地下に現れる懐かしくも新しい和の空間
立川駅から徒歩3分。階段から地下に下りて扉を開くと、フレッシュな笑顔のスタッフ陣が出迎えてくれる。
『ネオ和食居酒屋 あなたに会えてよかった。Glad to meet you…』は、一都三県でカフェダイニングやイタリアンバルなど多ジャンルの飲食店を展開するココロオドルが運営する。千葉の『あなたに会いにゆきます。-ANAYUKI-』、船橋の『あなたに会いたくて。-I miss you』に続く、ネオ和食居酒屋“あなたに”シリーズの3店舗目として、2023年10月にオープンした。
和な雰囲気の店内には、大人世代には懐かしく、若い世代には新鮮な昭和歌謡が流れている。座席のタイプはバラエティに富んでいて、店の半分を占めるテーブル席はシックな雰囲気、もう半分の座敷席はカラフルな障子や座布団が敷かれた、ニューレトロな空間だ。
さりげなく細部までこだわりが散りばめられた空間は「思わず写真に撮りたくなること」を意識しているそう。座る席によって雰囲気がガラリと変わるので、訪れるたびに新しい発見ができそうだ。
遊び心が詰まったネオ和食×フルーツサワー
居酒屋といえばお酒が主役になる場所だが、この店では「ネオ和食居酒屋」というだけあり料理も主役級のこだわりだ。
お米は厳選した広島県産のブランド米を使い、西京味噌や八丁味噌など、料理によって多種多様な味噌を使い分ける。小皿料理は、従来の和食を個性的にアレンジしたネオ和食が中心だ。今夜は、小皿料理3品と人気のフルーツサワーで乾杯することに。
まず“お通し”として出されたのが……どこから見てもプリン。
「いきなりデザート?」と思ってしまうが、実はこれ“茶碗蒸し”なのだ。
スプーンですくうと、ぷるぷる揺れる茶碗蒸し。豊かな香りが特徴のポルチーニ茸のペーストを練り込んでいるので、ポルチーニ茸の濃厚な風味が口いっぱいに広がる。こうした、見た目から遊び心が詰まった料理に初めからワクワクが止まらない。
今回注文した3品は、いずれも店を象徴する看板メニューだ。お酒とともに運ばれてきた瞬間からテーブルの上がパッと華やかになる。見た目からして気になるものばかりだが、1品ずつゆっくりと堪能していこう。
まずはお酒で乾杯から!
フローズンのいちごがたっぷりと入った極上フルーツサワー(苺)は、昭和レトロなイラストが描かれたグラスの中でシュワシュワと輝いている。写真映えするビジュアルのため、若い女性たちがこぞって注文するのだそう。
ぎっしりと詰まったいちごは、お酒を飲むうちに溶けてくるので甘みや食感が変化して楽しい。サワーは甘さがあり軽い口当たりなので、お酒をあまり飲まない人でもチャレンジできそうだ。
極上フルーツサワーのほかにも、アールグレイやルイボスティ、さんぴん茶など珍しいお茶で割る極上茶割も人気だ。また、お酒だけではなくノンアルコールで乾杯する人も多いそう。豊富なドリンクメニューのおかげで楽しみ方も多彩だ。
お酒で喉をうるおしたら、お待ちかねの料理だ。一見すると豆腐のようにも見えるこの料理は、ホワイト!米艶だし巻き玉子649円。北海道産の白い卵「米艶」を使った自家製のだし巻き玉子で、ぷるぷるとしていながら口の中に入れるとシュワッと消える。なんとも不思議な食感だ。白だしをベースにした特製出汁はやさしく上品な味わいで、玉子の風味を引き立てている。
海鮮ポテトサラダは、ツヤツヤのとびっこといくらが、ポテトサラダの上を覆い尽くす贅沢感たっぷりの一皿だ。とびっこの旨味といくらのプチプチ食感に加え、明太子の辛みやコクも一度に堪能できる。
ポテトサラダは、粗くつぶしたじゃがいもがゴロゴロと入っていて食べ応えがある。それでいて主張が強すぎないので、とびっこやいくらとのバランスがいい。ちょっとの罪悪感と、それを上回る幸福感に満たされて箸が止まらない。
そしてシンプルながら味わい深いのが、ごまブリ刺。見事なほど肉厚なブリにごまと醤油が香ばしく香る自家製ごまだれを絡め、わさびやネギ、海苔などの薬味を添えた自慢の一皿だ。
油ののったブリは、口の中ですっととろけていく。しっかりと濃い味付けながらさっぱり感のあるごまだれは、お酒やご飯に相性ぴったり。斬新なネオ和食の中で、キラリと光る定番和食だ。
ランチは八丁味噌ダレで煮込んだ角煮丼が大好評!
味噌とお米にこだわった同店の真骨頂ともいえるご飯もののメニューが、とろけるスマイル味噌角煮丼。甘辛い八丁味噌ダレでじっくりと煮込んだ角煮を、熱々のご飯の上にのせている。
約300gあるボリューム満点の角煮は、とろけるような食感の豚バラ肉を使用。脂っぽくなく、旨味がギュッと詰まっているため、最後の一口までおいしく食べられる。ランチの時間帯には、この味を求めてビジネスマンから学生まで幅広い人が訪れるという。普段はあまりお酒を飲まない、居酒屋にあまり行かないという人でも、ご飯屋さんの感覚でカジュアルに利用できるのがこの店の魅力だ。
取材・文・撮影=稲垣恵美