2017年オープン。新しい挑戦に挑み続ける革新的なハンバーガー店

北千住駅西口から味な酒場が並ぶ歓楽街を横目に歩くこと3分、『BOSSA BURGER』にたどり着いた。にぎやかな通りから1本奥の細い路地に入っていくので不安になり、時折立ち止まって現在地を確認しながら歩いた。

地図が示したのは、昭和の香りがプンプンする2階建ての一軒家。看板が出ていたので、おいしそうなハンバーガーの写真とメニューを確認し、店がある2階へ向かった。

鉄製の階段は一段上がるごとにカンカンと音が鳴る。
鉄製の階段は一段上がるごとにカンカンと音が鳴る。

外観こそ昭和のムードが漂う和風な佇まいだが、入口はアメリカンなレトロ調。店内はどんな風になっているのか気になる。

アメリカンビンテージを思わせるドア。
アメリカンビンテージを思わせるドア。

出迎えてくれたのは、店長の菊池航さんだ。「店名のBOSSAには“革新的なことやほかにはないもの” みたいな意味があります。ハンバーガーを通じて常に新しいことに挑戦し、成長し続ける店でありたいという想いが込められています」と話す。

笑うとえくぼが浮き出てやさしい雰囲気の菊池さん。
笑うとえくぼが浮き出てやさしい雰囲気の菊池さん。

2017年、この場所にオープンした『BOSSA BURGER』。「僕は2017年からこのお店で働きはじめ、2021年の店舗リニューアルを機に3代目の店長になりました。レギュラーメニューはそのままですが、月替わりのメニューを加えるなど少し僕なりのアイデアを盛り込みました」と菊池さん。

見た目からするとがっつりボリュームがあるメニューなので男性客が多いかと思いきや、「たぶん6割は女性です」という。清潔感もあってセンスのいいインテリアのせいもあり、女性1人でも入りやすそうだ。

和洋折衷レトロ感がいい。
和洋折衷レトロ感がいい。

元八百屋&レストランをリノベしアンティークに囲まれた店内

『café わかば堂 北千住』、『あさり食堂』、『萌蔵』、『南蛮渡来』と聞いてピーンと来た方、そう、『BOSSA BURGER』はこの4店の姉妹店なのだ。

「以前は飲み屋横丁から1本路地に入ったところは何もなかったんです。1990年に入ってオープンした『萌蔵』っていう古民家酒場を皮切りに、この路地一角には『BOSSA BURGER』を含めた系列店が5店舗あります。飲み屋横丁って割とディープだから、若い人でも入りやすいライトな感じで楽しめる店を目指しています」。このほか、北千住にはあと2店舗系列店があるそう。

窓際の植物たちや、木製のオブジェ、古いランプがおしゃれ。
窓際の植物たちや、木製のオブジェ、古いランプがおしゃれ。

『BOSSA BURGER』もほかの姉妹店と同じように古民家をリノベーションしている。見渡すとさりげなく置かれているドイツ製の花瓶や鉢が目に入る。1970〜80年代のもので、そこに植えられた観葉植物がいい佇まい。アンティークのもつ温かみと植物の癒やしの力のせいか、なんだか妙に安らぐ。

「ここはアパートみたいな感じに見えるけど、もとは八百屋さん。1階で売っている野菜を使ったレストランが2階にあったそうです。そのあと貸し倉庫になり、うちが借りることになったんですよ。天井のところにある梁がいいでしょう? 今、キッチンがあるところはテラスだったそうですよ」。

剥き出しになった梁の質感がさらに店内のムードを盛り上げる。
剥き出しになった梁の質感がさらに店内のムードを盛り上げる。

ああ、言われてみたら! こんなに独創的な店だもの、ハンバーガーの味も大いに期待できそうだ。

アゴが外れそうなくらいのビッグサイズ! ボリューミーな名物・ボッサバーガー

ハンバーガーレギュラーメニューは22種。このほか月替わりメニューやホットドッグなどもある。「ハンバーガーといえば見た目も味もワイルドなアメリカンなイメージですけど、うちのは盛り付けにこだわり、味も緻密に計算しています」と菊池さん。

