上野・アメ横の基礎知識
日本最初の公園の一つ、上野恩賜公園とデパートや飲食店などが立ち並ぶアメ横が対照的。上野恩賜公園のほぼ全域は、かつて寛永寺の寺域だったが、明治以後に政府に接収され、公園になった。園内には国立の博物館や美術館、大学など、多くの施設がある。アメ横の通称で親しまれるアメヤ横丁は、上野駅から御徒町駅にかけての一帯に広がる商店街。マグロをはじめとした海産物を扱う商店やミリタリーグッズの店など、専門的なショップが軒を連ねる。大衆的な飲み屋が多く、買い物途中にお昼から一杯という人も少なくない。いわば聖と俗、二つの顔を隣り合わせで楽しめるのが上野散歩の醍醐味なのである。
1 上野恩賜公園
桜の名所は日本初の公園の一つ
明治6年(1873)に日本で初めての公園の一つとして開園。江戸時代からの桜の名所で、2月下旬〜4月下旬まで観桜ができる。園内には美術館や博物館などが点在している。
2 国立西洋美術館
世界的絵画や彫刻、建物も必見
中世末期から20世紀初頭にかけての西洋絵画や、ロダンを中心とする彫刻を鑑賞できる。本館は世界的建築家のル・コルビュジエが設計し、世界文化遺産にも登録されている。
3 国立科学博物館
多数の恐竜の全身骨格標本を展示
国立では唯一の総合科学博物館。日本館と地球館の2棟があり、約2万5000点を超える貴重なコレクションを展示している。日本館3階北翼にあるフタバスズキリュウの全身骨格標本は必見。
4 東京国立博物館
日本最古で最大級の博物館
日本を中心とする東洋の美術作品と考古遺物を収蔵・展示。本館、平成館、表慶館、東洋館、法隆寺宝物館に分かれ、国宝と重要文化財を含めた収蔵件数は約12万件にも及ぶ。
5 寛永寺
家康が帰依した天海大僧正が開基
寛永2年(1625)に徳川幕府の安泰と万民の平安を祈願するため、江戸城鬼門の地に創建。かつては上野公園一帯が寺領だったが、幕末の上野戦争後、敷地の大部分が公園になった。
6 旧東京音楽学校奏楽堂
日本最古の音楽ホールは国の重要文化財
明治23年(1890)に東京音楽学校(現東京藝術大学音楽学部)が建築した日本最古の木造洋式音楽ホール。三浦環が日本初のオペラを公演したほか、名だたる音楽家が舞台に立った。
7 上野東照宮
徳川家康を祀る豪華な社殿
寛永4年(1627)、築城技術に長けた藤堂高虎が造営。慶安4年(1651)に徳川家光が造営した唐門や拝殿、透塀が今も残る。冬と春にはぼたん苑が開苑する。
8 清水観音堂
京都と同じ舞台造りの本堂
天海大僧正が京都の清水寺を模して寛永8年(1631)に建立し、元禄7年(1694)に現在地に移築。上野の山に現存し、建築年が明確なものでは最古の建造物だ。国指定重要文化財。
9 不忍池
ハスが咲く、琵琶湖に見立てた池
天海大僧正が琵琶湖に見立てたという天然池。中央の中之島には不忍池弁天堂があり、これも琵琶湖の竹生島を模したといわれている。池は堤で3つに分かれ、一面がハスに覆われる蓮池、ボート遊びができるボート池、カワウの繁殖地・鵜の池がある。
鰻割烹 伊豆榮
不忍池を眺めながら絶品うな重を
約300年の歴史を誇る老舗。三河一色産のウナギを備長炭でじっくり焼く。ふっくらとして柔らかで、醤油とみりんで作るタレと相性抜群。うな重松(お吸い物、香の物付き)3300円。
10 下町風俗資料館
大正時代の庶民の暮らしを知る
1階は、大正時代の下町の情景を再現。出し桁造りの商家や銅壺屋、駄菓子屋などが並び、長屋の暮らしを体験できる。2階には下町ゆかりの生活道具や玩具などの資料を展示。
11 アメ横
ここならすべての物がそろいそう
JR高架下を中心に約500m続く商店街。戦後、海外から引き揚げた人たちが米軍の払い下げ物資を販売した闇市が始まり。現在は400以上の店舗が軒を連ねる。衣料品店や生鮮食品、飲食店などがあり、食べ歩きやショッピングが楽しめる。
うさぎやCAFE
和と洋が融合した新どらやき
大正2年(1913)創業の『うさぎや』が運営。人気のどらやきをフレンチトースト風にした「うさどらフレンチ焼き」900円。バターの香りと塩味、餡の甘さなどが一体になった逸品だ。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より