楽器修理のプロが営む雑貨店『ボゴランマーケット』[荻窪]

本物のガゼルの角や木彫りの仮面のその迫力たるや!
本物のガゼルの角や木彫りの仮面のその迫力たるや!

鮮やかなブルーの壁の広々とした店内には、ジャンベを中心とした西アフリカの楽器やボゴランと呼ばれる泥染めの布、木彫りの人形などが並ぶ。もとは相撲部屋だったとは信じられないほど、アフリカ一色だ。一年に100件以上もの楽器修理をこなしながら店番をする店主の西森裕記(ゆきひろ)さんは、「アフリカでは小さい子からお年寄りまで物づくりをしていて、その工程を想像するのが好きなんです。今後はもっと雑貨を増やしたい」と語る。

マサイペア2970円。ケニアの10代の子どもが作った木彫りの人形。
マサイペア2970円。ケニアの10代の子どもが作った木彫りの人形。
ジャンベ大約6~7万円。小約3千円~。皮やロープは店で新たに張り替えている。
ジャンベ大約6~7万円。小約3千円~。皮やロープは店で新たに張り替えている。
カンガ2970円。スワヒリ語によるメッセージが書かれている布。
カンガ2970円。スワヒリ語によるメッセージが書かれている布。

『ボゴランマーケット』店舗詳細

住所:東京都杉並区阿佐谷南3-12-7/営業時間:12:00〜19:30/定休日:月/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩12分

日本の手しごとを身近に感じたい『art+stellas器物家』[荻窪]

母娘でお店を切り盛り。作家や作品への造詣が深く、「話しだすとお互い止まらないんです」と笑い合う。
母娘でお店を切り盛り。作家や作品への造詣が深く、「話しだすとお互い止まらないんです」と笑い合う。

仙台で23年間民芸品店を営んでいた母を継いで、2008年荻窪に店を構えた娘の武田直子さん。店を始めたきっかけは、「日本の職人と買い手の橋渡しをしたいと思ったから」だそう。東北のかごをはじめ、陶器やガラス食器など、店内には職人による手しごと品が並んでいる。「山ぶどうやあけびのかごは雪や雨にも強く、50年以上暮らしに寄り添ってくれます」と武田さん。月に一度、商品を総入れ替えして行う作家の企画展も見ものだ。

手しごと品。
手しごと品。
ガラス作品 星耕硝子 コンポート33000円、ワイングラス3850円。
ガラス作品 星耕硝子 コンポート33000円、ワイングラス3850円。
陶器作品 余宮隆 耳付スープマグ5500円。
陶器作品 余宮隆 耳付スープマグ5500円。

『art+stellas器物家』店舗詳細

住所:東京都杉並区荻窪4-25-9/営業時間:12:00~19:00/定休日:日・祝(イベントの際は日曜営業)/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩5分

紙モノ雑貨のみ。じっくりゆっくり選ぶ楽しみを『ぺぱむら』[西荻窪]

ちょっと古めの建物がお店の雰囲気とぴったり。
ちょっと古めの建物がお店の雰囲気とぴったり。

『ぺぱむら』は「ペーパーの村」という意味で、店内は紙モノの雑貨でいっぱい。文房具店で販売を担当していた姉の渡辺久美さんと、妹でグラフィックデザイナーの渡辺律子さんの姉妹で営む。じっくり丁寧に商品を見ているお客さんが多く、30分以上滞在する人もいるそう。どの客も「選ぶこと」が本当に楽しそうだったのが印象的だ。

店内は壁面やテーブルの上だけでなく、天井からも紙モノ雑貨でいっぱい。
店内は壁面やテーブルの上だけでなく、天井からも紙モノ雑貨でいっぱい。

文房具屋ではなく、あくまで「紙モノ雑貨屋」がコンセプト。バースデーカードをはじめ、用途別のカード、シール、マスキングテープ、ちょっとおもしろい飾り小物など、どれもアイデア次第で使い方は自由自在だ。姉妹のあたたかいムードが心地いい。今後はオリジナル商品も増やしていく予定だという。

