緑の中をどんどん進めば、モダンな建物が登場
JR武蔵五日市駅の改札を出ると、意外といっては失礼だが商店が点在している。ここからバスに乗り込む。運がよければ機関車型バス青春号が運行しているので、HPをチェックしてみよう。バスに乗り駅を離れるとだんだんと緑が深くなり、『生涯青春の湯 つるつる温泉』に到着する。
外観はちょっとモダンな造りだが、館内に入ると木材が多く使われていて、それだけでも癒やされそう。受付を済ませたらお目当ての温泉へと向かう。
浴室は洋風の「生涯青春の湯」と和風の「美人の湯」の2つがあり、男女が日替わりになる。
洋風・和風の2つの浴室。湯船には美人の湯が注がれる
偶数日は「生涯青春の湯」が男湯、「美人の湯」が女湯になる。
今回は「生涯青春の湯」に入る。まずは内湯の先にある露天風呂へと向かう。露天エリアには陽光に輝くようなヒノキ造りの湯船がある。迫り来るような山の風景を眺めながらの入浴は心が安らぐ。腕を撫でてみると本当につるつるで驚く。
内湯は岩造りの円形湯船。一面がガラス張りになっているので、こちらからも景色を楽しむことができる。サウナも併設している。
「美人の湯」は次回の楽しみに。ちなみに大浴場には五角形の木枠の湯船、サウナがあり、露天風呂は丸い湯船が特徴的。周りは竹で囲まれていて、非日常を感じられる。カエルやヒグラシ、野鳥など、耳でも季節を感じられるそうだ。
「特別な時間を過ごしていただきたい」という思いから、備え付けのボディーソープやシャンプー、コンディショナーなどは、グレードの高いもの。体や髪を洗えば上質な香りに包まれて、「幸せ~」と叫びたくなる。
地元産の食材を使用した料理の数々に舌鼓
ここにはパノラマ食堂と大広間、食事処が2か所ある。入り口の左側に見えたとんがり屋根の円柱状の建物がパノラマ食堂だ。窓が大きく取られた店内は明るくて開放感抜群。壁や天井、テーブル、イスなど、木の温もりにあふれている。もう一つの大広間は108畳の広々とスペース。畳に座ってのんびりと過ごすのにも最適。メニューはどちらも一緒なので、好みで選ぼう。
料理は地元産の食材をふんだんに使っている。定食や麺類、一品料理など豊富にそろう。
支配人の神田悦男さんにおすすめを聞いたところ、「地元名産の“ひのでトマト”を使った料理をぜひ食べてください」と教えてくれた。
赤いうどん760円は名前の通り真っ赤なスープが特徴的。ひと口スープを飲めば、爽やかな完熟トマトの酸味と、甘みも感じる逸品だった。トマトジュース230円も一緒に味わいたい。ほかにも、数量限定の季節料理も数多いので、見つけたらぜひ食べてみよう。
有料個室利用者限定の料理もある。地元福祉施設で畜養する「東京育ちの鮑(あわび)」を使った料理が食べられる。清らかな水を無菌海水化して育てたアワビは、柔らかくてコクがある。「あわびの釜飯定食」は、釜飯にすることでアワビの旨みが増している。地元産野菜の天ぷらや漬物、味噌汁がセット。4人利用時1人2400円(入浴料・名入れタオルもセット)。
温泉以外のサービスも充実
湯上がりの休憩は、寝ころぶことができる休憩室や大自然の景観を望むイスが設置された休憩コーナーのほか、ロビーにソファーが置かれているので、気分に合わせて過ごそう。
地元産の新鮮野菜や特産品を販売する売店、エステなどもあるので、温泉以外にも楽しめる施設が豊富だ。
神田さんは「秩父多摩甲斐国立公園内にあるので、自然に包まれる感覚です。そんな立地でひとっ風呂浴びれば、心も体もリフレッシュできますよ」と話してくれた。
駅からあまり離れておらず、美しい緑に囲まれた地で、つるつるになれる温泉に浸かれば、明日への活力がみなぎってくる。
取材・文=速志 淳 写真=生涯青春の湯 つるつる温泉