真鶴出版

出版とゲストハウスが融合して町の魅力を発信

本や雑貨を扱うショップは時が止まったかのようで居心地もよい。

リノベーションした路地脇の民家を拠点に、地域に根づいた出版活動と宿泊業の両輪で町の魅力を伝えている。宿泊はしばらくの間1日1 組限定。宿泊者向け町歩きツアーは訪れた人が町に受け入れてもらえた感覚になることを大切にしている。

住所:神奈川県真鶴町岩217/営業時間:ショップは13:00~18:00/定休日:ショップは月~木、宿泊は火~木(ともに臨時休あり。12月28日~1月7日)

背戸道をぶらぶら

路地を巡り石段を上って美の町・真鶴を実感

人がやっと歩ける路地の先に海面が小さく見える。

暮らしの気配が色濃く漂う狭い生活道路・通称背戸道(せとみち)が多く残る真鶴。字義通り解釈すれば“家の裏道”となるが、真鶴町まちづくり課に尋ねたところ、「町が定めたまちづくり条例〔美の基準 Design Code〕では守るべき真鶴の魅力の一つに“静かな背戸”を掲げていますが、要は真鶴らしさが残る車が通れない路地や坂道のこと。訪れた方がそう感じれば、そこが背戸道です」と教わった。実際に訪ね歩くと和やかに挨拶してくれる住民も多いが、ヨソ者に猫がすり寄ってくるほど世の中甘くはない。

「おまえ、見たことない気がするニャー?」
道端に置かれたプランターを通して季節の花に出合えるのも背戸道ならではの風情だ。
至るところに海抜が掲示されているのは津波発生時に備えた危機管理のあらわれでもある。
さすがに通るのをためらうが、ここも立派な背戸道だとか。
背戸道を抜けて坂の上に立つと、温暖な港町らしいゆったりとした風景が広がっていた。

レンタル釣具&レンタサイクル

時間を上手に活用してもっと真鶴を楽しもう

レンタル釣具代にはバケツやライフジャケットの代金も含まれる。

真鶴港にほど近い真鶴町観光協会では釣具の貸し出しをしており、目の前の岸壁で海釣りを楽しめる。歩きに自信なければ真鶴駅近くの駅前案内所で電動アシスト自転車(台数限定)を借りて町を巡るのもいい。

●レンタル釣具1000円(エサ代別)。レンタサイクル1100円。いずれも10:00~16:00最終返却。荒天時を除き原則無休(12月31日~1月3日休)。
神奈川県真鶴町真鶴894-1
☎ 0465-68-2543(真鶴町観光協会)

神奈川県真鶴町真鶴1816-9
☎ 0465-68-2500(同駅前案内所)

レンタサイクル利用時はヘルメットの着用を義務づけている。

源頼朝ゆかりの地

思わず拍子抜けするほど存在感が希薄な頼朝公

思わず見過ごしそうな鵐窟。身を隠す場所としてはある意味好適かも。

治承4年(1180)の石橋山の合戦で平家軍に敗れた源頼朝が逃げ延びた地の一つが今の真鶴とされ、身を隠したのが「鵐窟(しとどのいわや)」、房州へと抜け出た岩海岸が「源頼朝船出の浜」と伝えられる。滞在期間はごくわずかで、そのうえどこまで史実に基づいているかもあいまいなせいか、現地の関心度は驚くほど低い。

●見学自由。神奈川県真鶴町真鶴1042(鵐窟)
神奈川県真鶴町岩613(源頼朝船出の浜)

源頼朝船出の浜とされる岩海岸は夏になると海水浴客でにぎわう。

真鶴町漁協直販所

ツイートを確認したら迷わず店頭へ急ぐべし

捕れたて鮮魚がお値打ち価格で手に入る(写真提供:真鶴町漁協)。

その日の朝、真鶴地先(ちさき)の海で揚がったばかりの鮮魚を、魚市場での競りの前に先引きして一般向けに販売。店頭に並ぶ魚の種類や不漁時の臨時休など、当日の状況を開店時刻前にツイッターで発信している。午前7時前後には店舗前に受付票が置かれ、名前を書き込んだ順に購入できる。

住所:神奈川県真鶴町真鶴1947/営業時間:9:30~15:30(変動あり、売り切れ次第終了)/定休日:水・日(臨時休あり。12月下旬~1月初旬)

ひもの魚伝(うおでん)

丁寧な仕事ぶりに培われた伝統の味と新顔が並び立つ

店先に家族が揃い、黙々と干物を仕込んでいく日常の光景。

明治10年(1877)創業の干物専門店。ブラシで丁寧に洗って魚の臭みを消し、旨味を引き出すためモンゴル産天然岩塩にこだわる。人気のさばみりん324円~は肉厚で脂の乗りもよい。真あじやいわしのほか、金目鯛やのどぐろも並ぶ。イカ爆弾1 個150円は、真イカとチーズをイカスミ入りパン粉で包んだコロッケでブラックペッパーとの相性も抜群。思わずビールが欲しくなる。

直径約5㎝で食べ歩きにもよい5代目考案のイカ爆弾。
住所:神奈川県真鶴町真鶴671/営業時間:9:00~18:00/定休日:不定(1月1日~3日)

如来寺(にょらいじ)跡

石窟内部に地獄・間道・極楽浄土が広がる

足を踏み入れることはできないが正面奥に閻魔大王像などが見える。

岩海岸近くの郵便局脇の路地を入った先にある元和6年(1620)建立と伝わる瀧門寺(りゅうもんじ)の末寺。境内の石窟は閻魔大王が待つ地獄、地蔵菩薩が立つ間道、大日如来・正観音が控える極楽へと続いているが、崩落の危険があり立ち入りは禁止。正面右手のゆるやかな坂を上がった先では薄暗い石窟内を見下ろせる。

●見学自由(石窟内立ち入り不可)。神奈川県真鶴町岩630

真鶴なぶら市

キャッチフレーズは幸せをつくる真鶴時間

個性豊かな店がズラリと並ぶ(写真提供:真鶴なぶら市実行委員会)。

「なぶら」とは魚の群れが海面をにぎわす様子を表した釣り言葉。真鶴に多くの人が集まり、もっとにぎわうようにとの思いを込めた地元有志による手作り感たっぷりの日曜市で、2015年にスタート。出店内容は毎月変わるが、地元食材などを扱った飲食物販売、作り手の温もりを感じる物販、移動販売車など、真鶴はじめ近隣から多彩なテナントが顔を揃える。

●10:00~13:00。毎月最終日曜開催(荒天時中止)。神奈川県真鶴町真鶴港岸壁広場

松本農園

相模湾を眺めながらスイセン花摘み体験を

傾斜した園内では、さまざまな角度からみかん畑越しに相模湾を見通せる。

相模湾を見下ろす山の中腹に広がる観光農園。1万5000坪の広大な敷地にはみかん畑を縫うようにアップダウンのある遊歩道が整備されている。みかん狩り1袋分1080円は12月下旬で終了となるが、12月下旬から1月下旬にかけては園内を散策しながらスイセン花摘み(30本1100円・入園料込み)を楽しめる。ドッグランがあり、愛犬家の姿も多い。

受付脇では無農薬で育てたレモンやライムも販売中。
住所:神奈川県真鶴町岩898/営業時間:9:00~16:30(12月31日~1月3日は短縮営業)/定休日:不定

取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2021年1月号より