体によい料理を食べたいと思って自然食レストランに行くと、確かに野菜は多いけれど、どこか味付けが物足りない、雰囲気もイマイチ……という経験はないだろうか。そんなときに、ぜひおすすめしたいレストランだ。日本ではまだ馴染みのないニュージーランドの食材と国産の産地直送野菜をふんだんに使い、独自の手法でアレンジした料理を提供。銀座一丁目駅からすぐの絶好のロケーションで、目にも美しい料理を楽しめる。

ニュージーランドという国

ニュージーランドは、南西太平洋のオセアニア、ポリネシアに位置する島国。先住民族はマオリ族だ。ラグビーW杯で話題になったニュージーランド代表「オールブラックス」が披露した迫力満点のダンス「ハカ」は、このマオリ族の儀式に由来している。

1600年代にオランダ人の冒険家が到達し、その後、イギリスが入植。自然に根ざしたマオリ族の風習とヨーロッパの文化が融合した独自の文化を形成している。マオリ族に伝わるマヌカハニーは、優れた抗菌作用も持つパワーフードとして有名。さらにニュージーランドは農業大国、酪農王国でもある。特に無農薬の牧草を食べて育ったラム肉の品質は高く、放牧されて育った乳牛から取れる乳製品も人気が高い。

3000円のご褒美ランチ

そんな野性味溢れる素材を生かした料理を、ランチでは1100円から食べられるとあって大変な人気だが、今回は3000円のランチコース(要予約)とディナーメニューのアラカルト、ケールのサラダ1600円を紹介しよう。料理長の青木祐介さんにお話をうかがいながら、実際に料理を味わってみた。

3000円のランチコースのアミューズは「カリフラワームース カニ コンソメジュレ」。コンソメスープのジュレの下にカリフラワーのムースとズワイ蟹のほぐし身が潜んでいる。蟹の旨味が濃厚な一品だ。コースのアミューズは、その日によって変わる。

2品目は「マヌカハニードレッシングのサラダ」。フリルレタスとサニーレタスをベースに、ベビーリーフ専門に栽培している契約農家から仕入れたベビーリーフを混ぜている。押し麦やレンズ豆、わかめやスプラウトもぞれぞれ別の味付けを施しているという手間のかかりよう。にんじんは粗みじん切りにしてクミンとニンニク、塩胡椒、オリーブオイルで味付けされている。さらにサラダ全体は、マヌカハニーのドレッシングで和えている。シンプルでありながら、それぞれの味が際立つアロッサの真骨頂ともいえる一品だ。このサラダを存分に味わいたいならディナーメニューのアラカルト、ケールのサラダ1600円がおすすめ。2人でシェアしてもちょうどいいボリュームだ。ニュージーランド産ビーツにキヌア、チーズをトッピングし、マヌカハニーをベースにレモンやマスタードで味付けしたドレッシングで和えている。見た目以上に素材の味が力強い。

3品目は「根セロリのスープ」。根セロリとは茎を食べるセロリの球根ではなく、根だけを食べるセロリ科の別品種。小さなかぼちゃ大の根菜だ。これをピューレ状にし、牛乳と生クリームでスープにしている。ほくほくした芋のような味の中に、ほのかな苦味を感じる奥深い味のスープだ。

メインは「ニュージーランド産ラム肉のグリル」。ラックと呼ばれる背骨の部分を、ラム肉の骨からとった出汁のソースでいただく。肉質が細かくジューシーで、噛むほどにほのかな甘味も感じられる、極上のラム肉だ。付け合わせの野菜は、長野の契約農家から直送。旬の野菜6種ほどをグリルしている。写真の野菜は、紅芯大根と金時人参、みどり大根、松本一本ネギなど。春には山菜、夏はトマトやズッキーニもラインナップされる。

デザートはニュージーランド伝統のスイーツ、バブロバをアレンジした一品。イギリスのカフェやスイーツ専門店でも人気が高いメレンゲの焼き菓子だ。ふわふわに泡だてたメレンゲに生クリームを混ぜて、フルーツのソースをかけたとろけるような食感のスイーツ。この店では、生クリームの代わりにドゥーブルクリームをトッピングしている。ドゥーブルクリームとは、乳脂肪分が高めのこってりとしたクリーム。リコッタチーズのような濃厚な味わいだ。爽やかな味のキウイとよく合う。この他にパン(エキストラバージンオリーブオイル付き)が付く。

これでも十分なボリュームだが、3品目のスープをパスタに変えた3800円のランチもある。パスタは日替わりで、生麺のタリオリーニを提供。また、お得な1100円のランチの内容は週2回変わるので、店公式のインスタグラムやfacebookを確認してほしい。

特別な日のご褒美ランチでも、銀座でショッピングを楽しんだあとに8階からの眺めを楽しみながら味わうのもちょうどいい。天井が高くモダンな雰囲気の内装もよい。

取材・文・撮影=新井鏡子

住所:東京都中央区銀座2-4-6 銀座ベルビア館8F/営業時間:11:30~14:30LO(売り切れ次第終了)・18:00~ 21:30LO(日・祝・連休最終日は~21:00LO)/定休日:無(2020年4月からは日曜)/アクセス:地下鉄銀座一丁目駅から徒歩1分