【雰囲気もコスパも最高】
創業1979年の南イタリア料理の老舗『銀座 スケベニンゲン』
銀座のど真ん中にある南イタリア料理の老舗、その名も『スケベニンゲン』。もちろん店名の由来は日本語のそれとはまったく別のところからきている。それが私たちを一瞬ドキッとさせるのは、ただの偶然、ではなく初代オーナーの遊び心とセンスのたまもの。
お店があるのは、銀座三越のすぐ近く。中央通りから三越と松屋に挟まれた松屋通りを入り約100m。つまり銀座のど真ん中だ。
『銀座 スケベニンゲン』がこの地に開店したのは1979年のこと。もともとは1977年に旅行代理店出身の初代オーナーの小野澤邦夫さんとシェフの山口櫻子さんが新橋駅のすぐ近くに旅行会社&喫茶店を開店したのが始まり。
今回いただいたランチは、『スケベニンゲン』のまるでオムレツのような形の名物料理・フリッタータ。パスタと卵がまじりあいながら、きれいな形にまとめられている。やさしくてうまい、おすすめの一品だ。
『銀座 スケベニンゲン』店舗詳細
『ワイン懐石 銀座 囃shiya』のハヤシライスは、野菜を食べる“スープハヤシ”
日本料理の職人であるオーナーシェフが手がける創作和食と日本ワインのマリアージュを堪能できる『ワイン懐石 銀座 囃shiya』。
ランチで限定35食のハヤシライスは野菜をまるごといただけるようなもので、栄養満点の野菜の皮からとった出汁をベースにしたハヤシソースに旬の野菜がたっぷり入っている。
野菜とカツオのW出汁に完熟トマトのペーストを加えた和洋折衷のハヤシソースは、甘味・酸味・旨味のバランスが絶妙で、サラサラしていてまろやかな口あたり。定番のハヤシライス1000円にプラス350円で、新鮮な朝採れ野菜のランチサラダがつき、3種類のシェフ特製ドレッシングでいただくことができる。
また、唐辛子や山椒のソース、すりおろし生姜を加えた一風変わった辛いハヤシライスも人気。それぞれプラス250~300円でトッピングできるので、ハヤシソースに少しずつ混ぜながら味変を楽しみたい。
野菜をまるごといただく、これぞ“銀座名物”ハヤシライスなのだ。
『ワイン懐石 銀座 囃shiya』店舗詳細
七変化するまぜSOBAを楽しむ『むぎとオリーブ 銀座本店』
貝出汁たっぷりの蛤(はまぐり)SOBAをはじめ、蛤・鶏・煮干しのトリプルSOBAが人気のラーメン店『むぎとオリーブ 銀座本店』。これらのあっさり系ラーメンとは打って変わって、常連さん&スタッフがイチオシする濃厚日本一卵のまぜSOBA950円は、店名にちなんでオリーブオイルを使ったまぜそばで、“日本一”を謳うブランドたまごを使用している。
もっちもちの中太麺に濃厚な黄身がからむしょう油味ベースのまぜそばは、そのまま食べてもおいしいのだが、味変を始めたら無限ループの沼にはまってしまうのだ。特に粉チーズと黒コショウをかけてカルボナーラ風にアレンジする食べ方がおすすめ。エシャレット風味のオリーブオイルやリンゴ酢を加えると、途中でサッパリいただけるのもうれしい。オリーブオイルのおかげか食べ終えた後に胃がもたれることはないだろう。
およそラーメン店とは思えない店構えで、内装もカジュアルで清潔感があり、女性も入りやすい雰囲気だ。
『むぎとオリーブ 銀座本店』店舗詳細
カツカレー発祥の店といわれる歴史ある洋食屋さん『銀座スイス』
銀座駅から徒歩3分、カツカレー発祥の店として有名な『銀座スイス』。創業1947年という長い歴史と、先代からのレシピを忠実に守り続ける老舗の洋食店だ。
ランチでは元祖カツカレーセット1430円が大人気。ひき肉と野菜をじっくりと煮込んだとろりまろやかなカレーソースとお店自慢のカツレツを組み合わせたメニューは数量限定なので開店早々売り切れる日もあるそう。千葉さんのカツレツカレー1980円は、カツレツを120gとボリュームアップ。がっつりいただきたい人向けだ。
すべての料理につくポタージュスープも、創業以来のレシピを守り続け、老舗のこだわりがつまった一品。定番のカツレツやハンバーグなど、歴史ある洋食店のメニューと、上質のベーコンと玉ねぎを使った洋食屋さんのシュウマイや豪華なシーフードをトッピングした昭和のグラタンなど、オリジナルのメニューも充実している。
『銀座スイス』店舗詳細
長崎発祥・丼たっぷりのアツアツ茶碗蒸し&蒸し寿司『銀座 吉宗』
長崎県長崎市にある本店をルーツに持つ『銀座 吉宗』は、毎日限定20食という丼サイズで提供される茶碗蒸しとあったか~い蒸し寿司がセットの夫婦蒸しが看板メニュー。
茶碗蒸しは直径およそ12cm、深さ8cmの丼に新鮮な卵とカツオと利尻昆布の和風だしで作った卵液をなみなみと注ぎ、ネオンカラーのかまぼこ・巻きかま2種を筆頭に、焼きアナゴ、カレイ、銀杏、軽く煮付けたタケノコ、きくらげ、しいたけ、大山鶏もも肉、お麩、計10種の具材が入っている。卵液にたっぷり出汁が入っているが、蒸している間にほかの具材からも旨味がしみ出す。すべての旨味を吸い上げるお麩が実は1番おいしい具材とか。茶碗蒸し好きにはぜひ食べて欲しい。
