わくわくしながら引き戸を開けると、今どきでおしゃれだけど、どこかほっとする。
戎谷美野里さん、西村拓也さん、田中明裕さんの3人が、“川越でゲストハウスをやりたい!”という思いから、川越のまちづくりキャンプへの参加を経て立ち上げた宿だ。
地元の協力でようやくみつかった建物は、築100年を超える2階建て長屋。川越まつりでは町内会所として使われていたもので、既存の建築をできるだけ活かして作られたと聞いて納得。土間やちゃぶだいが置かれた和室があり、奥には中庭が広がっていて、昔の情景が思い浮かぶよう。
ROOM TYPE
14:00 ひと休みしながら最新の情報収集
たわいもない日常がとっておきの時間に
日が暮れてくると、日〜火曜に開く「コータbar goen」 がスタート。軽くつまんで飲んでいると、近所の人たちが近況を報告し合っていたり、川越話で盛り上がっていたり……。
我が家のようにくつろいでいて、自然と心がゆるんでいく。夜は外のお店に食べにいくつもりだったけど、楽しすぎてついラストまで居座ってしまった。酔い覚ましの散歩で、蔵造りの町並みへ。通りには人影がなく、外灯に照らされた建物はリアルさが増して、タイムスリップしたような気分に包まれた。
ちゃぶだいを囲むようにつながっていく
19:00 内も外も入り交って和気あいあい
22:00 名残惜しいけど消灯まであと少し
07:30 朝ご飯は外に行く? ここで食べてもOK
翌朝は、早起きして向かった川越氷川神社で、女子に大人気という縁結び玉をゲット。これ目当てで泊まりにくる人もいるそう。ぶらぶらした後は、戎谷さんに教えてもらった喫茶店へ。知る人ぞ知るモーニングのおいしいお店で、地元民っぽい時間の過ごし方に自画自賛。宿を出るときは、 「また来ます!」 と宣言。 社交辞令のときもあるが、今回はかなり本気だ。おばあちゃん家のような感覚で、毎年泊まりに来るのもいいな。
取材・文=井島加恵 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2020年10月号より