毎年秩父の横関地で行われる西武鉄道主催の鉄道イベントへ、毎年とは言わないが結構な頻度で行っている。
普段見られないような道具や、引退してしまった車両を見られる貴重な機会であり、鉄道が好きなわたしにとってこのイベントは楽しみのひとつである。
…のだが、わたしはイベントよりももうひとつ、秩父に大きな楽しみを持っている。
それは西武秩父駅を出て、仲見世通りを過ぎた先にある、フードコートで販売している秩父名物「わらじかつどん」だ。
(フードコートのすぐ隣にある「西武秩父駅前温泉 祭りの湯」もいいところなのでぜひ立ち寄ってほしい。)
いつもならこれをお弁当で買って、帰りのSトレインの中で食べるのが楽しみで楽しみで、楽しみなのだ。
ただこの日はお弁当が買えず(かつどん自体はあったが容器が無かったらしい…)、フードコートで食べてから帰宅することになった。
そういえばフードコート使うの久しぶりかもな…なんて思っていると、料理が完成したことを告げるアナウンスが流れた。
いそいそとカウンターへ向かい、出来立てのわらじかつどんを受け取る。
結構大きめ(横幅約15㎝)のカービィのぬいぐるみと比べてもこの大きさである。
何度も見ている、秩父に来れば必ずと言っていいほど食べているわらじかつどんだが、いつもその大きさに圧倒される。
大学生のころ、初めて相まみえたときの気持ちを思い出す。
どんぶりからはみ出たカツのビジュアルが本当に最高だ…。「わらじ」になぞらえて2枚入っているのも良い。
カツにばかり気を取られて写っていないが、箸休めに最適なお漬物とお味噌汁もついてくるので栄養バランスは良い(はず)。
待ちきれずカツをひとくちかじる。
目の前に座っている旦那と顔を見合わせて、頷いた。あとはお互い黙って食べた。
そう、この美味しさにもはや言葉は不要であるとわかっているのだ。
タレの味付けは甘く、タレの染みた分厚いカツはもちろん、その下の白米のなんと美味しいこと。
カツ1枚を普通に白米のおかずとして食べ、もう1枚を近くのコンビニで買ったお酒のお供にするという、なんとも悪魔的な食べ方をしてしまった。
黙々と食べていたら、いつの間にか無くなっていた。
美味しいものは食べると無くなるのが難点だなぁといつも思う。
カービィのぬいぐるみを食べ終わったどんぶりの横に置くと、全部カービィが食べ尽くした感が出てたくさん食べたことへの罪悪感が無くなることを学んだ。(※カロリーは残る。)
横浜在住のわたしにとって、秩父は遠くないにしても近くもない。直通電車に乗ったところで片道2時間は少なくともかかるのだ。
あと何度秩父に来て、何度このわらじかつどんを食べることができるのだろうか。
それはわからないが、食べるたびに満足させてくれるという確信だけは持っている。
ちなみに母に無言で上の写真を送ったら、「カービー飯」という新ジャンルを作られた。