アクセス

電車:東武鉄道浅草駅から特急リバティりょうもう号(スカイツリーライン・桐生線)・わたらせ渓谷鐵道で約2時間の大間々駅下車。

車:関越自動車道練馬ICから北関東自動車道などを利用し、太田藪塚ICまで約104km。同ICからみどり市大間々町中心部まで約10km。

あかがね街道の名残

古き街道風情が今も随所で息づく

大間々町中心部では200年以上前の常夜灯が元の地に移築されて残る。
大間々町中心部では200年以上前の常夜灯が元の地に移築されて残る。

江戸時代、幕府直轄の足尾銅山で精錬した御用銅(ごようどう)を都へ運ぶ交易路として、街道や宿場が整備された名残が市内各所に点在。「銅街道」「旧銅山街道」との表記も散見される。石畳や趣ある建物、銅蔵、常夜灯など往時の面影に触れれば、束の間タイムスリップした気分に。

●群馬県みどり市東町沢入ほか

街道情緒が残る旧花輪宿にある地元の名士・今泉嘉一郎の生家。
街道情緒が残る旧花輪宿にある地元の名士・今泉嘉一郎の生家。
沢入(そうり)地区にある御影石の石畳。渡良瀬川に向けて下る様子がわかる。
沢入(そうり)地区にある御影石の石畳。渡良瀬川に向けて下る様子がわかる。

岡直三郎商店

木桶仕込・天然醸造にこだわる

仕込蔵見学は10・11・13・14・15・16時開始で所要時間は20分。蔵の中に充満する醤油特有の濃厚な香りに驚くこと間違いなしだ。
仕込蔵見学は10・11・13・14・15・16時開始で所要時間は20分。蔵の中に充満する醤油特有の濃厚な香りに驚くこと間違いなしだ。
醤油ソフト300円は塩キャラメルのような味わいで口当たりもよい。
醤油ソフト300円は塩キャラメルのような味わいで口当たりもよい。

天明7年(1787)創業の醤油醸造元で、「日本一しょうゆ」の屋号が目を引く。国産有機濃口しょうゆ500㎖ 926円、国産有機再仕込しょうゆ500㎖ 1234円ほかラインナップは多彩で、料理に合わせた商品が揃う。醤油をベースに数種のスパイスを混ぜた新感覚調味料の日本一スパイス480円も評判上々だ。国登録有形文化財の店舗兼主屋は風情たっぷり。

住所:群馬県みどり市大間々町大間々1012/営業時間:9:00~17:00/定休日:無

ながめ余興場

懐かしさを覚える"生きる文化財"

渡良瀬(わたらせ)川を見下ろすながめ公園内に堂々と立つ昭和12年(1937)築の芝居小屋。木造2階建てのレトロな造りで、廻り舞台、花道、棧敷席を備えており、今も歌舞伎、落語、演劇、コンサートなどの公演が行われる。舞台下の奈落は地下資料室として活用。

住所:群馬県みどり市大間々町大間々1635/営業時間:9:00~15:30最終入館/定休日:火(祝の場合は翌水、公演などの期間中は休)

cafe蔵八

蔵をリノベーションして憩いの場に

蔵に残されていた器で提供されるコーヒー 550~600円(右)と市内東町産の干し芋が入ったムース 440円。
蔵に残されていた器で提供されるコーヒー 550~600円(右)と市内東町産の干し芋が入ったムース 440円。
明治~大正期にかけて建てられた土蔵が並ぶ様子は圧巻だ。
明治~大正期にかけて建てられた土蔵が並ぶ様子は圧巻だ。

店主の新井規夫さんが代々引き継いだ土蔵群を修復し、この地を「蔵人新宇(くらーとあらう)」と命名。そのうち大正5年(1916)築の3号蔵を、ノスタルジックな風情を残しつつ、洗練されたカフェとして活用。前橋市にある『珈琲屋たなか』の自家焙煎豆を使用したコーヒーを手に、しばし喧騒を離れてくつろぎたくなる空間だ。

住所:群馬県みどり市大間々町大間々1050/営業時間:11:00~17:00/定休日:月・火(祝の場合は営業)

