60年以上愛され続ける老舗『共楽』の、心にしみる昔ながらのラーメン
銀座駅から徒歩4分、にぎやかな中央通りを銀座マロニエ通りに向かって進んでいくと、行列が見えてくる。『共楽』は、1956年創業の老舗ラーメン店。基本のメニューは、創業から変わらない味の中華そばただ一つ。そこにチャーシューやワンタン、タケノコなどのトッピングを追加したメニューが並ぶ。鶏や煮干などがバランスよく、醤油がまろやかにまとめたスープは体の中まで染みわたる、まさに昔懐かしい中華そばの味だ。麺は自家製。やや短めのまっすぐな丸麺は、スルスルッと口の中に入っていく。麺を啜って食べる習慣のない海外の方にも食べやすい麺だ。
一番人気は、ワンタンメン。自家製の皮に肉餡がしっかり詰まったワンタンは、ちゅるんとしておいしい!
肉厚なチャーシューも、コリッとしたタケノコも味がしみて、スープや麺と調和した完璧な仕上がり。チャーシューメン、竹の子そばも人気メニューだ。
『共楽』店舗詳細
中華そばの屋台として始まった『萬福』の100余年にわたる伝統の味
東銀座駅から徒歩2分のところにある町中華『萬福』。大正時代に屋台からはじまった老舗で、初代店主が歌舞伎座からほど近い旧木挽町に店を構えたのは昭和4年(1929)のこと。現店主で3代目となる。初代は洋食の出身だったため、店舗を構えると洋食メニューの提供もはじめ西洋と支那(中華)の両方を提供する西支(せいし)料理店として営業。時代とともに提供するメニューは変わってきたものの、昔から変わらぬスープの製法を受け継いでいるのが名物の中華そばだ。
昔懐かしい醤油スープにややちぢれた中華麺、そして三角形の薄焼き卵がトレードマークだ。麺は喉越しがいい細めのちぢれ麺で、ネギ油のコクと香りが利いたあっさり系の醤油スープとの相性もいい。豚モモ肉のチャーシューはしっかりと醤油で煮込まれて、噛むと繊維質を感じる歯応え。昨今の生ハムのような低温調理チャーシューもおいしいのだけど、この中華そばにはコレしか合わないだろう。トラディショナルな味わいがほっこりと体に染みわたる。
『萬福』店舗詳細
『銀座 八五』の、熟成生ハムで仕上げたラーメンの常識を覆す一杯
東銀座駅から徒歩3分。元フレンチの巨匠である店主が「気取らずに誰でも入れる店で、お客様が喜ばれる顔を直接見たかった」と始めた『銀座 八五』。
高級フランス料理を手掛けてきた店主がラーメンづくりに半年をかけてできあがったのが、タレ(かえし)を使わないというラーメンの常識を覆す一杯。スープは、鴨や鶏、昆布、椎茸、イタヤ貝、ドライトマト、生姜などさまざまな食材から旨味をとる。そして、生ハムの旨味と塩味で味を調整している。出汁100%のスープは、旨味たっぷりで塩味もバランスよく、タレ不使用!? と疑ってしまうほどおいしい。
麺は浅草開化楼のカリスマ製麺師・不死鳥カラス氏とともに開発した特注麺。麺も具もスープを邪魔しないよう、調和を大切に仕上げている。「料理には限界がない」と一期一会の気持ちで謙虚にラーメンに打ち込む店主が作る一杯は、まるでフルコースをいただいたような満足感がある。