きちんと並んだカード類。赤い壁面に映えてとてもかわいい。
きちんと並んだカード類。赤い壁面に映えてとてもかわいい。

『ぺぱむら』店舗詳細

住所:東京都杉並区松庵3-39-11 西荻第一斎木ビル1F/営業時間:11:00〜20:00/定休日:月・木/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩3分

店主がこだわってセレクトした、ずっと使える愛すべき道具たち『雑貨食堂 六貨』[西荻窪]

「六貨」の「6」が目印。
「六貨」の「6」が目印。

ときどき食堂と間違われるが、あくまで雑貨屋だ。食堂の日替わり定食みたいに、日々仕入れたものを並べて売っていきたい。そんな気持ちをこめてつけた店名「雑貨食堂」。そして「六貨」は、人が生きるのに必要な衣・食・住にプラスして、心地よく暮らすための、読む・創る・贈るの3つを加えた6つの要素を意味しているという。

店主セレクトの道具がずらり。手にとって確かめられる。
店主セレクトの道具がずらり。手にとって確かめられる。

店主厳選の道具は、国内外を問わずシンプルで歴史をもつものが多い。古くから使われ続けている道具はとっつきにくい反面、機能にあったデザイン性もあり、長く付き合っていけるから、と話す。

パッケージから出した状態で置いてあるので、持ってみて選べるのも特徴だ。商品に対する思いは手書きの商品説明カードにも表れているので、じっくり読んで品定めしよう。

 細かい説明が書いてあるカード。じっくり読む人も多いそう。
細かい説明が書いてあるカード。じっくり読む人も多いそう。

『雑貨食堂 六貨』店舗詳細

住所:東京都杉並区松庵3-1-11/営業時間:13:00〜18:00(土・日は〜18:30)/定休日:水・不定/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩8分

小さな世界旅行が楽しめる、不思議な雑貨のおもちゃ箱『salon+atelier polka』[西荻窪]

 もとは時計屋さんだった物件を自分たちでリフォーム。大きなガラスの引き戸がお店の顔だ。
もとは時計屋さんだった物件を自分たちでリフォーム。大きなガラスの引き戸がお店の顔だ。

タイ、ロシア、ベトナム、韓国、ウクライナ……。店主自ら買い付けた、世界各国の雑貨に出合える店。雑貨屋と美容院というふたつの顔を持っている。アンティークの使い込んだ棚に、古い本物のミシンや大きなキューピーなど、少しレトロな店内に、タイ、ベトナム、韓国などのポップな色味とウクライナやロシアなどのちょっと懐かしい色味、両方の色が混ざり合う。どこか不思議な国のおもちゃ箱に舞い込んだような感覚だ。

世界各国の古いもの、新しいものが混在する楽しさがある。
世界各国の古いもの、新しいものが混在する楽しさがある。

思ってもみない使い方や、加工をするお客さんがたくさん来るので、用途不明の商品も気に入れば仕入れる。買う人自身がおもしろいことを考えてくれるのが楽しいそう。店主自身もイラストレーターであり、オリジナルの雑貨の制作もしているので、お客さんと“ものづくりの自由さ”を分かち合う、そんな店だ。

美容室に来たお客さんのために、髪留めはかかさず仕入れる。
美容室に来たお客さんのために、髪留めはかかさず仕入れる。

『salon+atelier polka』店舗詳細

日本の暮らしになじむ北欧雑貨を『Mies』[西荻窪]

店内の雑貨の6割が北欧に関する商品。
店内の雑貨の6割が北欧に関する商品。

モノトーンの店内に、食器や掃除道具、服などが整然と陳列。ポップで色鮮やかな北欧雑貨が多く出回るなか、ここにあるのは日本の暮らしにもなじむシンプルで中性的なデザインの北欧雑貨だ。「機能的で長く使えるものを置いています。冬が長いという土地柄のせいか、暮らしが豊かになるような雑貨が北欧には多いんです」と店主の太田美保さん。太田さんのセンスを信頼して通う年配の常連客が多いというのもうなずける。