看板メニューのボッサバーガー2035円は、オニオンリングやパイナップルがサンドされているけど、どんな味なのか気になる。

「味が想像できないかもしれないですけど、みなさん最後には『なるほど、こういう味ね』って納得されていますね」と菊池さんがいうので、「なるほど」の先が知りたくなってオーダーした。ランチタイムはドリンクがお得だから自家製コーラ250円も追加。

さらにトッピングで自分なりの味にカスタムできる。
さらにトッピングで自分なりの味にカスタムできる。

さっそく菊池さんが調理に取り掛かる。バンズは地元で人気の『ミサキベーカリー』によるほんのり甘めの特注品で、ビーフ100%のパティは千駄木にある老舗『越塚ハム』から仕入れたもの。粗挽きの国産牛とオーストラリア産牛を半々に入れパティに仕上げている。

まずは半分に切ったバンズとパティを鉄板へ。続いて厚切りのベーコン、目玉焼き、パイナップルも鉄板という名のリングへ入場。オーダーから15分1本勝負のゴングが鳴った。

シャキシャキのレタスをたっぷり使用。
シャキシャキのレタスをたっぷり使用。
セルクルに入れて丸く焼く目玉焼き。オリーブオイルを加えて周りをこんがり揚げ焼きにする。
セルクルに入れて丸く焼く目玉焼き。オリーブオイルを加えて周りをこんがり揚げ焼きにする。

場外ではポテトもカラリと揚がっている。衣を付けたクリスピーなこのポテトも自慢のひとつだが「ボッサバーガーのボリュームがあるので、ポテトがいらない場合は200円引きになります」とのこと。

鉄板では別々に焼かれていた具材が少しずつ重なり合っていく。130グラムほどの分厚いパティにチーズを乗せ、バーナーで炙って焦げ目をつける。

肉には塩コショウとセロリパウダー、ガーリックパウダーとスパイスをかけて焼く。
肉には塩コショウとセロリパウダー、ガーリックパウダーとスパイスをかけて焼く。
焼き上がった具材を鉄板の上で重ねていく。
焼き上がった具材を鉄板の上で重ねていく。
レタス、トマト、パティ、チーズ、卵、ベーコン、パイナップルときて、まだまだ乗る! とろけたチーズが舌を出しているみたいでかわいい。
レタス、トマト、パティ、チーズ、卵、ベーコン、パイナップルときて、まだまだ乗る! とろけたチーズが舌を出しているみたいでかわいい。

どんどん具材が積み上がっていく様を見て、軽快な口上とともにお菓子を袋に入れていく御徒町の『二木の菓子』を思い出した。ボリューム満点なのはいいけど、アゴが外れないか心配だ。

皿の上に盛り付けて完成。メルティなチーズにつられて生唾を飲む筆者。
皿の上に盛り付けて完成。メルティなチーズにつられて生唾を飲む筆者。

「お待たせしましたー」と菊池さんがテーブルに運んできてくれた。市販品よりちょっと甘めの自家製コーラをひと口飲んで気持ちを落ち着け、いざ!

ピンを外した途端に雪崩になってキレイな盛り付けが台なしになるんじゃないかと思うと緊張する。すると、菊池さんが食べやすいように紙の袋に入れてくれた。

菊地さんが「軽くつぶして食べてみてください」という。それでも一口では食べられそうにない。
菊地さんが「軽くつぶして食べてみてください」という。それでも一口では食べられそうにない。

ジューシーでビーフの旨味たっぷりのパティにコクのあるチーズ、プリッとした卵にスモーキーなベーコン。甘酸っぱくてトロピカルな風味のパインと、甘みと香りの効果がアクセントのオニオンリングもなくてはならぬ存在感。それをふんわり、モチッと包み込むバンズの包容力ったら!

あふれるほど入ったカリカリのポテトと甘酸っぱいピクルスもおいしい。
あふれるほど入ったカリカリのポテトと甘酸っぱいピクルスもおいしい。

ああ、どの食材が欠けてもいけないワンチーム。「なるほど」の意味がわかった。頷きながら咀嚼する筆者を見て、菊池さんがカウンター越しに「フフッ、『なるほど』でしょう?」とニヤリ。次に食べるときはトッピングメニューを加えてみようかな。

住所:東京都足立区千住1-33-4 2F/営業時間:11:30〜22:00(ランチは15:00まで)/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄・つくばエクスプレス北千住駅から徒歩3分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