日替わりのテーマに合わせ、街の写真が毎日100件以上!

「#ちゃらぽこTwitter散歩会」のハッシュタグで投稿されているツイートは、たとえば下記のようなものだ。

たぬきの置物が大集合! 色違いの子たちが何ともかわいい……。

一服中の旅人が落とし物置き場に! なおこの銅像は、東京都世田谷区の旧大山街道沿いの「区立大山道児童遊園」(通称・いっぷく公園)にある。

ボーダーもストライプも着こなす「飛び出し坊や」。表情も一人ひとり個性があって、みんな可愛らしい。

たぬきの置物、銅像、飛び出し坊やなどは、街歩きや路上観察が好きな人はおなじみの撮影対象だが、この「#ちゃらぽこTwitter散歩会」のタグのツイートは、とにかく面白い・珍しいものが多いのだ!

調べてみると、このハッシュタグは『散歩かふぇ ちゃらぽこ』というカフェが作ったもの。このタグでは、日替わりのお題に合わせた投稿を募っていて、その試みは3月29日から毎日継続中。最近は1日平均100件を超えるツイートが集まる盛況ぶりだ。なお上の3つのツイートは、「散歩の途中で見かけたピンク」「落とし物」「おしゃれ」というお題に応じて投稿されたものだった。

上記ツイートも「おしゃれ」のお題の日の投稿。太ももの力強さがスゴい。なお場所は内房線富浦駅前のトイレだそう。投稿主は日本屈指のマンホーラー(マンホール愛好家)の方。

なぜ、これほど多くの面白い街歩きのツイートが集まるのか。そして、『散歩かふぇ ちゃらぽこ』とはどんな店なのか。実際にお店に伺って話を聞いてきた(移動は自転車で行い、撮影・インタビューは十分な距離をとったうえで実施しています)。

街道歩き好きの店主が、同好の士が集う場として開業

『散歩かふぇ ちゃらぽこ』の場所は東京都中野区。最寄り駅は丸ノ内線の東高円寺駅で、青梅街道から脇道に入ったところにある、緑色の外観がかわいいお店だった。なお「#ちゃらぽこTwitter散歩会」のハッシュタグでは、「元〇〇物件」というテーマで投稿を募った日があったが、そこに投稿されたツイートによると、この建物は元うなぎ屋物件のようだ。

そしてお店に入ると、入り口で猫がお出迎え! この猫はお店の看板猫で、名前は「たね」。小上がりの和室もある店内は、「たしかに元うなぎ屋っぽい!」という雰囲気で、本棚には散歩や街歩きに関する本が沢山あった。

看板猫のたねちゃん(2才♂)。人懐っこくて、おもちゃで遊ぶのも大好き。
小上がりの座席はこんな感じ。
街道関連の書籍は特に豊富に揃っていた。

そして店主の川島美歩さんに話を伺うことに。「散歩かふぇ」を名乗る店の店主だけあり、自身もやはり散歩好きで、特に好きなのは街道歩き。2010年に東海道を踏破した勢いで、散歩・街道歩きの情報収集&交流の場としてこの店を開業したそうだ。

自宅でも猫を2匹飼っているという川島さん。ここで店を始めたのは「場所が青梅街道沿いだから」というのが決め手になった。

「私は静岡県富士市の出身で、東海道はもともと身近な存在。『もしかしたら端から端まで歩けるかな?』と思って挑戦をしてみたのが、街道歩きを好きになるきっかけでした」

街道を踏破する達人たちが街で見かけた景色を投稿中

なお川島さんは、お店を始める以前からSNSのmixiや『街道BBS』といった掲示板で似た趣味の人たちと交流。「これだけネットで人が集まるなら、みんながリアルで集まれる場所があったら面白いかな」と思い、この店を開業したそうだ。常連客も街道好きの人が多いだけあり、「#ちゃらぽこTwitter散歩会」のハッシュタグに投稿されるツイートも、街道に関わるものが比較的目立った。

こちらは「散歩の途中で見かけたまるいもの」のテーマの日にあった投稿。干からびた道路標識のような佇まいがシュールだ。

とらぞうさんが発見した大山道沿いのスゴい家(2~3枚目はGoogleストリートビューの画像)。残念ながら現存せず!

川島さん自身もお店のアカウントからこのハッシュタグで投稿。「とりあえず、ベタに」と書いてこんな像が出てくるところがスゴい!テーマは「散歩の途中で見かけた厄よけっぽいもの」

『散歩かふぇ ちゃらぽこ』では通常の店舗営業に加え、テーマを決めた散歩会も月1~2回のペースで実施してきた。街道、川沿い、23区の各区巡りなどテーマは様々で、30人前後が集まる会もあるそうだ。

「今年の散歩会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月から中止にしていました。そんな中で、『何かみんなで一緒に歩いている感覚を楽しめる遊びがTwitterでできないかな?』と思ったのが、ハッシュタグでの投稿募集をはじめたきっかけでした」

2018年の1月に行った散歩会「23区めぐり 足立区編」のルートマップ。地図の中央には猫のマークがあるが、ここは子猫だったたねちゃんと出会った場所だった。川島さんは寒さの厳しい冬場で心配になり、すぐに近所の獣医に連れて行ったそう。
当初はお店で里親を募るつもりだったが、「情が移っちゃったのと、お客さんからも気に入られて『どこにもやらないで!』と言われるようになった」ことから、お店の看板猫に。

