入場券を購入して受付を通り入園します。自然教育園は環境保護のために常時入園者300人の制限を設けているそうで大人数で混雑することも少ないようです。さっそく森が始まります。針葉樹や広葉樹そして野草が多様に混在しています。空を覆って陽射しを遮るほどの高く太い大樹もあり、受け継がれてきた自然の歴史を感じます。

ひょうたん池に出ると空が開けて明るくなります。かつてはこの地は高松藩の下屋敷であり回遊式庭園として用いられていたようです。木立の向こうに高層ビルが頭を出していますが、そうでないとここが都心部であることを忘れてしまうほどゆったりとした空気が流れています。
 
赤や黄色に染まったモミジやクヌギやコナラがそこかしこに森を鮮やかに彩っています。この日は青空が広がって振り注ぐ陽射しがさらに森が輝きを増しているようでした。池の周囲には多くの野鳥も羽根を休めており、獲物を狙うカワセミの姿を目にすることもできました。

ひょうたん池をぐるりと一周してからさらに庭園の外縁に沿った”森の小道”に足を進めます。紅葉の木々の合間にマンリョウやムラサキシキブが小さな実をつけていました。またたくさんのドングリが地面を埋め尽くすように転がり落ちています。

東京都心にはいくつもの大きな公園があり緑豊かなところもあり、それらはやはりキチンと丁寧に整備されています。一方、自然教育園は比較するとまるで放置されているかのような雑多さを感じるところがあります(倒木がそのままだったりする)。自然教育園は演習林として利用されていたこともあり、森林がどのように自然のままで変遷していくかを観察しているため、必要最小限の整備にとどめられているとのことです。ほかの公園や庭園とは異なる独特の雰囲気と魅力がある小一時間ほどの自然散策でした。
 
●国立科学博物館附属自然教育園
※いずれも2024年12月時点での情報です。
所在地: 東京都港区白金台5-21-5
アクセス: 東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台」駅から徒歩7分またはJR山手線・東急目黒線「目黒」駅から徒歩9分
開園時間: 9月1日~4月30日 9:00~16:30 (入園は16:00まで)、5月1日~8月31日 9:00~17:00 (入園は16:00まで)
休園日: 原則として毎週月曜日 (ただし祝日・休日の場合は開園し火曜日が休園)、祝日の翌日(ただし土・日の場合は開園)、年末年始(12月28日~1月4日)
入園料: 一般・大学生/320円、高校生以下/無料。
 
(2024年12月8日 上町嵩広)