【居酒屋】
『海鮮酒場わんす』鮮魚と厳選地酒の無限ループ[南浦和]
この日の魚は塩釜の本マグロに岩手のナメタガレイ、対馬のノドグロと、字面だけで喉が鳴る。「浦和卸売市場の方との信頼関係で、いい魚も比較的安く仕入れられるんです」と代表の漆原弘了(うるしはらひろのり)さん。魚と同じく鮮度を大事にする日本酒は、あえて6~7種に厳選し提供。スダチを搾った生たこ刺はフルーティーな「花陽浴(はなあび)」が合うし、きんき姿煮のふっくらとした身は力強いうまみの「浪乃音」が最高の相棒に!
『海鮮酒場わんす』店舗詳細
『日本酒ダイニング 栄三郎』3世紀を超えて紡がれる日本酒物語[浦和]
「初代が240年ほど前に造り酒屋を開業。父の代は酒販店をしていたんです」と9代目の田中昇さん。昇さんは21歳のときに飲んだ「〆張鶴」に衝撃を受け、新潟県村上にある蔵を訪問。以来四十数年、杯を重ねた昇さんが選ぶのは、料理をひきたてる純米の食中酒。干し柿バター500円やタコチイ(タコのうま煮とチーズ)550円など考え抜かれた酒肴の数々は、熟成酒の燗か、酸のある生原酒を冷酒でいくか悩む!
『日本酒ダイニング 栄三郎』店舗詳細
『立ち呑みソメアカ』袖ふれ合うも盃の縁[浦和]
「仕事帰りに2、3000円握りしめて、気軽に日本酒を飲める店にしたかったんです」と店長の渡邊友久さん。大宮市場で毎日仕入れる鮮魚の刺し身や和牛の炙(あぶ)り、アラ煮込み豆腐までつまみは基本500円以下で、冷蔵庫を自由に開けて日本酒を選べるざっくばらんな空気が楽しい。2023年秋の開店から早くも千客万来で「そのイカうまそう」「お隣の日本酒、こっちにも!」なんて客同士の距離感の近さも醍醐味。
『立ち呑みソメアカ』店舗詳細
『和酒処 さなぶり』浦和日本酒酒場のゴッドファーザー[浦和]
界隈の酒場店主らからもリスペクトを集める、日本酒専門店のパイオニア。「お酒の好みは百人百様。酒質も地域もバランスよく揃えています」。フレッシュな生酒から熟成酒まで懐広いラインナップながら、機を見て「悦凱陣(よろこびがいじん)」を飛び切り燗で勧めるなど、お燗愛もちらり。旨味を凝縮させた汐うに550円をアテに飲めば、思わず「くぅ~」。渋い雰囲気も相まって、日本酒とじっくり向き合いたくなる。
『和酒処 さなぶり』店舗詳細
浦和はしご酒の始発駅であり終着駅。『立ち呑み モルガン』[浦和]
スタッフ募集の貼り紙には「仕事終わりの酒はなるべく店主が奢ります」の文字。店主の向山良平さんほか、酒好きのスタッフたちと談笑したり、隣客とカウンターで肩寄せ合ったりして飲むのが楽しい。名物の串ものは絶妙な火入れで出すプルプルのレバー、鶏ネギマなど160円とは思えぬ巨大サイズで、2人でシェアする客もいるほど! 「一人飲みなら2000円以内に抑えたいのが酒飲みの心情だと思い、徐々に大きくしてたらこうなりました(笑)」
『立ち呑み モルガン』店舗詳細
燗酒×鮮魚・珍味の圧倒的ペアリング。『居酒屋 魚浪人』[浦和]
品書きに「浦和一の魚を提供したい」とある通り、店主・鈴木広俊さんの鮮魚への思いは相当熱い。毎朝豊洲などで仕入れる魚介が12、13品並ぶお刺身盛り合せは、例えば本玉と呼ばれる山口県宇部産の赤貝の透明感ある甘さ、新潟佐渡産ブリの10日間熟成による旨味に驚く。日本酒は特にお燗映えする酒を重視。神亀酒造の真穂人(まほと)を飲みつつ、ちびり盛り合せの自家製からすみやカキの燻製をつまめば珍味の風味がさらに深まり、ついもう一献。
『居酒屋 魚浪人』店舗詳細
地酒との相性を吟味した酒肴が左党ののどを鳴らす。『わたや』[浦和]
某酒場番組のプロデューサーが始めた居酒屋を、料理長だった坂本渉さんが引き継ぎ、再スタート。前店主が自身の理想を体現した店は、大きな窓を四季の植栽が彩り、小上がりには雪見窓も。粋な店内で味わいたいのが全国の地酒だ。鷹長菩提酛純米1020円など希少な酒を求め、ひとりで来る日本酒通も多い。ゆえに、肴も地酒と合う和のものが中心。柿の山葵あえ480円やだし巻き玉子680円などで、地酒とのペアリングを謳歌すべし。
『わたや』店舗詳細
浦和のんべえの心を射抜くドでか串『立ち呑み ビアジオ』[浦和]
3種の味噌をブレンドしたスープで豚もつなどを煮込む、みそ煮込み串が名物。何を頼むか迷っていると「初めてなら絶対角煮串!」と常連A。ずっしり重い角煮はあっさりとした味噌味とジューシーな旨味が口にあふれ、生ホッピーや瓶ビールの赤星が猛烈に進む。常連Bの「黒板のおすすめメニューから、よりイチオシを聞くのが楽しいの」、常連Cの「店の人のキャラが一番だね」という言葉に、浦和人から溺愛されている酒場と実感!
