東日本大震災から13年。モーターパラグライダー体験で人気の町に

以前、宮城県七ヶ浜町に2週間ほど滞在し、風の条件がよい日は毎日のようにモーターパラグライダーで飛んでいたことがある。

七ヶ浜町は太平洋に半島状に突き出た形をしている。その南側にある菖蒲田浜の海水浴場から離陸して、周囲を飛び回って空撮を行った。

菖蒲田海水浴場は県内1、2位を争う人気の海水浴場だったが、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けて閉鎖された。

その後、町や県外からのボランティアやサーファーなどの努力で復興し、2017年から本格的に営業を再開。現在、整備された海岸線は被災地だったとは思えないほどきれいになっている。

画面左側に塩竈(しおがま)市、右側に松島が見える。東松島市には航空自衛隊の松島基地があるため、そちらには近づかないように飛行した。
画面左側に塩竈(しおがま)市、右側に松島が見える。東松島市には航空自衛隊の松島基地があるため、そちらには近づかないように飛行した。
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上空からは西方向に塩竈市や多賀城市、その奥には仙台の中心街が見える。北は日本三景で知られる松島で、贅沢な景色が広がる。

七ヶ浜町は松島湾の入口となっており、高度を上げると湾内に約260あるといわれる島々すべてを見渡すことができるのだ。

この町では観光タンデム試乗として、一般の観光客でも二人乗りで飛んで空からの景色を楽しむフライト体験ができる。それを目的に県外から訪れる人も多く、人気の体験アクティビティーの一つとなっている。

モーターパラグライダーが被災地の震災復興で観光客集客の一助になったことは感慨深い。

そんな場所で個人的に飛ばせてもらえたのは、とても光栄で貴重な経験だった。

仙台市街地を望遠で撮影。写真奥に仙台駅周辺のビル群も見える。
仙台市街地を望遠で撮影。写真奥に仙台駅周辺のビル群も見える。

取材・文・撮影=山本直洋
『旅の手帖』2024年9月号より