芝の「とんかつ三太」でしょうが焼定食とひれかつ。
お昼をずらし歩く芝。だんだんと人影も少なくなる路地の先を歩く男子4人。ライバルかと働く直感。ビンゴ。遠目に2人暖簾をくぐり、2人外で待つ。
少し足早になり到着しその後に並ぶ。年季の入る長屋に掛かる鮮やかな黄色の暖簾に黒字で「とんかつ」。ぺたぺたと外壁とサッシに貼られるお品書きに目が泳ぐ。
大特価と主張する豚しょうが焼定食に1コ増量中のカキフライ3コかヒレかつかエビフライとかサカナフライの組み合わせかトンカツとにするか。
少し待ち、入れ替わりで暖簾をくぐりこんにちは。小さな厨房を囲う窮屈なLのカウンターと猫の額のような小上がりのうっすら油が染みる店内。
カウンターに座り、しょうが焼きにヒレかつをお願いする。漂うにんにくにお腹が鳴る。セルフサービスの小上がりに置かれるご飯とみそ汁をよそい、つぼ漬けをのせ、麦茶を汲み主役を待つ。
眺める店主。それぞれの揚げ物を揚げ終えて、豚バラを鍋に放り込む。カコンカコンカコンカコンとリズミカルに鍋を振りあがる火柱。炭化する壁に刻まれる歴史。
高台に並ぶこんもりとキャベツ盛る皿にしょうが焼きをのせ、それぞれにカキフライ、メンチと確認しながら揚げ物をのせ皿を配る。
はい、ひれかつと手渡される皿。小ぶりのひれかつが2枚のるイカす茶と緑のコントラスト。みそ汁を一口啜り、茶碗を持ちいただきます。
一切れご飯にのせタレをまぶしパク。ほんのりにんにくの甘辛く肉厚のある豚。うほ、おいしい。ソースを掛け回しかぶり付くひれ。サクと芳ばしい衣に包まれる豚。
キャベツをむしゃむしゃと食べ進め、肉、ご飯、肉、ご飯と止まらないご飯。
三度めのお代わりのご飯に最後の肉のタレをしっかりと沁み込ませ肉と共に頬張り噛みしめ浸る。
ぎりぎりでご飯が無くなり暖簾を下げるに間に合うしあわせ。誰もいなくなる店内で洗い物を進める店主の大きい背中に感じる居心地の良さ。
食器を下げ、お会計をし、ありがとうと見送られる。この場所に根付く「とんかつ三太」。
ごちそうさま。