ほんのり甘酢が利いた酢飯のほかほか蒸し寿司は、錦糸玉子と刻みアナゴ、ピンク色のは魚のおぼろ(でんぶ)がたっぷり。ホカホカだが酢飯なのでしっとりしていて具材もそれぞれしっかり味がつけられておりほんのり甘い。茶碗蒸しと交互に食べると出汁の風味が相まっておいしい。
『銀座 吉宗』店舗詳細
薬膳のイメージを覆す彩り豊かなキーマカレー『薬膳Dining&Bar 銀座しんのう』
『薬膳Dining&Bar 銀座しんのう』は“世界美食薬膳名師”の称号を持つ店主が、ふだんの生活にも薬膳を取り入れてほしいとの思いから2020年にオープンしたお店。
店主イチ押しのランチのメニューは、薬膳キーマカレーにモルネ―ソース(ベシャメルソースにブイヨンとチーズを加えたソース)をトッピングした薬膳チーズキーマカレー1600円。20種類以上のスパイスを使っているというキーマカレーはしっかりとした味付けで、まろやかなモルネ―ソース、ヴィシソワーズと合わさってちょうどいいバランス。スパイス感はあるそんなに辛くなく、むしろ甘みのようなものを感じる。
砂糖は使っておらず、“甘草(かんぞう)”という生薬で甘みを出しているそう。「味が薄そう」「苦そう」といった薬膳料理のイメージをひっくり返す奥深い味わいだ。
ランチには薬膳ドレッシングのサラダが付いて日替わりの薬膳茶2種類が飲み放題なのもうれしい。
『薬膳Dining&Bar 銀座しんのう』店舗詳細
『Mrs.Dada』カレーを超えた!? 芸術的な一皿[銀座]
カレーをひと目見てうっとり。ルーを海に、ターメリックライスを陸に見立て、「この一皿から地球を感じていただければ」と、店主の大河原拓馬さん。独創的なのは見た目のみならず。牛・豚・鶏のエキスがぜいたく&濃厚な動物系ソースもいいが、魚6種の中骨以外を全て漉(こ)し、貝、甲殻類の出汁と合わせた魚介系は、ソース自体が海を凝縮した香り。スパイスが後を引き、恍惚(こうこつ)に至る。
『Mrs.Dada』店舗詳細
【ぜいたく気分のランチ】
名物カレーとコラボしたオムライス。『ア・ヴォートル・サンテ・エンドー』
職人気質な遠藤克己オーナーシェフが作るオムライスやフルーツカレーが名物ですが、お客さんの要望に応えて2017年に登場したのがカレーオムライス1750円(平日ランチ時)。中は辛めのキーマカレーとライス。ソースはお店で出しているカレーを濾(こ)し、サラサラのスープカレーのよう。ライスに負けないよう、玉子に塩気と甘みを加えているのがポイントです。
『ア・ヴォートル・サンテ・エンドー』店舗詳細
極限の表面張力でプルプルふるえるオムライス。『YOU』
創業は1970年ですが、オムライスの登場は平成に入ってから。近隣に競合コーヒーチェーン店ができたため、店主の松嶌龍子さんが差別化のために創作。お皿をゆするとやわらかオムレツがプルプル揺れ、最近ではSNS動画投稿を見てアジア圏からも若い女性が押し寄せるように。オムレツを端から崩して食べたり、スプーンで開いたりと、食べ方はさまざまです。
『YOU』店舗詳細
タネの旨さを引き出す江戸前仕事。『鮨 太一』
軽妙なトークとリズミカルな握りが印象的な大将・石川太一さん。外堀通りから一本入った小路に店を構えた理由を「色気がある場所だから」と話す。端正な江戸前を基本に置き、鮨種を受け止める酢飯は、赤酢を利かせながらも角のないまろやかさが特徴。マグロや昆布〆のヒラメは酢飯との一体感を考慮し、握る直前に陶器で温度を整える。魚の旨味を引き出す丁寧な仕事と穏やかな人柄が、店を後にしても続く心地いい余韻を生む。
『鮨 太一』店舗詳細
ワインで“ヌーベルシノワ”な時間を。『CHINESE CUISINE SON』
磨き抜かれたカウンターに、寸分狂わず並べられたワイングラスが反射する。コンセプトは「新中華料理(ヌーベルシノワ)」。 しかし革新的には走り過ぎず、台湾出身の李義人シェフが提案するのは、素材の持ち味を生かす広東料理をベースにした、ワインと合う中国料理だ。二面から光が差し込むモダンな空間で、洗練された食体験に身を投じたい。
『CHINESE CUISINE SON』店舗詳細
やっぱり炊きたてのお米が好き! 『銀座米料亭 八代目儀兵衛』
「最高で8杯召し上がった方も」とマネージャーの菊地直門さん。「おかわり自由」につられてつい2杯3杯と頼んでしまうごはんの秘密は、洗いの工程から使う水に至るまで、米料亭ならではの情熱が込められているから。完成まで3年かけた有田焼の土鍋釜で炊く独自ブレンドの米は、甘い香りとともに息遣いさえ感じるような輝きを放ち、噛めばふっくら、しみじみ旨い。本店を置く京都風のおかずもお見事。では、もう1杯!
