茶のつたや
ここはカフェか雑貨屋か!?
所狭しと並ぶのは、茶葉や茶器のみならず生活陶器に小物や食材! 至る所に座席があり茶や甘味が味わえる。お茶屋の可能性に挑む3代目の清水克弘さんと職人の手仕事や雑貨好きの妻・明子さんがじわじわとカフェ席と雑貨を増やしつつ昭和3年(1928)創業の店を守る。金曜の夜営業では茶+酒の独自メニューを出し、時々ライブも。商品の茶葉はモダンな包装袋で静岡、狭山産が主力。
『茶のつたや』店舗詳細
茶匠おくむら園
教え子は区外からもやって来る
南千住で4代続く本店をルーツに、この地で30年営むこちらは、店主夫婦そろって日本茶インストラクター。奥の間でほぼ毎週日本茶教室が開かれ(2時間2100円~)区外からも習いに来る。喫茶もでき、ご近所さんの憩いの場。扱う茶の産地は静岡県の森町を中心に、伊勢、宮崎、狭山と幅広い。好みの茶葉でティーバッグを作ってくれたり、何グラムでもOKの量り売りのサービスも面白い。
『茶匠おくむら園』店舗詳細
西野園
多彩なイベントで待ってます!
一面ガラス張りの店内には座ってお茶が飲める3畳分の小上がりがドーン! モダンな白壁で陳列棚はわずか。何屋? と思わせるゆったり空間だ。狭山の農家出身の父から店を任され40年以上の西野和広さんが目指すのは、物を売るだけでなく体験できるお茶屋さん。「おいしいお茶の淹れ方」、「日本茶研究会」、はたまたお茶を飲みつつ天体を楽しむ「星空さんぽ」など、多彩な企画が数日おきに開かれる。
『西野園』店舗詳細
福泉茶店
下町に開かれた問屋の挑戦
「なじみのお茶屋が閉じた」、「味が変わった」などと嘆く“お茶難民”を減らしたいと、開業約90年以上の茶問屋の菊地悟さんは2014年から小売りも開始。お客さんの買う茶葉が最後までおいしく飲めるよう好みを探り、目の前で淹れる試飲に力を入れる。持ち帰り用に淹れたて茶も販売し、土曜には淹れ方教室も。「さらに楽しい新しいことを思案中です」と熱い。扱う茶葉は静岡の大井川流域や知覧が主だ。
『福泉茶店』店舗詳細
蒲南茶荘
お茶屋自ら茶道具も生み出す!
昭和2年(1927)に茶問屋として創業した店は急須を独自に開発。3代目の鈴木秀博さんは「うちは深蒸し茶なので葉が細かい分、普通の急須じゃ目詰まりする」と、網の着脱が簡単な急須を設計図から起こした。4代目の和貴さんは、現代生活に合うものをと3年かけ有田焼の機能的な白磁急須を考案。友人が考えたかわいい急須くんも販売する。共に理工系出身の父子の次なる発明品はいかに?
『蒲南茶荘』店舗詳細
NAKAMURA TEA LIFE STORE
幼なじみが作る、静岡・藤枝のお茶を届けたい
蔵前に店を構える『NAKAMURA TEA LIFE STORE』。この店で扱うお茶は、静岡県藤枝市で100年に渡り代々受け継がれてきた『NAKAMURA茶園』が、無農薬有機栽培にこだわり、栽培から製茶加工まで一貫生産するオリジナル商品が中心。茶園のオーナーである中村家と、家族ぐるみで長年親しく付き合っていた西形圭吾さんがこの店をオープンした。お土産におすすめなのは、飲み比べにちょうどいいサイズのNakamura Gardens Pack(オーガニック煎茶セット)。煎茶3種と、かぶせ茶がセットになっている。
『NAKAMURA TEA LIFE STORE』店舗詳細
OHASI(オオハシ)
斬新なアイデアで日本茶のイメージを一新
中野駅前に拡がる商業施設や飲食店でにぎわうエリアの一角に、日本茶専門店『OHASHI』はある。1653年 (寛永14)に茶問屋として創業したこの店は、戦後まで日本橋に店を構えていたという老舗中の老舗。店主の森田徹さんは、年々下がり続ける日本茶茶葉の需要をどうにかしたいと考え、先代からこの店を引き継いだタイミングで、内装から商品パッケージまでを若い層に焦点を当てたデザインに大幅リニューアルした。思わず誰かにプレゼントしたくなるような可愛らしいパッケージは、欧米の古いポストカードや布の柄を使用している。お土産やギフトに人気が高いのは、豊富に揃うお茶の中から数種類がセットになったギフトボックスだ。内容によって箱のデザインや柄を変えているという遊び心も楽しい。
『OHASHI』店舗詳細
おちゃらか
フランス出身の“ソムリエ”が広める日本茶の魅力
代々続く老舗の店が多く並ぶ日本橋人形町に2020年7月、フランス人オーナーが営む日本茶専門店『おちゃらか』が移転オープン。店主のステファン・ダントンさんは、来日をきっかけに日本茶の美味しさに魅了され、独学で日本茶の知識を深めていった。その際に、日本人の間で日本茶を飲む習慣が薄れてきていることを知り、その魅力を多くの人に伝えたいと決意。日本茶のフレーバーティーの開発やさまざまなワークショップを通して、日本茶の魅力を発信し続けている。また、ワインソムリエの経験を活かし、豊富に揃うお茶の中から、その人の求める味わいや香りに合ったお茶を提案。ギフトやお土産など、贈る相手の好みが分からない時は、数種類のフレーバーティーが詰め合わせになったTEA BAGアソートセットを選ぶのもおすすめだ。
『おちゃらか』店舗詳細
カネ十農園 表参道
静岡・牧之原から芳醇なひと時を贈る
表参道の裏通り、通称・裏参道に店を構える『カネ十農園 表参道』。1888年に静岡県牧之原市で創業した、歴史ある茶農園が運営するカフェ併設の直営店だ。この店で扱うお茶は、茶葉の栽培から加工までを一貫して自社で行っている点が特徴。長い間、卸を中心に事業を展開しているが、社長の代替わりをきっかけにオリジナル茶葉の販売を開始するように。看板商品のカネ十煎茶をはじめとする9種類のお茶は、別売りで販売しているギフトボックスを購入して、贈り物やお土産用に詰め合わせることも可能だ。明治時代以降に広く伝わったとされる、輸出茶ラベル・蘭字(らんじ)をモチーフにしたパッケージデザインがどこか新しくスタイリッシュに映る。
『カネ十農園 表参道』店舗詳細
取材・文=柿崎真英、佐藤さゆり、下里康子 撮影=オカダタカオ、山出高士、柿崎真英