やぎぱん

住宅地にある家庭的なパン屋さん

下から時計回りに 黒糖カンパーニュ 450円、クリームチー ズくるみエピ 320円、べに大豆甘納豆マフィン 260円、マフィン 200円、レーズンクリームチーズ小 240円、イチジクくるみ 290円。
下から時計回りに 黒糖カンパーニュ 450円、クリームチー ズくるみエピ 320円、べに大豆甘納豆マフィン 260円、マフィン 200円、レーズンクリームチーズ小 240円、イチジクくるみ 290円。

自宅の庭に工房を構えた八木潔さん・雅子さん夫妻が営むこぢんまりとしたパン屋。国産小麦と近隣の桐生川源流水、オーガニック素材にこだわる。店頭に並ぶパンは約30種で、その日の種類と焼き上がり時刻は店内のホワイトボードやSNSで確認可能だ。手間をかけた、しっかりとした味わいのパンからは、作り手の実直な人柄が伝わってくる。

脱サラでパン焼き職人に転身した八木潔さん。
脱サラでパン焼き職人に転身した八木潔さん。
県道沿いのこの看板が目印。
県道沿いのこの看板が目印。
住所:群馬県みどり市笠懸町鹿2450- 26/営業時間:10:30~18:30/定休日:月・火と第1・3水(臨時休あり)

岩宿(いわじゅく)博物館

石槍を模した外観が目を引く

出土品のほか、氷河時代を象徴する大型動物としてマンモスの全身骨格標本も置かれた常設展示室。
出土品のほか、氷河時代を象徴する大型動物としてマンモスの全身骨格標本も置かれた常設展示室。

1946年、地元の在野研究者・相澤忠洋氏が関東ローム層から発見した石器をはじめ、旧石器時代のものとされる岩宿遺跡発掘の経緯や出土品などを紹介。博物館東側の『岩宿ドーム(史跡岩宿遺跡遺構保護観察施設)』では地層断面標本展示と解説アニメを上映している。

『岩宿ドーム』は入場無料で、開場時間・休は『岩宿博物館』と同じ。
『岩宿ドーム』は入場無料で、開場時間・休は『岩宿博物館』と同じ。
住所:群馬県みどり市笠懸町阿左美1790-1/営業時間:9:30~16:30最終入館/定休日:月(祝の場合は翌火)

玉子屋やまたか

全商品が保存料不使用・無着色

天国のぶた44個入り 1780円。ウィットに富んだラベルも必見だ。
天国のぶた44個入り 1780円。ウィットに富んだラベルも必見だ。

1977年の創業以来、熟練職人による玉子焼きを扱ってきた経験を生かし、卵のスイーツも製造・販売。“たぶん世界一濃厚なプリン”と銘打った天国のぶたは選りすぐりの卵黄を凝縮した一品で、超が付くほど濃厚。苦みの効いたカラメルとの相性も抜群だ。タルトやシフォンのほか、だしと絶妙な火加減が自慢の玉子焼きも店頭販売している。

ふんわり食感で甘い玉子焼きの真(まこと) 700円(左)、濃厚エッグタルト 290円(中)、たまごシフォン 260円。
ふんわり食感で甘い玉子焼きの真(まこと) 700円(左)、濃厚エッグタルト 290円(中)、たまごシフォン 260円。
住所:群馬県みどり市笠懸町鹿2965-7/営業時間:10:00~18:00/定休日:日・祝

小平(おだいら)鍾乳洞

キャンプ場や親水公園、植物園が点在する小平の里内にある。長さ93mと鍾乳洞としては小ぶりだが、曲がりくねった狭い洞内には石筍(じゅん)や稀少なボックスワーク(箱状のカーテン)などもあり、気軽に探検気分を味わえる。

住所:群馬県みどり市大間々町小平445/営業時間:9:00~16:30最終入館(10月~3月は15:30まで)/定休日:無(12月~3月は月休〔祝の場合は翌火休〕)

お休み茶屋 響(ひびき)

ひと口大のこねた小麦粉に野菜や山菜が入ったちぎりっこ(上)と季節の天ぷら(左下)。総菜類は全てサービスだ。
ひと口大のこねた小麦粉に野菜や山菜が入ったちぎりっこ(上)と季節の天ぷら(左下)。総菜類は全てサービスだ。