『立ち呑み ビアジオ』店舗詳細
日本酒と妙味つまみの幸せループ『お酒と肴 kuitto』[与野]
日本酒を愛する上西淳さんが切り盛り。日々変わる日本酒リストは新酒や熟成酒、フルーティから燗(かん)映えまで全国の酒が10種ほど並ぶ。一合880円だけでなく半合440円もあるのは「多様な日本酒の味わいを少しずつ楽しんでほしいんです」。酒肴は7~10品コース2800円が各客に振る舞われ、例えば漬けマグロは熟成香のある旭菊(あさひきく)と、味噌味のメンチカツは米の旨味ののった七田(しちだ)と相思相愛。
『お酒と肴 kuitto』店舗詳細
一度は味わいたい、元祖みそ焼き。『㐂よし本店』[蕨]
1969年創業、「みそ焼き」のルーツといわれる名店。串に刺した豚ホルモンを、甘辛くにんにくが効いた“みそ”につけてからじっくりと焼いてゆく。どんな酒とも相性抜群な、魔法の味だ。ご主人いわく、みその味は時代の流れに応じて少しずつ変えていて、今は甘めだそう。のんべえの間では知られた人気店で、某幕内力士をはじめ、角界での人気も高いという。気持ちよく酔ったシメには、鶏の出汁が効いたとり豆腐450円を。
『㐂よし本店』店舗詳細
【バー】
「平和の使者が集う場所」が店名の由来。『バー ダヴコット』[浦和]
1999年創業の店で、前マスターの下で15年にわたって右腕を務めてきた渡邊真弓さんが2018年1月、オーナーバーテンダーに。銀座の名店『モーリバー』で研鑽を積んだ前マスターのスタンダードカクテルの味わいや、客船の船室をイメージした店内はそのままに、「酒場でありながら文化に触れられる場」であることを守っている。磨き上げられた空間で、別天地へ向かう船旅の一夜を夢見させてくれる。
『バー ダヴコット』店舗詳細
看板を頼りに、地下のスコットランドへ。『LINN HOUSE』[浦和]
ほの暗い階段を下っていく。扉の先に広がっているのは、約7mに及ぶカウンター、暖炉、ヨーロッパの優雅なリビングルームを思わせる空間だ。マスター・鈴木正さんがスコットランドの蒸留所巡りで訪れたゲストハウスがモデル、と聞けば、至極納得。バックバーにはキラキラと輝くボトルが並ぶ。ところで、バーは年中無休。かつての師匠の背中を見てのことだという。このバーの魅力が空間や品揃えだけじゃないことは、言うまでもない。
『LINN HOUSE』店舗詳細
飲み比べてはまる、ウイスキー沼。『BAR BANK』[北浦和]
駅の目の前ながら、螺旋(らせん)階段を上った3階という立地に穴場感が漂う。「ありがたいことに、目指して来て下さるお客様が多く、階段を下りられなくなるほどは酔わないように用心される方も(笑)」とオーナーバーテンダーの堤孔次郎さん。ことに、スコッチのシングルモルトを中心にウイスキーを厚く揃え、2013年から秩父ウイスキー祭のスタッフとしても参加。「ウイスキーにチャレンジしてみたい」というお客には、ストレートの味わい方はもとより、飲み比べの手ほどきもしてくれる。
『BAR BANK』店舗詳細
取材・文=鈴木健太、沼 由美子、下里康子、平野貴大、光松瞳、高木健太(風来堂) 撮影=金井塚太郎、門馬央典、加藤昌人、オカダタカオ、丸毛透、原 幹和