「春に3日の晴れなし」こまめな予報の確認を
サクラが咲きそろう季節を迎えたら、満開の花々の下で素敵な写真を撮影したいですよね。しかし、春は天気が変わりやすく、青空によく映えたサクラの写真を撮影するのは意外と難しいものです。「春に3日の晴れなし」ともいわれる理由は、春になると冬型の気圧配置が続かなくなり、日本付近を雨を降らせる低気圧が度々通過するようになるためです。
冬によく見られる西高東低の気圧配置になるとき、太平洋側の関東地方ではカラッとした晴れの天気になり、すみきった青空が広がります。しかし、春が近づいて暖かくなり始めると、大陸では低気圧が発生しやすくなります。
低気圧は上空の偏西風に流されて、数日ごとに日本付近を通ることが多くなるため、雨の降る日が増えるのです。
また、季節の変わり目は長雨になることがしばしばあります。サクラの咲く頃は、北にはまだ冬の冷たい空気が残っていて、南から入る春の暖かい空気とせめぎ合いを起こすため、前線が生まれやすいのです。前線が日本の近くに停滞すると、数日間くもりや雨の日が続き、ぐずついた天気となります。この時季の長雨は、ちょうど菜の花が見ごろを迎えることにちなんで「菜種梅雨(なたねづゆ)」と呼ばれることがあります。
さらに、低気圧や前線の影響で天気が崩れるときと強い寒気の流れ込みが重なれば、雪の降ることもあります。2020年のサクラシーズンには、花に雪が降り積もる様子が見られました。
低気圧や前線が近づくタイミングが少しずれると、天気予報も変わる可能性があります。サクラの花びらから雨粒がしたたり落ちる光景もなかなか見ごたえがありますが、青空と薄紅色のサクラのコントラストを楽しむには、こまめに天気予報を確認することをおすすめします。
夜桜散歩を楽しむには寒さ対策が必須
満開のサクラを眺めながら、のんびりと夜道を歩くのも春の散歩の楽しみの一つですが、夜桜散歩に出かけるときに気を付けたいのが「服装選び」です。天気予報を見るときは日中の気温に注目が集まりますが、夜の気温も忘れず確認してほしいです。
日中に気温が20℃を超えて春本番の陽気となるときは上着がなくても過ごせますが、春は一日の寒暖差が大きく、日が暮れてからは急に冷えることがあるため油断できません。
天気予報を確認して夜の寒さに備えて、トレンチコートやマフラー、ストールなどの準備をしておけば、快適な夜桜散歩を楽しめます。気象庁のホームページやウェザーマップなど民間気象会社の時系列予報をチェックすれば、時間ごとの気温も詳しく知ることができます。
サクラの散り始めが分かるサインとは?
つい先日、開花の便りを聞いたかと思いきや、あっという間に満開になり散ってしまうサクラ。わずかな時間にだけ楽しませてくれる儚げな美しさこそが、私たちを魅了するのかもしれませんね。「次のお休みまでサクラは散らずに待っていてくれるだろうか?」とハラハラしながら過ごす人もいるのではないでしょうか。
咲いたばかりのサクラは少しの雨では散らないものですが、低気圧が発達しながら近づき風が強まるときは急いでお花見を済ませるのがおすすめです。
また、天気予報以外にも注目してほしいのが「サクラの中心部」です。サクラの中心部は開花してからしばらく時間が経つと、次第に赤くなります。こうなると、そろそろ花が散り始めるサインだといわれているのです。こうしたサインが現れた花は、低気圧が近づき雨風が強まると、あっという間に散ってしまうかもしれません。花の見ごろを逃さないように、天気予報と一緒に花の中心部にも注目しながらお花見の計画を立ててみてください。
※ウェザーマップ サクラ開花・満開予想
https://sakura.weathermap.jp/
写真・文=片山美紀