「#ちゃらぽこTwitter散歩会」のハッシュタグに投稿をしている人は、大半が散歩会の参加者や、お店のお客さん。その男女比は半々程度で、年齢は40~50代の人が多いそうだ。なお『散歩かふぇ ちゃらぽこ』の店内には、各街道を踏破したお客さんの写真が貼られたコーナーもあり、常連客には街道歩きや街歩きのベテランが多数。川島さんに話を伺い、お店の中も見させてもらった結果、「#ちゃらぽこTwitter散歩会」のハッシュタグに面白いツイートが大量に集まり、その撮影エリアもやたらと広い理由が分かったのだった。

こちらは「番外編 みんな撮ってる?あの写真」のテーマで投稿されたツイート。リプライには同じ場所の写真が複数寄せられていて、街道歩きの達人がこのタグには多いことが分かる。

寄り道だらけの散歩会の楽しさがハッシュタグに

なお、『散歩かふぇ ちゃらぽこ』が実施する散歩会では、ルートの途中にお寺や史跡等が数多く記されているが、それはあくまで立ち寄るポイント。「そのあいだで街の面白いものを見つけて歩くこと」が参加者の楽しみだという。

「街中で目に止まるものは人によって違うので、それにいちいち立ち止まって、互いの解説を聞きながら歩くのが楽しいんです。なかなか前に進めないんですけど(笑)。参加者からはこの店の散歩会は『散歩の発表会』『放牧状態の散歩会』みたいに言われています」

「#ちゃらぽこTwitter散歩会」のハッシュタグには、路上観察的なネタも、お硬い史跡も、ベタな観光地も、キレイな花の写真も投稿されている。街歩きの達人たちは、腕を競い合うように街の面白い写真を投稿しているが、決して参加のハードルが高いわけではない。このハッシュタグの「街の面白いものなら何でもあり」というユルさと楽しさは、お店が行ってきた散歩会の雰囲気がTwitter上で再現されたものでもあるのだ。

「猫」がテーマの日に投稿された、何とも味わい深い猫型のトイレ。かわさんぽさんの投稿は特に面白いものが多く、このハッシュタグで大活躍中だ。

「散歩の途中でみつけたなんか赤いもの」のテーマでの投稿。旧東海道の権太坂頂上にある境木地蔵尊のちび地蔵で、温かい雰囲気の伝わってくる写真。

こちらも「散歩の途中でみつけたなんか赤いもの」の投稿。こうした観光地の写真が混じっているのも楽しい。それにしてもスゴい迫力!!

「おしゃれ」の日の投稿。このツイートのような「何だかいいなぁ」と感じられる街の景色が、ジャンルを問わず集まっているのがこのタグの楽しさだ。

撮りためた写真たちが外出自粛中に大放出!

「みんなで一緒に歩いている感覚を楽しめる遊びを」という思いから始まったこのハッシュタグ。散歩好きの人たちにとっては、撮りためた写真を放出する機会にもなっている。

「みなさん休日はとにかく歩いている人たちなので、外出できない時期には、写真を見直すことが退屈しのぎにもなっているかもしれませんね。撮ったきり発表の機会のなかった写真を見せる機会にもなっていると思いますし。『工事中』というテーマで写真を募集したときも、『なんでみんな工事中の写真をこんなに撮ってるんだろう』って驚きましたから(笑)」

道路標示が作られる過程を4枚の写真でレポート。たしかに発表の機会がなさそうな写真だが、流れで見ると楽しい!

工事中の看板にいたウサギ。みんなが見過ごしている場所も、よく観察すれば面白いものが眠っている……とこのハッシュタグは教えてくれる。

「散歩中に見かけた青」の日に投稿された美しい送水口。色がテーマの日は写真の発掘のしがいがあるのか、特に盛り上がるそうだ。なおこのタグには送水口好きやマンホール好きの人たちもよく参加している。

なお『散歩かふぇ ちゃらぽこ』は、緊急事態宣言中はお店を休業していたが、5月28日から営業を再開。このハッシュタグについては、「みんなが飽きて投稿する人が減らない限り、当面は続ける予定」とのこと。現在も『散歩かふぇ ちゃらぽこ』の公式ツイッター(https://twitter.com/sanpocafe)で新しいテーマは日々発表されているので、散歩好きの人たちはぜひ投稿を。ハッシュタグでこのお店に興味を持った方は、ぜひ店舗にも足を運んでほしい!

お店は料理メニューも複数あり、カレーも名物。写真は現在提供中の夏野菜のカレー900円。食事はすべてミニサラダ・ミニスープ・コーヒーまたは紅茶付き。
こちらのオムハヤシライス980円も美味でした!
たねちゃんもお店で待ってます!
住所:東京都中野区本町6-45-1/営業時間:当面の間は11:45~17:00/定休日:水/アクセス:地下鉄丸ノ内線東高円寺駅から徒歩5分/JR・地下鉄東西線中野駅から徒歩15分

取材・文・撮影=古澤誠一郎