motenasi
名物土鍋ごはんで締めるかそれとも持ち帰るか
店主の平川裕(ゆたか)さんは、旬魚や故郷の長崎料理を用意。季節満載で迷うが、ごはんセットのお供に、盛り合わせるのもいい。酒の肴にするなら、チョコ?と見紛う鶏レバーを。柑橘ジュレが軽やかさを醸し、後から鶏の風味がふんわりふくらむ。そして、外せないのが2合炊きの土鍋ごはん。「うちのことを忘れないでね」との思いを込め、食べきれない分をおにぎりに。「味がなじんだ翌朝が食べごろです」。
『motenasi』店舗詳細
呉さんの台湾料理
主菜+副菜で一杯の後、中華粥が胃の腑に染みる
親鶏と豚の背骨、野菜でとった出汁を使い、手際よく鍋を振るのはオーナーシェフの呉瑞榮さん。台北で料理を学び、新宿御苑で店を営んだが、体を壊して閉店。「こぢんまりとやりたくて」と、荻窪の路地で再開した。夜もいいが、昼の日替わりセットはヘルシー&お得。主菜で紹興酒をやり、締めに中華粥を口に運べば、野菜の食感がいいアクセント。滋味を痛感する。週末は、昼も単品注文可能だ。
『呉さんの台湾料理』店舗詳細
osteria quanto basta
北イタリアの珍しき郷土料理に心躍る夜
「修業先のシェフが北イタリア出身で」と、店主の加藤惠一さん。その縁で現地に行き、トウモロコシ粉の粥・ポレンタが大好きに。それをいったん冷やして焼き、干し鱈ペーストをのせたバッカラマンテカートが、ワイン担当で妻の暢美さんセレクトのワインにピタリ。イタリアンチコリで赤紫のラディッキオと、サルシッチャをほぐし入れたリゾットなど、郷土料理の応酬は、一人ならハーフで堪能を。
『osteria quanto basta』店舗詳細
CURRY BAR シューベル
つまみで飲んだ後は奇想天外カリーで
そば屋のようにつまみと酒で緩みながら、カリーを待つ。これが、店主・シューベルさんが望む利用法だ。「ひねくれものなんで、誰も思いつかないカリーを」と、創作する。代表作は、鰹のたたキーマだ。スパイスでマリネしたカツオをソテーし、大山鶏を使うベースと合わせてキーマに仕立て、仕上げにタタキと薬味をのせる。これだけでも驚くが、レモンで味変、さらに出汁を注ぐ食べ方に、仰天。
『CURRY BAR シューベル』店舗詳細
ごはんちゃさる〜ん COZY
今日のごはん何かな?想像するのも楽しい
「お隣の花屋さんがとっても素敵で、ここに」と、店主の山下えみ子さんが生き生きと話す。カフェや甘味処で経験を積みながら、独立の夢を膨らませてきた。イメージしたのは、ごはんを食べてお茶を飲み情報交換できるサロンのような空間。「今、徐々にそうなってきてるんです」。季節の変化を感じながら献を立て、食材は、自転車で通勤途中に八百屋や肉屋など地元の個人商店を巡って、調達する。
『ごはんちゃさる~ん COZY』店舗詳細
コノコネコノコ
終電着でも、ちゃんとごはんにありつける
いずれ夫婦二人で飲食店をと、夫の駿太郎さんはフレンチや中華、妻の美生さんは家庭料理の店やバーで10年ほど経験。さらに旅先で覚えた料理もメニューにちりばめて、日付が変わってたどり着いても空腹にやさしい店を築いた。「何料理って決めず、おしゃれ過ぎず、どこか家庭的」を目指してセルフビルドした空間は、包容力たっぷり、時間の流れまったりで、食べ飲みしているとお尻に根が生える。
『コノコネコノコ』店舗詳細
CICLO
シンプルな伊料理は、明日への活力!
ガラス越しに見えるスタッフとお客の表情が、羨ましいほど楽しげだ。「働く大人に明日がんばってほしくて、メシ作ってます」と、岡部卓シェフをはじめ、スタッフ皆さんの意気込みが頼もしい。パスタとワイン1杯でも歓迎で、疲れた夜なら、薬効あるセージをどっさり使うピエモンテ州の家庭料理を。爽やかな風味が脳天まで駆け抜け、瞬時に元気復活だ。ワインは、毎年イタリアの生産者を訪ね、畑や暮らしを見聞きして選ぶ。
『CICLO』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=松井一恵、佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=原幹和、オカダタカオ
『散歩の達人』2019年11月号より