松屋
国を越えて受け継がれたオモニの味
鍋の上に鎮座するのは、生タコまるごと一杯! 韓国から直送されるタコは新鮮でやわらかく、コラーゲン豊富でスタミナ満点。「スタミナつきすぎると困るから、パパには食べさせないの」と笑う店主のキム・ナムスクさん。故郷のオモニ(母)の味を広く伝えたいと、1990年にオープン。かつお節と乾燥したタラの頭、煮干しからとる出汁に、唐辛子で調味する濃厚スープは、辛さだけでなくしっかりとコクがあり、クセになる味わいだ。
『松屋』店舗詳細
マレーチャン
一度で三倍おいしい常夏の国の定番鍋
常夏の国マレーシアの人気料理は、意外にも鍋。この店では、3種のスープを一つの鍋で楽しめる。エビベースでマイルドな味わいのオリジナルのスープ。ほか、酸味が効いたトムヤムクン、さっぱり風味の漢方チキンスープだ。特に漢方スープは風邪予防に効果があり、寒い季節の心強い味方。これらスープに、エビなどの魚介や野菜、イカをすり潰した団子などをサッと煮込んでいただく。本場の味を余すことなく堪能あれ。
『マレーチャン』店舗詳細
マヌエル・カーザ・デ・ファド
円盤の中で魚介の旨味が絡み合う
ポルトガル南部、アルガルヴェ地方に伝わる郷土料理。日本でもなじみ深いタラやアサリなどの魚介を、同国に古く伝わる円盤形の銅鍋、カタプラーナに入れてじっくりと蒸し煮にする。鍋の熱伝導率が優れているため、素材の味を生かしたまま、具材がふっくらと仕上がるのだ。焼きエビを丸ごとミキサーにかけてこしたスープは、コクの中にも香ばしさがあり味わい深い。魚介とスパイスのコリアンダーが豊かな風味を醸し出す。
『マヌエル・カーザ・デ・ファド』店舗詳細
レッサムフィリリ
ヒマラヤのスパイスが効いた宮廷料理
「チベットとネパールの料理屋文化を知ってほしい」と、両国の血を継ぐオーナーのパサン・ビスワカルマさん。ギャコックは、もともとチベットの宮廷料理で、現在はネパールの祝宴などでも供される。鶏ガラと豚骨からとったスープに、ヒマラヤのスパイスとハーブを利かせて、野菜と肉を投入。中央の筒に入れた木炭の火で一気に熱する。骨付きチキンとスペアリブは、ほろほろでジューシー。素材の旨味が凝縮された文句なしの一品だ。
『レッサムフィリリ』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=稲葉美映子(風来堂)、佐久間春奈 撮影=井上洋平、本野克佳