戦後の混乱が残る時代に始まった

東京を代表する夏祭りのひとつ「阿佐谷七夕まつり」の季節が今年もやってきた。イベントが始まったのは1954年。当時はまだ電気冷蔵庫も珍しい時代。冷暖房装置がなく客足が遠のきがちだった暑い盛りに、商店街にお客さんを呼び込みたいという思いから「阿佐谷七夕まつり」が始まった。

メインの会場となるのはJR阿佐ケ谷駅南口を出てすぐの阿佐谷パールセンター商店街。中杉通りと平行して青梅街道まで続く全長約700mの商店街で、期間中は入口の大きなくす玉飾りが目に留まる。「商店街の入口から青梅街道までくす玉飾りが約70個登場します。数が多くて、圧巻だと思いますよ」(阿佐谷商店街振興組合)。

ユニークな張りぼてがあちこちに!

そして、一番の見どころはなんといっても、アーケードからところ狭しと吊り下げられる巨大な張りぼてだ。青森のねぶたをベースに、安全面を考慮しつつ、この商店街に合うように、店主や地元の小学生らによって手作りされている。その年に流行したキャラクターや活躍した著名人などを取り入れたものが多く、見ているだけでワクワクする。忙しい商店主はいつ作っているのかを尋ねると、「仕事の合間を縫って、早い人だと1カ月前ぐらいから。他の人とかぶろうが、みなさん自分の好きなものを作っていますよ」(阿佐谷商店街振興組合)。商店街の人々も楽しんで制作している様子が目に浮かぶ。

クマを担ぐ金太郎の張りぼては2023年の作品。
クマを担ぐ金太郎の張りぼては2023年の作品。

またもうひとつの醍醐味が、商店街の各店舗による模擬店だ。ほとんどの店舗が店先に出店し、ビールをはじめとするドリンクやさまざまなフードなどを販売する。商店街のおいしいものを食べ歩きながら、頭上のユニークな張りぼてを楽しもう。

開催概要

「第68回阿佐谷七夕まつり」

開催日:2024年8月7日(水)~12日(月・休)
開催時間:10:00~22:00(店舗によって異なる)
会場:JR阿佐ケ谷駅周辺(東京都杉並区阿佐谷南)
アクセス: JR中央線阿佐ケ谷駅下車すぐ

【問い合わせ先】
阿佐谷商店街振興組合☎03-3312-6181
公式HP:http://www.asagaya.or.jp/

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供