親子3代で継ぎ足し続けてきた伝統のだしで煮込む『尾張家』
昭和から続くおでんの老舗で、東京のおでんを語る上で欠かせない店。練り物はもちろん、豆腐、ロールキャベツ、ねぎまなど、独自のおでん種も好評だ。関東風おでんは濃口醤油で味付けするが、この店では日高昆布、鰹節、煮干しで出汁を取り、白醤油と薄口醤油で味を調えた関西風。おでんと並ぶ看板料理が刺し身の盛り合わせ。毎朝、豊洲市場から仕入れるだけあり、鮮度も抜群だ。
『尾張家』店舗詳細
遊び心に富むスペシャルおでんと地酒で勝負『保夜萬歩参』
割烹仕込みの料理人・村椿さんと燗酒名人・吉永さんのチームワークが抜群。店のコンセプトはおでんと日本酒。焼き茄子、だし巻き玉子、手羽海老真丈(しんじょ)……。一品料理と思いきや、おでん種と聞けば驚く人も多いはず。鶏ガラスープに鰹節と昆布の出汁を合わせ、味付けは白醤油、塩、みりんで行い、上品な味に仕上げている。おでんの枠を越えたスペシャルおでんを味わってみよう。
『保夜萬歩参』店舗詳細
気さくな店主が手作り総菜とおでんでもてなす小粋な料理店『なか川』
気さくで話し好きの店主が一人で切り盛りする店、神田『なか川』。おでんのだしは創業以来、継ぎ足しで使い、関西風に味付ける。さつま揚げ、ばくだん(ゆで卵入りの練り物)、エビ巻きなどの練り物は自家製で、知人の農家から直送される野菜を使った野菜のおでんも味わえる。カウンターに並ぶ手作りの総菜も逸品ぞろい。シメの一品は茶漬け風のかけめしがおすすめ。
『なか川』店舗詳細
静岡県人も足を運ぶ“静岡おでん”がうまい店『福ちゃん』
テーブル4卓の小さな店。看板料理は、牛すじのだしを継ぎ足し、濃口醤油で味付けた黒いだしで知られる静岡おでん。牛すじ、なると巻きなど、おでん種も個性的で、仕上げに青のりとだし粉を振りかける。なかでも名物は黒はんぺんで、イワシ、サバなど青魚のすり身にでんぷんと調味料を加え、半月状に成形して茹でたもの。皮や骨もすりつぶすため、灰色になり「黒はんぺん」の名前が付いた。静岡県民のソウルフードでもある。
『福ちゃん』店舗詳細
おでんを肴にクラフトビールを味わえる店『KARAKURI』
階段を下りると、白い暖簾(のれん)を下げた引き戸の玄関が見えてくる。おでん種は定番12種と季節限定2~3種。一番人気の大根は3日かがりで仕込む自信作であり、ちょこんとのせたとろろ昆布の香りがよい。カウンターでひときわ目を引くのがビールサーバー。8個のタップ(注ぎ口)があり、それぞれに異なるクラフトビールの樽がつながれている。日本酒は燗酒12~13種、冷酒10種を用意する。
『KARAKURI』店舗詳細
取材・文・撮影=内田 晃