高尾山に秋の訪れを告げる行事

都心から電車で約1時間。豊かな自然が楽しめ、一年中多くの観光客や登山客であふれる高尾山。山岳信仰の聖地として長い歴史をもち、中腹には東京屈指のパワースポットとして人気の高尾山薬王院が鎮座する。

正式名は「高尾山薬王院有喜(ゆうき)寺」。今から1280年前の天平16年(744)に開山されたと伝わる真言宗の寺院で、千葉県の「成田山新勝寺」、神奈川県の「川崎大師平間寺」とともに真言宗智山派の三大本山として知られている。毎年春と秋には大祭が行われ、多くの参拝客が訪れる。「大祭は子供の健やかな成長を願って行われます」と教えてくれたのは高尾山薬王院の菅井さん。

パレードの主役はかわいらしい子供たち

大祭のメイン行事となるのが、にぎやかなパレード。ケーブルカー高尾山駅近くの『十一丁目茶屋』を出発し、約1時間かけて高尾山薬王院までの約1㎞の登山道を練り歩く。薬王院の山伏をはじめ、色鮮やかな稚児装束に身を包んだお稚児さん、地元幼稚園の園児による鼓笛隊、侍装束の信徒、八王子芸者などが参加し、総勢数百人にものぼる大行列が繰り広げられる。「春のパレードは昭和中期頃から行われていましたが、秋はここ30年ぐらい。かつては八王子市内から練り歩いたと聞いています」(菅井さん)。

先頭を歩く山伏はほら貝を吹き鳴らし、各所では園児による鼓笛隊の演奏も行われる。普段は観光客や登山客が行き交う登山道が、この日は一変!「お稚児さんの装束や鼓笛隊の制服も色とりどりで、華やかな絵巻物のような行列が楽しめますよ」と菅井さん。その光景はまさに壮観だ。

パレード後は諸願成就を願って大本堂では特別開帳大護摩供が、有喜苑仏舎利塔では柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)が行われる。登山を楽しみながら古風な儀式に触れられる一日。秋風の気持ちいい高尾山に出かけてみては。

パレード後は子供の成長を願って御護摩修行が行われる。
パレード後は子供の成長を願って御護摩修行が行われる。

開催概要

「高尾山秋季大祭」

開催日:2024年10月17日(木)
開催時間:稚児行列は11:00頃から十一丁目茶屋前を出発
会場:高尾山薬王院(東京都八王子市高尾町2177)ほか
アクセス:京王電鉄高尾線高尾山口駅から徒歩5分の高尾登山鉄道清滝駅からケーブルカー6分の高尾山駅下車、徒歩20分

【問い合わせ先】
高尾山薬王院☎042ー661ー1115
公式HP:https://www.takaosan.or.jp/

 

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供