池袋のにぎわいの中にある肩ひじ張らない洋食店
夜になるとますます活気づく池袋西口。パワーみなぎるこの街で、ガツンとパンチの効いた洋食を手軽に食べられるのが『洋庖丁 池袋店』だ。
都内では『洋庖丁』という名の洋食店がいくつかある。板橋からはじまった『洋庖丁』からのれん分けをする形で独立していった。そのためメニューや店の雰囲気は似ているが、各店それぞれにオーナーがいる。池袋店は2010年に江古田から移転してきた。
味のインパクトがすごい。「からし焼定食」は何も考えずご飯をかき込め!
『洋庖丁 池袋店』で人気のからし焼定食(大)860円は、プラス100円でおかず、ご飯ともに大盛りになるというからお得感満点。ミキサーにかけたニンニク、塩、コショウなどで味付けしながら焼いた豚バラ肉がピリッと塩辛い味わい。でもその奥にはうま味もちゃんとある。
おいしさの秘密はふたつ。ひとつはオリジナルのうま味調味料を使っていること。これは『洋庖丁 池袋店』で特別な配合でブレンドしている、ここだけの味。もうひとつは調理の最後に料理酒でフランベすること。そうすると味が引き締まるという。
からし焼を一口食べると白いご飯が激しく欲しくなる。余計なことは考えず、ご飯を頬張るのが大正解だ。
毎日通いたくなる、まさにやみつきの味
オーナーの青木さんは店に立ち、接客と調理を担う。もともとは青木さんの父が立ち上げた店だったが、そのあとを引き継いだ。不動産営業職からの転身というから親しみやすい笑顔が印象的だ。
厨房を仕切るのは店長の奈良岡正彦さん。火を使う調理の要の部分を担当し、黙々と手を動かす職人タイプだ。江古田店の立ち上げの頃から店を支えてきた。忙しい時は大きなフライパンで2~3人前を一度に調理をする。まさに重労働。火を使う調理の役は誰でもできるわけではないそうだ。
がっつり濃厚な味わいのおかずと白米を一緒に食べるとき、体の内側から湧き出てくるよろこびがある。『洋庖丁 池袋店』のからし焼にはそんな本能に近い幸福感をたっぷりともたらしてくれる。「毎日来て毎日からし焼を頼むお客様もいます」とは青木さんの談。一度食べたら忘れられない、魅惑の味なのだ。
構成=フリート 取材・文・撮影=宇野美香子