『銀座 八五』店舗詳細
銀座通り沿い『ABCラーメン』のゴマたっぷりヘルシーなラーメン
銀座駅からすぐ、高級ブランドショップや老舗百貨店が並ぶ銀座通り沿いにある『ABCラーメン』は創業1977年。昭和から変わらず営業を続けている老舗ラーメン店だ。
看板メニューは麻醤麺(マージャンメン)。フレンチで修業した先代が作ったオリジナルのラーメンで、たっぷりのゴマペーストで健康にもいいんだとか。
まずはスープを一口いただくと、香ばしいゴマの香りが広がる。ゴマペーストのまろやかさとコク、醤油ダレの旨味が絶妙のバランスを生んでいて、ひき肉合わせ味噌もいいアクセントになっている。麺をすすると、中太ちぢれ麺がしっかりとスープに絡み、ゴマの風味を引き立てる。さらに麺のほどよいもちもち食感も言うことなしだ。
ラーメンにおすすめのサイドメニューは1/3チャーハン300円。量もラーメンと一緒にたべるのにちょうどいい、ありそうでなかった1/3サイズ。具材もシンプルで、ラードを使っているのでまろやか食感もたのしめる。
『ABCラーメン』店舗詳細
ほっこり安らぎを感じる町中華『銀座亭』のみそチャーシュー麺
新橋駅から徒歩6分ほど、1975年創業の町中華『銀座亭』は、銀座7丁目の花椿通り沿いにある。店の外から見てもコの字のカウンターはお客さんがギッシリで、厨房の活気が外まで伝わってくる。
幅広いラインナップから選んだメニューはみそチャーシュー麺。もみじ、豚足、野菜などでとったスープと少し辛味がある自家製の味噌だれが決め手。味噌汁のようなやさしくてあっさりしたスープはほっとする味わいだ。野菜はシャッキシャキで、分厚いチャーシューがフタをしているからか食べ終わるまでアッツアツ。中太のストレート麺はもちもちとしてやわらかく、グングンスープを吸い上げていく。
しっかり醤油ダレがついた、脂身が少なめの豚肩ロースのチャーシューが、全体的にあっさりとしたこのラーメンにほどよくインパクトを与えていて、最後までおいしく食べられた。
『銀座亭』店舗詳細
日本一旨いと言われる十三湖のしじみをラーメンで味わう『らーめん一郎』
銀座駅から徒歩30秒。『らーめん一郎』は、青森シャモロックや十三湖のしじみなどを贅沢に使ったラーメンで人気の店。看板にはしじみらーめん、カレーらーめん、ねぶた漬ごはんと、青森を連想させるメニューがちらほら。
特に気になるのが、しじみらーめん。日本一旨いと言われる十三湖のしじみをたっぷり使った一杯だ。ベースは青森シャモロックに焼きあご出汁。そこにしじみをたっぷり投入して、しじみの旨味をしっかり堪能できるスープだ。2016年の開業時より、「塩の種類をちょっと変えたり、しょっつるを追加しています。そうすることで、しじみの旨味がより引き立つようになりました」とブラッシュアップを重ねている。
醤油・塩・カレーらーめんには黄色い縮れのついた中太麺を使っているが、しじみらーめんに合わせる麺は細麺。しじみスープになじむパツパツ食感だ。噛むごとに肉に染みた旨味が口いっぱいに広がる大判チャーシューは、追加でご飯を頼みたくなる!
『らーめん一郎』店舗詳細
昭和初期の麺レシピを再現! 『船見坂』の古き良き函館ラーメン
地下鉄東銀座駅から徒歩1分。東銀座のシンボル・歌舞伎座のほど近くにあり、現代的な高層ビルやモダンなショップが並ぶ中にラーメン店『船見坂』がある。
コンセプトに“昭和初期の函館ラーメン”を掲げ、シチュエーションだけでなく味にもこだわる。看板メニューは、魚介類と豚骨や鶏、野菜をじっくり煮込んだ清湯が自慢の、シンプルで昔懐かしいテイストの塩そばだ。
昔のレシピを頼りに当時を再現した特注の細麺は歯切れが良く、まろやかながら後味すっきりの黄金スープをよく吸い上げる。豚バラのチャーシュー、メンマ、ほうれん草、ネギ、ナルト、海苔とトラディショナルなトッピングもブレていない。
とはいえ、店主は「チャーシューは醤油とみりんのタレで味つけ、タレを継ぎ足しながら作っているのでカドが取れたまろやかさがある」と語り、シンプルだからこその味の追求も忘れてはいない。卓上のゆずこしょうで味変を楽しみながら、最後まで味わい尽くせる。
『船見坂』店舗詳細
『らーめん 松富』の、あさりの旨味が身体に沁みる限定ラーメン
銀座駅から徒歩4分、『らーめん 松富』は路地裏にある知る人ぞ知る店。
基本のスープは、げん骨や北海道の日高昆布のほかさまざまな食材を特注の鍋で長時間炊いて、旨味たっぷり。売り切れ必至の1日20食限定のあさりらーめんには、市場で毎朝仕入れる新鮮なあさりを使う。やや白濁したスープはあさりの旨味はもちろん、トッピングの切り昆布が磯の香りを引き立てる。バターも添えられていて、溶けていくとまろやかなあさりバターの味わいに変化する。
麺は醤油らーめんやつけ麺などスープに合わせて3種類を使い分けている。あさりらーめんにはつるつるっと食べやすい卵麺を使用。トッピングの切り昆布も卵麺と一緒に啜りやすい。あさりの旨味を余すところなく味わえるよう細部までこだわりが詰まった一杯だ。夜はシュウマイや餃子などつまみも充実のラーメン居酒屋としても重宝する。
『らーめん 松富』店舗詳細
超濃厚なのにやさしくさわやかな味わいのつけ麺『銀座 朧月』
銀座駅から徒歩3分。数寄屋通りの一角にあるつけ麺の名店『銀座 朧月』。
人気メニューは基本の濃厚つけ麺にあぶりチャーシューと味玉がトッピングされた特製つけ麺。盛り付け直前にバーナーであぶられたチャーシューは、香ばしさを感じさせながらほろっと口の中で崩れていく。
箸で持ち上げた麺は太くて重く、箸先からもっちりした感じが伝わってくる。スープに投入し、いただくと、まず感じるのは、麺の強いコシ。その直後にスープの味が口中に広がる。なるほど濃厚。濃厚なのにごくごく飲みたくなる。魚介豚骨というもっともポピュラーな素材を使いながらもどこにもない味わいだ。やさしく、奥深く、ほんの少しさわやかな酸味も感じる。濃厚なのに、まったくもたれる感じがせず、いつまでも楽しみたい味わいのスープ。まったく経験したことのない濃厚かつさわやかな味に魅了された。
『銀座 朧月』店舗詳細
『銀座 梵天』の旨辛ダレのつけそばは“一撃必殺”麻辛丸(マシンガン)
銀座一丁目駅から徒歩1分。『銀座 梵天』は、おしゃれで近代的なビルが並ぶ銀座の街並みの中にある。看板メニューはつけそば麻辛丸。“麻辛丸”は登録商標だ。
特製極太麺は小麦の風味ともちもち食感を堪能できる。まずはタレをつけずに麺そのものの味を楽しみたい。次に旨辛ダレをつけて一口いただくと、辛味と酸味があわさった刺激にその名のとおり撃ち抜かれる。旨辛ダレは極太麺にしっかりと絡み、麺の旨味とあわさってタレのおいしさを引き立てる。旨辛のつけダレは、辛味だけではなく、ベースの鶏スープのまろやかな旨味も味わえ、味の深みも楽しめる。追加のトッピングは豚ロースを使った自家製チャーシューがおすすめだ。タレをしっかりと絡めていただくと肉の旨さが倍増する。極細麺で超あっさり味の和風ラーメン950円や、旨味と酸味を楽しめるスーラーメン950円など、ラーメンメニューも見逃せない。
『銀座 梵天』店舗詳細
取材・文・撮影=丸山美紀(アート・サプライ)、大熊美智代、パンチ広沢、羽牟克郎、夏井誠