憧れていたラーメンを食べたいと思いオープン
『鶏白湯ラーメン 鳥ぶし』は2022年11月にオープン。店主のブイヤン・モハシンさんは、バングラデシュ出身のムスリムで、来日から20年以上が経つという。
「日本のラーメンには豚が使用されていることが多いので食べられませんでした。日本の文化であるラーメンを、ぜひムスリムの人たちにも食べてもらいたいと思い、ハラルラーメンを作ろうと決意しました。ラーメンは一度も食べたことがなかったので、友人のラーメン職人と相談して鶏白湯にしました。食材はもちろんのこと、トッピングや調味料などもムスリムが食べられるハラル食材を使用しています」と話してくれた。
マイルドな辛味の鶏赤湯らーめん
注文は入り口近くにある券売機で。辛党なので、ラー油や豆板醤などで辛味を効かせた鶏赤湯らーめん990円を選んだ。食券を渡すとスタッフから「パクチーは大丈夫ですか? ネギに変更可能です」と聞かれる。パクチーの味は嫌いではないが、クセが強いので、鶏赤湯らーめんの味を堪能するためネギに変更した。
しばらくすると真っ白な丼が運ばれてくる。スープは真っ赤で見るからに辛そう。スープをすくってみると、鶏白湯にしては粘度が少ないさらりとしたスープだ。ひと口飲めば、マイルドな辛味の中に鶏白湯の豊かな風味が感じられた。もっと辛さの刺激を求めたいなら、注文時に伝えれば対応してくれるという。
特製の細麺はツルッとした表面で、噛めばモッチリとしている。鶏の旨味を最大限生かしたちょっと刺激的なスープとの相性も抜群。トッピングはホロホロと崩れるように柔らかい鶏チャーシュー、ほんのりと甘さを感じる鶏そぼろ、コリッとした歯ざわりのキクラゲ、辛味をつけた長ネギなども味や食感のアクセントを与えてくれる。
鶏チャーシューを一緒に炊き上げた鳥ダシご飯320円を追加した。パラパラとした食感で、噛みしめれば鶏の濃厚な旨味がジュワーと広がる。柔らかな中にも弾力を感じる鶏モモ肉は旨味をさらに増幅させる。
鶏の旨味満載のスープが、トッピングでさらに旨くなる
もちろん、店名にある鶏白湯らーめんもおすすめで、全部のせ鶏白湯らーめん1450円が看板メニュー。ドカッと存在感がある鳥チャーシューや鶏そぼろ、味付け玉子などがのった豪華な一杯だ。鳥赤湯らーめんでは、ネギにしたので、今回はパクチーを選択。
じっくりと時間をかけて作る鶏白湯は、さらりとしているがクリーミーさを感じられる。臭みが全くなく、鶏の旨味だけを抽出しているので、スープだけごくごくと飲みたくなるほど。鳥赤湯らーめん同様に、麺との相性は抜群で、添えられた鶏そぼろやパクチーなどと一緒に食べれば、鶏白湯の旨味が一段上がったようになる。
もちろん、鳥チャーシューや半熟具合がたまらない味玉といったトッピングも秀逸。キクラゲの歯ざわりもいい。
鶏の旨味をさらに凝縮したつけ麺もおすすめ
今回は食べなかったが、鶏白湯つけ麺950円も人気だという。味付玉子がトッピングされ、鶏チャーシューが増量される全部のせ鶏白湯つけ麺1510円ならばかなりの豪華さ。
つけ汁は、ラーメン以上に濃厚な鶏の旨味があり、ナンプラーベースで味付けされたネギもたっぷり。小麦が香る中細麺は、茹であがりで350gもあるが、女性でもペロッと食べられるとか。次回はつけ麺にも挑戦したい。
サイドメニューも充実。多くの人にハラルラーメンを食べてもらいたい
ブイヤンさんは「鶏肉やニラ、キャベツなどを使った鶏餃子5個580円をはじめとしたサイドメニューも豊富にそろえています。もちろん、ハラルなので、安心して食べられます。ムスリムは全世界で20億人いるといわれています。そんな人たちだけでなく、すべての人にハラルラーメンを食べていただきたいと思います。私自身がそうなのですが、旅行先で食べるものに本当に苦労しています。これから先、さまざまな観光地に出店できればと考えいます」と今後の展望も教えてくれた。
ハラルフードと聞くと、どこか味気なく、物足りなく感じる人もいるだろう。しかし、実際に食べてみれば、鶏の旨さを実感できて誰もが満足することができる。アメ横を訪れるなら、ぜひチェックしたいそんな一杯だ。
構成=アド・グリーン 取材・文・撮影=速志 淳 写真提供=鶏白湯ラーメン 鳥ぶし