スタートは小田急線の鶴川駅。町田市の薬師池公園を経由し「薬師ヶ丘」バス停をゴールとするコースを歩く。爽やかさと涼しさを期待して、緑が多そうな場所を散歩することにした。このコースはまだ歩いたことがないので、ちょっとした冒険気分も味わえるだろう。

小田急線の鶴川駅を朝6時半頃に出発!駅前にはスーパー・ドラッグストア・カフェ・本屋がそろっている。生活しやすそうな駅だ。通勤ラッシュには少し早い時間帯だが、多くの人が足早に改札口へと向かっている。人の流れに逆流するように、歩き始めた。

駅前を過ぎると、人もまばらになる。畑と住宅が混在するような、のんびりした雰囲気の場所を歩く。畑には、栗の木が数本植えられてる。まだ青い大きな栗が、たわわに実っていた。季節は確実に夏から秋へと進んでいる、季節の境目を感じた。

道はゆるい上り坂にさしかかった。朝7時ごろ、すでに強い日差しで濃い影ができている。汗を流しながら、てくてく坂を上る。

通勤や通学の人が並んでいるバス停を通り過ぎる。きっと住む人にとっては住宅地の日常、いつもの朝だ。たまたまこの時間にこの場所を通った筆者にとっては、新鮮な朝の光景に映る。

見かけた公園で休憩することにした。水筒の冷たい麦茶を飲んで、ひと休み。やわらかい風が吹いてきて、ホッとリラックスする。

砂場にあるのは昨日遊んだ名残だろう、いくつもの砂山とそれを囲むよに掘られた溝がそのままなのが微笑ましい。夕方になるとお子さんたちが集う人気の公園なのかもしれない。誰もいない公園が静まり返っているのは、セミの声がしないからだ。日差しは強くても、夏の終わりが近づいていると感じる。

坂を下ると、鎌倉街道に突き当たる。つまり、登って下って山を一つ越えたかたちだ。

目の前にある、薬師池公園のハス田に行ってみる。薬師池公園は、2007年に「日本の歴史公園100選」にも選定された、町田市にある公園。自然豊かな薬師池公園では、梅・椿・菖蒲などの花が季節ごとに見頃を迎える。なかでも有名なのが「大賀(おおが)ハス」だ。大賀ハスとは、2000年前の古代ハスの実から開花したハスのこと。大賀ハスが移植された施設の一つが、この薬師池公園だ。

筆者が訪れた日は、すでに花は終っていた。シャワーヘッドのような形をした、ハスの実があちこちにある。ハスの葉は、迫力の大きさ。これはぜひ、花が咲いたときにまた訪れたい。朝早いからか、花の時季が終わっているためか、ハス田に人の姿はない。遠くで一匹だけ、セミが鳴いている声が聞こえる。ここにもひっそりと、秋がやってきていた。

神奈中バスの「薬師ヶ丘」バス停に到着。無事にゴールした。今回は暑さを避けて、朝の早い時間から散歩した。とはいえ、日差しは強く汗だくだ。

歩いてみると、早朝から散歩している人が、予想していたよりもいた。歩きやすい時間帯を選び、散歩を楽しんでいる。一方、筆者は暑さを理由に、予定がない日は家から一歩も出ない夏を過ごしてしまった。もったいないことをした。

「暑い、暑い」と言っている間にも、季節は先に進んでいる。外に出て、季節を感じながら歩くのは気分爽快だった。何よりもうれしかったのは、帰宅してもまだ午前中だったこと。「早朝に散歩すれば、時間を有効に使えるな」と思った。