濃厚でスッキリとした鶏白湯の旨みの秘訣は手羽先
早稲田通り沿いに立つ店は、白を基調とした外観が印象的。木の引き戸を開けて店に入ると、ウッディな内装に迎えられる。
名物は鶏白湯麺塩そば880円。乳白色のスープの上には半熟味玉やサニーレタス、糸唐辛子などが色鮮やかに盛られ、食欲をそそられる。
スープを飲むと口いっぱいに濃厚な味わいが広がるが、とろみが少なくすっと喉を通っていく。ほかの鶏白湯と何か違うと思い、店長の茂木峰(たかし)さんに伺ってみた。「当初は丸鶏を使用していましたが、現在ではメインは手羽先でスープを作っています」と秘密を聞くことができた。
手羽先には肉や脂、コラーゲンが詰まっていて、丸鶏に比べて短時間でおいしいスープが作れるという。味のキモにもなっている塩ダレは、ミネラル豊富で甘みがあり、まろやかな香りも感じられる。
スープには仕上げにエビ油を入れているので、奥行きのある味になっている。
見た目も美しいラーメン。味変とコラーゲン吸収のためにレモンをしぼる
これだけ力強いスープならば麺もすごいはず。やや縮れのある中太麺はツルツルシコシコとしていて、スープによく絡む。
シャキシャキとしたサニーレタスやふっくらとした蒸し鶏、半熟味玉など、トッピングとともにを食べ進めていくと味の変化も楽しめる。
半分ほど食べたところで、添えてあるレモンを搾ってみる。スープに力強い旨みがあるので、風味を損なわずにさっぱりと食べることができた。
レモンには「味変だけでなく、コラーゲンの吸収を高める効果もあります」と茂木さん。
極上のスープを最後まで味わうプチごはんがいい
ところでなぜ、フカヒレ専門店が鶏白湯ラーメンを作ったのか疑問を感じた。茂木さんは「『蔭山樓』のオーナー総料理長の蔭山健一が手がける料理に、フカヒレを鶏白湯で煮込んだ料理があります。この鶏白湯で麺を一緒に食べればおいしいのではないかと考えて始めたそうです」と教えてくれた。
「スープを最後まで楽しんでいただきたいのでプチごはんが付いています」と茂木さん。丼にごはんを投入し、おじや風にして最後の一滴まで味わった。
スープはもちろん、そのスープに合わせた麺だから相性も抜群。ラーメン店の鶏白湯とはひと味違うクオリティの高い鶏白湯塩そばを堪能することができた。
取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン