飽きることのない「ふだん着のゴハン」で、ほっとひと息。

店頭の植栽が目印。テラス席もあり。

神田駅から徒歩5分と近く、首都高速道路もすぐ目の前だというのに、案外のんびりした雰囲気の神田紺屋町。2010年オープンの『Cafe Respiro(カフェ レスピーロ)』は赤いシェードと豊かな緑が目印だ。

「『ふだん着のゴハン』を食べてほしいんです」と店主のSHIBAさん。よそいきで気取ったものではなく、その時あるものをソテーにしたり、サラダにしたり。そんな、毎日変化があるからこそ飽きがこない、そして栄養も十分な日常の料理を提供することがモットーだ。

店名の「レスピーロ(Respiro)」とは、訪れる人に「ほっとひと息ついてほしい」との願いを込め、「呼吸する」という意味のイタリア語から。総菜だけでなく、パンやケーキもすべて手作りのこの店は、小さいけれどほっこりとしたあたたかさにあふれていた。

風が通るテラス席。開放的でくつろげる。

ワンプレートに野菜がたっぷりの「本日のゴハン&デリセット」

品数が多く、野菜がたっぷりなのがうれしい。混ぜご飯や丼ものメニューの日もある。

いただいたのは日替わりの「本日のゴハン&デリセット」。色合いがカラフルで、本当に野菜が多めだ。

白い手付きの器に入っているのは、ズッキーニの塩麹の浅漬けで、ズッキーニのつるつるしたようなシャキシャキしたような食感がおもしろく、塩加減もばっちり。コーンや豆などたくさんの素材が入った新じゃがと小松菜の和え物は、皮付きの新じゃががみずみずしくさわやか。この時期ならではの、素材を生かした味わいだ。グリーンリーフのサラダは、パプリカやニンジンが彩り良くアクセントになり、オリーブオイルと塩、酢だけのシンプルなドレッシングが、新鮮な食材を引き立てる。

さらに豚肉のソテーはしっかりした味付けで脂も甘く、胡椒がほどよいアクセント。自家製のチーズベーグルとの相性もぴったりだった。

ふんわり卵のスープとミニコーヒー、小さなクッキーが付いて950円! 11時半頃から終日このお値段で提供し続けている。おなかにも懐にもやさしい。

人にふるまうのが好きだからカフェOPENへ。インスピレーションに導かれるままに

小さな厨房のなかで、一食一食を丁寧に作り続けている。

「料理をふるまうのが大好きなんです」とSHIBAさん。それまでに飲食店で働いた経験はなかったが、会社員を辞めてほどなくこの店をオープン。神田と地縁があったわけでもないが、内見した1軒目だったこの物件が気に入り即決。などと聞くと、なかなかにアグレッシブな……、と思うのだが、話す雰囲気はとてもやわらかい。「上階が住居兼で使えるという条件と、フィーリングに合ったのかな。場所の雰囲気もいいなと思って」と笑う。

「なるべくなら、全部自分で作りたい」という思いから、パンメニューの日は粉から手ごねして焼き上げている。クッキー、マフィン、プリン、ケーキなども、すべて自家製だ。厨房にあるオーブンは、毎日6〜7回転、SHIBAさんとともにフル稼働だ。

独学で始めたことも、今では10年以上の経歴に

ドライ無花果(いちじく)のチーズケーキ470円とコーヒー(クッキー付き)430円。

スイーツもその日によって種類が変わる。この日はラム酒漬けのドライ無花果(いちじく)が入ったチーズケーキ。クリームチーズの酸味とラム酒のコクのある風味が濃厚で、しゃれた大人の味わいだ。絶妙の組み合わせにセンスの良さを感じる。コーヒーなどドリンク単体のオーダーでも、小さなクッキーがついてきて、ちょっとうれしい。

本格的に料理を習ったことはない。母の手ほどき以外はすべて独学だが、客からの要望や「こんなのはできる?」という声に応えることで、ずいぶんと幅が広がってきたという。今ではホールケーキのオーダーを受けたり、焼き菓子のアソートを発送するほどにもなった。

「店のことを好きになってくれた人たちの期待に応えたくて」と話すSHIBAさん。

毎日気取らず食べられる健康的な食事と、手作りのパンやお菓子が焼き上がる香り。ほっとする味や雰囲気に出合える店だ。

夫でフリーライターのUMIさん。忙しいときはSHIBAさんを手伝うことも。
住所:東京都千代田区神田紺屋町16 NERUCA 1F/営業時間:8:30~19:00(土は月1回営業。11:45~17:00)/定休日:日・祝(土は不定休)/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩5分

取材・文・撮影=ミヤウチマサコ