『Mies』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北3-22-5/営業時間:13:00~19:00(日は~18:00)/定休日:月・火/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩3分

虫眼鏡を覗く気分でじっくり宝探し『Loupe』[西荻窪]

壁のライムグリーンが利いた店内は上から下まで出下さんの好きな細々したものでいっぱい
壁のライムグリーンが利いた店内は上から下まで出下さんの好きな細々したものでいっぱい

「15年開いていても、いつからありました? って聞かれるんです」と笑う店主の出下厚子さん。店は奥に引っ込み気味で見つけにくい。棚にテーブルに並ぶ品々も小さなオブジェや瓶や人形など。まさにルーペで覗いて宝探ししたくなるような店だ。手作業の温もりを感じるもの、海外のアンティーク、小さい頃から好きだったという張り子や土人形などの郷土玩具も豊富。

店はマンション1階の奥にひっそり。
店はマンション1階の奥にひっそり。
障害者支援施設PoMAで作られた陶器の箸置きや皿、カップ。ユニークでダイナミック!
障害者支援施設PoMAで作られた陶器の箸置きや皿、カップ。ユニークでダイナミック!
精密な真鍮製。4180円~。
精密な真鍮製。4180円~。
カラフルな瓶蓋各198円。
カラフルな瓶蓋各198円。
香川の古いつまみ人形(鯛持えびす、奉公さん)。各770円。
香川の古いつまみ人形(鯛持えびす、奉公さん)。各770円。

『Loupe』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北3-45-8 ペルソナーレ西荻1-A/営業時間:12:00~19:00/定休日:火・日(イベント期間の月・祝は不定休)/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩7分

財布にもやさしいナチュラル系『Tipi Arbre』[西荻窪]

ガラスから日が注ぎサンルームのように明るい店内。「このお皿はアカシアの木なんです」 と西田さん。
ガラスから日が注ぎサンルームのように明るい店内。「このお皿はアカシアの木なんです」 と西田さん。

4人も入れば満員状態の14㎡の小部屋ながら、装飾品から洋服、カゴ、木の食器や陶器などの生活道具までと幅広い品がすっきり陳列。地球と人にやさしい天然素材系が多く、しかもうれしいことに千円札でも買い物が楽しめるものもある。「私が、高すぎると買えない性質なので、普段遣いできて贈り物にも選びやすいものを心がけてます」と店主の西田紗緒里さん。お手頃価格で“収穫”の喜びを!

看板は小さな木の板。店名のTipiは「家」、Arbreは「木」を表す。
看板は小さな木の板。店名のTipiは「家」、Arbreは「木」を表す。
洋服はシンプルだけどひとひねりあるものが多い。
洋服はシンプルだけどひとひねりあるものが多い。
ケニアのヤシのカゴ3850円。
ケニアのヤシのカゴ3850円。
猫の絵のコーヒー缶1100円。
猫の絵のコーヒー缶1100円。
木とシェルのピアス2200円。
木とシェルのピアス2200円。
土台付きの鉢カバー3080円。
土台付きの鉢カバー3080円。

『Tipi Arbre』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北4-1-22/営業時間:13:00~20:00(土・日・祝は~19:00)/定休日:水・不定休/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩6分

さまざまな国の手仕事に触れて旅気分『Hin plus』[西荻窪]

異国情緒漂う雰囲気の店内と、きたさん。エストニア・キフヌ島の赤い服がよく似合う。
異国情緒漂う雰囲気の店内と、きたさん。エストニア・キフヌ島の赤い服がよく似合う。

旅と雑貨と手仕事が好きなきたひろみさんが2016年に開店。“旅する雑貨屋”というテーマを掲げるだけあり、多様な国の手仕事品が所狭しと並ぶ。特に多いのはバルト三国にポーランド、ポルトガル、モロッコ、中南米などのもの。買い付けは必ず現地へ出向くという。「作り手の笑顔や思い、その場の空気感までお客様に伝えたいなと思うんです」。エキゾチックな店内で、眺めて触れてお気に入りを連れて帰れば、自分も旅した気分になれそう。