『銀座米料亭 八代目儀兵衛』店舗詳細
ヘルシーなニュージーランド料理。『アロッサ銀座』
ラム肉やマヌカハニーといったニュージーランドの食材と、国産の産地直送野菜を使ったヘルシーな料理を味わえる。パワーフードとして名高いキヌアや、契約農家で採れた旨味の強い野菜を、それぞれ別の味付けを施してサラダに仕上げている。シンプルかつインパクトの強い料理が特徴だ。3000円ランチコースがおすすめ(要予約)。銀座の目抜き通り沿いにあり、天井が高くモダンな内装。8階からの眺めも素晴らしい。
『アロッサ銀座』店舗詳細
豚肉でとった丼タレで煮込む秀作。『銀座梅林本店』
ロース肉のトンカツを丼タレで3分ほど煮込み、溶き卵をかけてフタをする。タレの出汁にはかつお節ではなく、昭和2年(1924)の創業以来、豚スジ肉を使ってきた。旨味を含む出汁に醤油、ミリン、砂糖を加えた丼タレでトンカツを煮込むため、濃厚で奥深い味わい。米はカツとの相性を考え、山形産つや姫を選んだ。カツ丼は男の食べ物という印象が強いが、銀座の淑女も『梅林』のカツ丼をお気に召すらしく、注文する人が後を絶たない。
『銀座梅林本店』店舗詳細
/定休日:無/アクセス:地下鉄銀座線銀座駅から徒歩5分
値段以上のボリュームと味わい『銀座 てんぷら 阿部』
『なだ万』で30年間天ぷら一筋だった阿部三郎さんが2009年に開業した。夜は銀座価格だが、ランチに限り、大海老天丼もかき揚げ丼も1100円。大海老天丼は海老2本と野菜3種類、かき揚げ丼は海老と4種類の野菜のかき揚げが盛られている。かき揚げ丼は普通かき揚げだけだが、ボリュームを出したかったことから2種類の野菜の天ぷらと、なだ万時代、特別な客だけにふるまっていた卵の天ぷらも添えられている。卵を割り、天ぷらとからめて食べると誠に美味。
『銀座 てんぷら 阿部』店舗詳細
【京橋へ足を延ばして】
名店出身シェフの肉系ビストロ『Beeftro by La Coccinelle』
「ビフトロ」とは、ビーフとビストロを組み合わせた造語。白金台のフレンチ『オザワ』出身の飯塚徹さんと村田英治シェフが肉に特化させたビストロで、男女問わず支持を集める。ランチは日替わり2〜3種類で1300円。脂の多い肉にはさっぱり仕立てのソースを、淡泊な肉には濃厚なクリームを添えるなど、コントラストの効いた料理が登場する。ソムリエでもある飯塚さんがフランスで買い付けたワインも、グラス750円から揃う。
『Beeftro by La Coccinelle』店舗詳細
今日も変わらぬ味を守り続ける和洋料理屋『京橋きむら』
先代・木邑芳雄さんが始めた和洋料理屋を家族で引き継ぐ。ランチメニューは、宮崎県産豚を使用したとんかつ定食や、たっぷりの生姜と刺身醤油がアクセントのポーク生姜焼き定食など7種類。客席から奥の厨房へとつながる小窓から「ジュウ〜ッ」と心くすぐる音と芳しい香りが漂い、待ち時間さえ楽しくなる。近隣の会社員らで活気づくランチ帯に対し、夜は日本酒と酒肴を片手に先代の思い出話に花を咲かせる常連さんの姿も。
『京橋きむら』店舗詳細
取材・文=井上こん、新井鏡子、岸本好弘、中島茂信、丸山美紀(アート・サプライ)、羽牟克郎、パンチ広沢、夏井誠、コバヤシヒロミ、林さゆり 撮影=オカダタカオ、高野尚人、新井鏡子、平澤清司、松岡誠、山出高士、丸山美紀(アート・サプライ)、羽牟克郎、パンチ広沢、夏井誠、コバヤシヒロミ、加藤熊三