大國魂神社
1900年を超えて“武蔵國の守り神”
府中は奈良時代に国府が置かれたところで、国衙(こくが・政治を行う役所)の跡が、この神社の東側と境内の一部に残る。主祭神は大国主神の別名である大國魂大神(おおくにたまのおおかみ)で、他に、武蔵国各所にある六つの神社(大宮氷川神社、秩父神社など)に祀られる神々を合祀している。そのため江戸時代までは「武蔵総社六所宮」と呼ばれ、徳川家の崇敬も篤(あつ)かった。毎年5月5日には「くらやみ祭」が行われる。暗闇の中神輿が巡行することからその名がついた由緒ある神事だ。
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布多天神社
毎月一度の縁日が人気
社伝によれば、第十一代垂仁(すいにん)天皇の御代、今から約1940年前の創建。927年に制定された延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう・全国の有力な神社の名を連ねた一覧表)にも名がある。ここに記された神社は式内社と呼ばれ、特に格式が高いとされる。当初は少彦名命(すくなひこなのみこと)を祀っていたが、のちに菅原道真(天神様)を合祀した。江戸時代、このあたりは甲州街道の布田五宿という宿場となり、その総鎮守となった。現在も調布の街の総鎮守として近隣の人々に親しまれている。
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深大寺
一途な恋物語が伝わる癒やしの寺
昔々、この地に住んでいた福満という人がある娘に恋をした。娘の親が娘を小島に隠してしまったが、福満は深沙大王(じんじゃだいおう)に祈願してその小島まで霊亀の背に乗って渡り、恋は成就した。のち、二人の間に生まれた満功(まんくう)上人というお坊さんが奈良で仏教を学び、天平5年(733)に深沙大王を祀るお堂を建てた。それがこの寺の始まりだ。深沙大王は疫病や魔事を遠ざけるとされるが、こちらでは、近年、縁結び祈願のお参りをする人も増えているとか。
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調布不動尊 常性寺
皆がお参りできる街場のお寺さん
鎌倉時代に創建された寺で、当初は多摩川沿いにあったが、江戸時代に、現在の旧甲州街道沿いの場所に移転した。その後、成田山新勝寺より成田不動尊を勧進し、調布不動尊と呼ばれた。正月・5月・9月は成田山にお参りし、その他の月はこちらにお参りする慣わしだったという。本堂には珍しい金銅の薬師如来像が祀られている。通りすがりの人が気軽にお参りできるようにと、毎日、外からお薬師さんのお顔が見えるようになっている。
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取材・文=吉田さらさ 撮影=山出高士