国道122号沿いに立つ「名水コーヒー」の看板に導かれ、枝道を進んだ先にある素朴な茶屋。玄関を開けると店主が明るく出迎えてくれる。名水コーヒー500円のほか、食事メニューはちぎりっこ900円、田舎煮込みうどん700円、季節の天ぷら500円、味噌おでん300円など。目の前に広がる自然もこの地ならではのごちそうだ。

名水コーヒーは店主自らデザインした大きなカップで提供。
名水コーヒーは店主自らデザインした大きなカップで提供。
住所:群馬県みどり市東町神戸1131-3/営業時間:11:30~16:30/定休日:月~金(祝の場合は営業)

草木(くさき)湖

山あいに広がる静かな環境の人造湖

国道122号沿いの草木ダム展望台からは広々とした湖面を一望できる。
国道122号沿いの草木ダム展望台からは広々とした湖面を一望できる。

ダム高140mの草木ダムにより渡良瀬川をせき止めた南北に長い人造湖で、総貯水容量は6050万㎥。西畔の『富弘美術館』一帯は道の駅に指定され、草木ダム下や東畔には遊歩道が整備されている。カヌーやSUP(スタンドアップパドルボード)の体験ツアーなど水上アクティビティも人気だ。

●群馬県みどり市東町草木

富弘(とみひろ)美術館

作品を前にすると優しい心持ちに

館内は複数の円形展示室が並び、落ち着いた環境で作品を鑑賞できる。
館内は複数の円形展示室が並び、落ち着いた環境で作品を鑑賞できる。
外壁にも作品が描かれ、草木湖畔の自然に抱かれるように立つ。
外壁にも作品が描かれ、草木湖畔の自然に抱かれるように立つ。

中学校でのクラブ活動の指導中、不慮の事故により頸椎(けいつい)を損傷し、手足の自由を失った旧東村出身の星野富弘氏。口に筆をくわえながら文字を記し、絵を描いた穏やかな作風の詩画作品を集め、展示している。現在は企画展「水温む」を開催中(2022年5月29日まで)。草木湖を望む明るく開放的なカフェも併設。

住所:群馬県みどり市東町草木86/営業時間:9:00~16:30最終入館/定休日:無(展示替え休あり、12月~3月の月休〔祝の場合は翌火休〕)

小中(こなか)大滝・けさかけ橋

思わず足がすくむ奇橋を渡って名瀑へ

長さ51mのけさかけ橋。弘法大師が岩に袈裟をかけた伝承も残る。
長さ51mのけさかけ橋。弘法大師が岩に袈裟をかけた伝承も残る。
けさかけ橋を渡り終えた先にある展望台から小中大滝を見通す。
けさかけ橋を渡り終えた先にある展望台から小中大滝を見通す。

袈裟丸山登山口へ向かうアクセス路の途中にあり、滝の落差は96m。駐車場から展望台までは足場の悪い道を240m進むが、途中にあるのが階段式吊り橋のけさかけ橋だ。最大傾斜はなんと44%もあり、谷底へ向けて吸い込まれるように下らなければならない。通行の際は注意を。

●群馬県みどり市東町小中

袈裟丸(けさまる)山

開花期は多くの登山者でにぎわう

アカヤシオの映える登山道の様子。 (写真提供=みどり市観光課)。
アカヤシオの映える登山道の様子。 (写真提供=みどり市観光課)。

市北部、栃木県との県境にあり、多くの花に出合える山として人気が高い。メイン登山口の折場登山口から前袈裟丸山までは片道約5.5km で、コースタイムは3時間10分(前袈裟丸山の先は通行禁止)。5月から6月にかけ、ツツジ科のアカヤシオやシャクナゲなどが登山道を鮮やかに彩る。

●群馬県みどり市東町小中

旅のワンポイント

渓谷の自然に触れられる“関東の耶馬渓”

大間々駅の東側を流れる渡良瀬川一帯は高津戸峡と呼ばれ、渓谷に沿って全長500mの遊歩道が整備。途中、ゴリラ岩などの奇岩も見られる。

乗り放題の一日フリーきっぷは1880円

「わ鐵」の愛称で親しまれるわたらせ渓谷鐵道。自然を間近に感じるトロッコ列車も運行中だ(別途整理券520円、運転日限定、定員制)。

取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2022年5月号より