リレー形式で行われる埼玉県内の酉の市

埼玉県の北部に位置する行田市には、5世紀後半から7世紀初めまでにつくられた9基の大型古墳が群集する「埼玉(さきたま)古墳群」が残っていて、埼玉県名発祥の地として知られる。また小説『のぼうの城』の舞台として一躍有名になった、室町時代築城の「忍城(おしじょう)」の跡地もある。そんな歴史的スポットが点在する街で毎年12月6日に行われるのが「行田酉の市」だ。

会場となる愛宕神社の境内に立つ石碑に「明治40年(1907)起源」と記されている通り、行田の酉の市は100年以上の歴史をもつ。東京都内の酉の市はほとんどが11月に行われるのに対して、埼玉県内は12月に開催される。「県内のお酉様は、12月3日の秩父神社を皮切りに、山を下って6日に行田の愛宕神社、8日に熊谷の高城神社、10日の大宮氷川神社、12日に浦和の調(つき)神社へと移るといわれています」と教えてくれたのは酉の市実行委員会の代表・久保田聡さん。まるでバトンをつないでいくかのように、リレー形式で行われているのがユニークだ。

愛宕神社周辺が歩行者天国に!

当日は県道128号などの一部が通行止めになり、境内に縁起物の飾り熊手を売る市が立つほか、100軒近くの露店が出る。「行田の酉の市は足袋産業の発展とともに大きくなったといわれていて、近隣では唯一神主が常駐していない神社の酉の市にもかかわらず、古くから地元の人々の手により支えらえてきました。境内だけでなく周辺道路の一部を歩行者天国にして多くの参拝客でにぎわいます」(久保田さん)。

夕方になると境内がライトアップされ、熊手に飾り付けられた縁起物がきらびやかに輝き、より一層華やかな雰囲気に。熊手が売れるとあちこちで威勢のいい手締めの音も鳴り響く。さらに神社周辺の道路には露店がズラリと並び、まさにお祭りムード満載だ。

多くの露店が通り沿いに軒を連ね、屋台グルメを満喫できる。
多くの露店が通り沿いに軒を連ね、屋台グルメを満喫できる。

また、100年以上続く伝統ある酉の市の風景を子供たちにも感じてもらいたいと、地元保育園児たちによる和太鼓の演奏や、小学校の吹奏楽部による演奏といった地域ぐるみの催しも行われる。行田市の観光PRを行う「忍城おもてなし甲冑隊」も軽快なMCトークを繰り広げ、イベントを盛り上げる。

「小さいお子さんからご年配の方まで、ノスタルジックな雰囲気を楽しんでください。15時から交通規制となり、夕方には多くの参拝者が来られますので、人混みが苦手な方はぜひお早めにお越しください。」と久保田さん。防寒対策を万全にして、歴史ある行田の酉の市に出かけよう。

開運を願って華やかな熊手を購入してみては。
開運を願って華やかな熊手を購入してみては。

開催概要

「行田酉の市」

開催日:2024年12月6日(金)
開催時間:15:00~21:00(交通規制は~21:30)
会場:愛宕神社周辺(埼玉県行田市行田24-21)
アクセス:秩父鉄道行田市駅から徒歩5分

【問い合わせ先】
行田市商工観光課☎048ー580ー3012
公式HP:https://www.city.gyoda.lg.jp/kanko_bunka_sports/event/7314.html

 

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供