフォルニアのリゾート地にありそうなケーキ屋さんをイメージした外観も、本八幡の街並みには斬新なデザインだったが、「街ごと高感度へと誘う挑戦」として敢行した。

菓子やコーヒーの監修を務めてくれた他店の職人たちの力を借りながら、今では地元に愛されるカフェとして成長を遂げている同店。これからも“デザイン”を通じて、本八幡の街に新たな風を吹かせてくれるのではないかと期待せずにはいられなかった。

『The O.C』店舗詳細

住所:千葉県市川市南八幡4-17-19/営業時間:10:30~19:30/定休日:火(祝日の場合は翌日)/アクセス:JR本八幡駅・都営新宿線本八幡駅から徒歩6分、京成八幡駅から徒歩11分

取材・文・撮影=柿崎真英