暖かそうなラトビアのミトン6000円~。
暖かそうなラトビアのミトン6000円~。
エストニア の作家もののブローチ2600円~。 独特なモチーフで細やかな遊び心も!
エストニア の作家もののブローチ2600円~。 独特なモチーフで細やかな遊び心も!
モロッコのカップ3080円。両手付き浅皿5940円。
モロッコのカップ3080円。両手付き浅皿5940円。
ラトビアの台所道具1980円~。
ラトビアの台所道具1980円~。
カザフスタンの刺繍小物1760円。
カザフスタンの刺繍小物1760円。
フリンジネックレス3万2000円。
フリンジネックレス3万2000円。

『Hin plus』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北3-3-12/営業時間:12:00~19:00/定休日:月・火(買い付けにより不定休あり)/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩3分

熱いモノガタリを通して知る魅惑の品々『あめつち』[西荻窪]

柘植さんのエプロンはインドのブロックプリントの下敷き布をリユースしたrételaさんの作品。
柘植さんのエプロンはインドのブロックプリントの下敷き布をリユースしたrételaさんの作品。

店主の柘植英則さんは説明上手。品を手に取れば次々と、その魅力や作り手の話を淀みなく教えてくれる。どんな構造? 作り方は? と好奇心をくすぐり、自分がほれ込んだものしか置かないからこその熱意と詳しさなのだ。「だから、売れるものと売れないものの差が激しくて(笑)」。西荻の作家が手がけるフィット感バツグンのルームシューズ、ぐるりと細長ポケットが囲むバケツ形のツールバッグなど、日々の生活に溶け込みやすいものの宝庫だ。

福島の陶芸家・キダサトコさんの器。
福島の陶芸家・キダサトコさんの器。
店名を表す「天」のマーク。天ぷら屋と間違えられることもあるとか。
店名を表す「天」のマーク。天ぷら屋と間違えられることもあるとか。
紙袋みたいな革トート2万900円~。
紙袋みたいな革トート2万900円~。
帆布製のツールバッグ5280円。
帆布製のツールバッグ5280円。
手作りルームシューズ3080円~。
手作りルームシューズ3080円~。
キダサトコさんのゾウの皿1650円、こけしの皿3300円。
キダサトコさんのゾウの皿1650円、こけしの皿3300円。

『あめつち』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北3-13-1 ファインテラス1F/営業時間:11:00~19:00/定休日:火/アクセス:JR中央線西荻窪駅北口から徒歩3分

出合えるのは、全国から直接集めた作家もの『tsugumi』[西荻窪]

「好きなものに囲まれてそれを商いにできるのは喜び」と山﨑さん。右上の棚は骨董コーナー。
「好きなものに囲まれてそれを商いにできるのは喜び」と山﨑さん。右上の棚は骨董コーナー。

好きなブリキ玩具を求め西荻の骨董屋に通ううち、親しんだこの地で雑貨店を開くことになった山﨑康之さん。こだわるのは、陶磁器、木工、布ものなど、すべて日本のもの。全国の作家の工房や個展を訪ね、直接買い付けるので一点物も多い。木や陶器、金属など異なる材質のブローチの品ぞろえも楽しめる。「月1回の西荻手しごと市にも行くんです。センスのいい作品があると置かせてもらっています」。地元の若き才能も応援しているのだ。

沖縄芸大大学院生のすずきまことさんの楽しげな器。ポット1万450円。
沖縄芸大大学院生のすずきまことさんの楽しげな器。ポット1万450円。
木工くま吉さんの木彫人形4400円~。
木工くま吉さんの木彫人形4400円~。
UME SHISO 工房のアザラシ皿 2200円。
UME SHISO 工房のアザラシ皿 2200円。
真鍮とエナメルのブローチ6696円~。
真鍮とエナメルのブローチ6696円~。
fabrica ukaの鍋つかみ2970円。
fabrica ukaの鍋つかみ2970円。
西荻の造形作家による時計 7700円。
西荻の造形作家による時計 7700円。
陶器のマッチ箱3300円~。
陶器のマッチ箱3300円~。

