海外気分が高まる池袋駅北口付近。現地の味を求めて
なんとなく怪しげな雰囲気を醸す池袋駅北口にあるロマンス通り。立ち並ぶビルに飲食店が軒を連ねる繁華街だ。大声でやり取りされるのはおそらく中国語で、夜ともなれば猥雑さはさらにパワーアップする。「あれ?今、どこの国にいるんだっけ?」と思うこともしばしばだ。
エリアの中心には、ゲームセンター、飲食店、映画館などの複合施設であるロサ会館があり、その斜向いのビルの7階がこの店だ。
窓が大きいためとても明るく清潔感のある店内は、辛みのあるおいしそうな香りがぷんぷん。飛び交う中国語に、海外旅行感がますます高まる。あらためて「ここどこだっけ?」とワクワクする。
鍋というと大勢で大きな鍋をつつくイメージがあるが、1人席があるのもこの店の特徴だ。思い立ったらふらりと来られるのがなかなかいい。
火鍋のベースは6種類。辛いものも辛くないものも
火鍋は基本的に食べ放題で、選ぶ具材によりコースが分かれている。鍋のベースは、麻辣、トマト、松茸キノコ、高菜の辛い味付けの4種と、辛くない白湯、昆布だしの2種をあわせて6種。鍋の大きさにもよるが、最大3種までをセレクトできる。辛味は好みでオーダーしよう。ちなみに火鍋の本場・重慶の味はかなり辛め。チャレンジする人は気合を入れて臨んでほしい。
ラードとラー油で旨味とコクたっぷり!パンダちゃんの運命やいかに
セレクトしたベースは麻辣と白湯で、鍋の周りには牛肉、豚肉、ラム肉と野菜がずらり。謎なのはオレンジ色のパンダちゃんだ。
手前はラード。パンダはラードにラー油を練り込んである。麻辣ベースの鍋が煮立ったら入れることでコクが増すらしい。ということは…
しゃぶしゃぶしたら、つけダレにつけていただこう
ラードの入った麻辣と豚のガツ(胃袋)の入った白湯が煮立ってきたら、肉や野菜を入れ、つけダレにつけていただく。最初に用意されたつけダレは、ゴマ油、パクチー、ネギ、ニンニクの入ったパクチーダレと、ピーナッツの入ったゴマダレの2種。
パクチーのさわやかな香りとゴマ油、そして麻辣の辛さがどどどっと押し寄せる。熱っっ、辛っ、ウマっっっ。ビールビール!うわっ口の中、痛っ。けど、すぐまたしゃぶしゃぶ……。これはあと引く。ラードを入れたことでコクも十分だ。
次は白湯でしゃぶしゃぶしてゴマダレへ。こちらはほっとする味。白湯に入っている豚のガツは臭みがまったくなく、旨味を増している。ゴマダレは深い甘みと旨味、そして砕いたピーナッツの香ばしさがたまらないおいしさだ。
いろいろ混ぜて、好みのつけダレを作ろう
つけダレ専用のカウンターにはタレやトッピングが多数用意されているので、好みのつけダレを作ることができる。最初についてきた2種類のタレに入っていたものはもちろん、ネギ、海鮮タレ、特選スパイスなどに加え、日本人にはなじみが少ない腐乳も。これらを駆使して好みの味を見つけるのも楽しみの一つだ。
知らない具材も思い切って試したい
今回のコースで頼める食材の中には、見たことのないものもたくさんあった。たとえば卵入り魚団子。ぼんやりと「なんの卵かな〜」と思っていたら魚卵が出てきて驚いたり、サツマイモ春雨はきしめんレベルに幅広く、煮込んだら鍋の味が染み込んでモチモチしてとてもおいしかったり。
手作りの麺やご飯のほか、揚げパン、チャーハンなどがあり、食材の豊かさに本当にびっくりさせられる。
デザートまで楽しんで大満足
デザートまで楽しむと、もうお腹ははちきれんばかり。これ以上は無理だ。もっといろいろな味を試したかった。悔しい……。
今回は1人で来訪したため、食べられなかった食材もたくさんあり、心残りもひとしおだ。たとえば、牛のアキレス筋やハチノス、砂肝は、どんな調理?どんな味?と気になることばかりだし、別コースになるが、アヒルの血、豚の脳みそなどは好奇心をくすぐられる。鍋のベースもいろいろ試してみたい。次回への宿題がたっぷり残ってしまった。また旅行気分で訪れたい。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