カフェ・フェルマータ[武蔵境]
週4日、午後3時に登場するヘルシープリン
スプーンを入れると、ボディがほのかに薄茶色。色の正体はきび砂糖で、角のないやさしい甘さが持ち味だ。ふんわりのった生クリームは乳脂肪分が高く、乳そのものの自然なコクがやさしい甘みにマッチする。「卵の混ぜ具合からオーブンの湯煎の温度まで、始終気を抜けない、繊細なおやつです」と、スタッフの岡島智花子さん。丁寧にお店で手作りしているむっちり固め食感のプリンは、大人にも子供にもファンが多い。
『カフェ・フェルマータ』店舗詳細
喫茶セピア[柴又]
デパートの「お好み食堂」味を目指して
合羽橋の食器店で、ステンレス製スタンドのデッドストックを見つけた店主の長谷沢貴世子さん。「いつかこれを使ってプリンを出したい」と、心に決めた。以来、何度も試作を繰り返し、開店から少し遅れてデビューと相成った。器の上でプルンと揺れる程よい固さ、控えめの甘みは生クリームを纏(まと)ってちょうどいい。BGMは昭和歌謡。「思い出が蘇(よみがえ)るのでしょうか、食べながらウルウルする人もいるんです」。缶詰みかんの酸味も、しみる。
『喫茶セピア』店舗詳細
4/4 SEASONS COFFEE[新宿三丁目]
酸味あるコーヒーに合う、ビターカラメル
一晩静かに寝かし、より固く濃厚に仕上げる。注文が入ると、型底に手を当て人肌の温もりでカラメルを溶かし、ぱかっ。たちまち皿はビターなカラメルの海になる。たっぷりかけて口に運ぶと、ん? ほのかな酸味を感じるではないか。きび砂糖と、隠し味にアマレットを使うことで、焙煎浅めの酸味あるコーヒーに合う味が完成している。焙煎の音と香りに包まれ、しみじみ味わいたい。
『4/4 SEASONS COFFEE』店舗詳細
ヘッケルン[虎ノ門]
想像以上の大きさにあっと驚くはず
53年前の開店時に考案したレシピを、毎日作り続けるマスターの森静雄さん。体の反動と手首のスナップをきかせて型から出す様には目を見張る。カラメルはとろみとコクを出すべく、「1時間と20秒、さらに3秒火にかけて1日置くんだ」。卵味が際立つなめらかなカスタードに、型からかき出すカラメルは初めもったり、お客に出すまでの数秒でスーッと溶ける。売り切れても「今から作ります」との声に、1時間以上じっと待つファンも。
『ヘッケルン』店舗詳細
取材・文=松井一恵 撮影=オカダタカオ