『tsugumi』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南3-7-7 西荻日伸ハイツ104/営業時間:12:00~20:00(土・日・祝は11:00~)/定休日:無/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩3分

「サラリーマン時代より今のほうが充実してます」『天草製作所』[西荻窪]

木型に革を沿わせ、釘で固定していく吊りこみと呼ばれる作業。靴の製作には100を超える工程があるが、その中でも特に重要な作業だ。
木型に革を沿わせ、釘で固定していく吊りこみと呼ばれる作業。靴の製作には100を超える工程があるが、その中でも特に重要な作業だ。

実は、以前は広告代理店に勤めていた西森真二さん。39歳のとき仕事を続けることに疑問を抱き「人生を足元から見直そう」と決意し、路上靴磨きに転身した。「お客さんから靴について質問されるうちに、きちんと靴づくりを学びたいという気持ちが芽生え、一から勉強しました」と西森さん。その後わずか数年で故郷の名を冠したお店まで持ってしまったのだから、すごい勇気と行動力だ。「根っからの夢想家」という西森さんがデザインした靴はどれも個性的。「履いていて楽しくなる靴を」という思いが伝わってくる。

オーダー靴は、子どもから大人用まで。メンズのオーダー靴は27万5000円〜。
オーダー靴は、子どもから大人用まで。メンズのオーダー靴は27万5000円〜。
靴づくりのほか、靴や鞄の修理にも定評あり。その工程で欠かせない工具がずらり。
靴づくりのほか、靴や鞄の修理にも定評あり。その工程で欠かせない工具がずらり。
カップホルダー(S)2200円。見た目も機能性も抜群の人気商品。
カップホルダー(S)2200円。見た目も機能性も抜群の人気商品。
西森さんの個性が光るパッチワーク風のデザインもオーダー可能。
西森さんの個性が光るパッチワーク風のデザインもオーダー可能。

『天草製作所』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南2-7-5 1F/営業時間:平日11:00~20:00、土日祝10:00~19:00 /定休日:水/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩6分

敷居の低い古時計指南の頼れる本格派『トライフル』[西荻窪]

店内の時計は値札なしでも基本的に商品。きっちり機械の調整が施される。
店内の時計は値札なしでも基本的に商品。きっちり機械の調整が施される。

店主・寺山和弘さんは、好きが高じて20年以上の独学で技術を習得し、年代ものの機械式時計を修復販売するに至った。工房風の店内にガラスまでぴかぴかに磨き込んだ古時計が並び、愛情のほどが伝わってくる。国内外の柱時計の充実ぶりがこの店ならでは。機械部分も調整され、最多価格帯は6万円前後だ。置き時計、懐中時計、腕時計も扱い、なるだけ気安く使ってほしいと機械式腕時計は10万円前後中心。思い出の時計の修理や初心者の相談にも乗ってくれる。

日々黙々と修理に勤しむ寺山さん。話すと気さくな方だ。
日々黙々と修理に勤しむ寺山さん。話すと気さくな方だ。

『トライフル』店舗詳細

住所:東京都杉並区松庵3-31-16-101/営業時間:14:00~18:00(修理受付に関しては来店予約制)/定休日:無/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩6分

構成=フラップネクスト 取材・文=下里康子、奥谷道草、川端美穂、ミヤウチマサコ 撮影=原 幹和、オカダタカオ、鈴木愛子、ミヤウチマサコ

JR西荻窪駅を中心として北は善福寺川、南は五日市街道あたりまで広がるこの街。「西荻窪」という地名は1970年に廃止され現存しないが、“西荻(ニシオギ)”という街の存在感はむしろ年々増している。吉祥寺駅と荻窪駅の間に位置し、「松庵」など高級住宅地を擁するせいで、中央線の中では比較的上品なイメージで語られることも多い。しかし、ひとたびこのエリアを歩けば、上品などころかかなり個性的な地だということが分かるだろう。店主がそれぞれの哲学を貫く店と、それらを愛してやまない住民が集まる、けっこう熱くてヘンな街なのだ。