実は「浅草駅」だった時代も!
2012年の改称が記憶に新しい本駅。東武鉄道の浅草延伸前は「浅草駅」だった時期もあり、長らく旅客・物流の一大ターミナルだった。現在の東京スカイツリータウンを歩くと敷地の広大さに驚くが、それは人と物資の結節点となっていた駅の歴史ゆえのものなのだ。
そんな浅草駅時代の痕跡は、おしなり公園内に石碑がある程度。一方、2012年まで約80年続いた駅名「業平橋」は、現住所・業平の旧町名であり、橋自体も現存。周辺にはその名を関したビルも多く、駅敷地内にも「業平橋乗務管区」の看板があった。駅のすぐ近くには「業平駅前店」と看板に掲げる古書店も残っていた。
ちなみに駅周辺では、歴史の長い街に多い手描き地図(日本標識ガイドセンターの案内板)の駅名も「とうきょうスカイツリー駅」に更新済みだったのが印象的。それだけインパクトの大きい駅名変更だったわけだ。
駅名の変遷
明治35年(1902)【吾妻橋駅】
東武伊勢崎線を北千住から延伸して開業。その後は亀戸線(曳舟~亀戸間)の開通で一時廃止になった。
明治43年(1910)【浅草駅】
貨物駅として再開業後、浅草駅と改称して旅客駅としても再開業。舟運との積替えも行われる駅となった。
昭和6年(1931)【業平橋駅】
伊勢崎線が延伸して隅田川を超え、現在の浅草駅が開業したことに伴い駅名を改称。約80年続く駅名に。
2012年【とうきょうスカイツリー駅】
改称後も「旧業平橋」の名称も併記。なお近隣の押上駅も同年から副駅名として「スカイツリー前」を導入。
取材・文・撮影=古澤誠一郎
『散歩の達人』2021年9月号より