未知のフルーツの蒸留酒を初体験できる専門バー『Bar Pálinka』[飯田橋]
2019年12月に開店。松沢健さんは、新宿『Ben Fiddich』、その姉妹店のフルーツブランデー専門バー『B&F』の立ち上げ店長を経て独立。「0を1にしたい」という思いのもと、文化的・歴史的背景も厚いハンガリーの蒸留酒「パーリンカ」200種を揃える専門バーとした。ストレートはもちろん、トニック割りや季節のフレッシュフルーツのカクテルでも提供。カクテルなら、パーリンカの味がわかるよう、あえてシンプルなレシピを心掛ける。夢は「ウイスキーやジン同様、パーリンカがあって当たり前の蒸留酒になることです」。
『Bar Pálinka』店舗詳細
イタリアの郷土の味を自然派ワインと共に『NODO』[牛込神楽坂]
「欧州の家族経営の小さなワイナリーが造った自然派ワインを扱っています」とオーナーソムリエの及川博登さん。ワインの種類は500以上。醸造所数は約100軒。及川さんはその多くに実際に足を運び、造り手と交流を重ねてきた。提供するのはイタリア北東部にあるフリウリ・ベネチア・ジュリア州の郷土料理。どんな人が醸したワインなのか及川さんの話を聞きながら頬張る料理はまた格別だ。
『NODO』店舗詳細
農家直送野菜と地酒をカジュアルに楽しむ空間『CHILL Kagurazaka』[神楽坂]
流行の銘柄は追わない。自分が語れない酒も置かない。知らない酒は自分で味を確かめてから出す。店主の北澤善弘さんが、自身の金科玉条で選んだ酒は60種類以上。どんな酒をどんな料理で飲みたいのかを伝えれば、おすすめを提案してくれる。ワイングラスでいただく冷酒から、燗に適した骨太な酒まで揃う日本酒党垂涎(すいぜん)の酒場だ。ちなみに店名は、“和む”、“寛ぐ”などの意味の米スラング。
『CHILL Kagurazaka』店舗詳細
広島地酒の魅力を発信する隠れ家日本酒バー『SAKEbar 古風路』[江戸川橋]
カウンターの後ろにずらりと並ぶのはすべて広島の酒。広島県内には43の酒蔵があり、そのほとんどが揃う。広島の地酒は軟水仕込みで知られ、日本三大名醸地に数えられるが、故郷の酒を飲ませてくれる店が少ないと感じた同県出身の代表・國村周平さんが、「広島の酒と酒蔵の魅力を伝えたい」と、2019年12月に開業した。酒肴も牡蠣をはじめ地元産にこだわり、着々とファンが増加中。
『SAKEbar 古風路』店舗詳細
お茶のカクテルやノンアルも充実する文化系バー『BAR 燐光』[飯田橋]
開店は、2019年4月。神楽坂『BAR 鎹(かすがい)』出身のバーテンダー、山谷頼子さんが開いた。太宰治の短編小説のタイトルにもなっている「燐光」とは、暗闇の中で頼りなく灯るおぼろげな明かりのこと。山谷さんは自身の演劇の経験を通して、舞台の目印に付けた蓄光テープに燐光を見た。「あってよかったな、くらいのバーになれば」と語るが、その存在感は強い印象を残す。カクテルは、アルコール度数が高くとも「やさしさと柔らかさ」を重視した味わい。中国茶のカクテルが多彩で、その奥深さはコアなバー好きをも納得させる。
『BAR 燐光』店舗詳細
取材・文=中島茂信、沼由美子 撮影=オカダタカオ、門馬央典