熊本県直送の高品質馬肉を提供
店内に入るなり、壁面に掲げられる短冊メニューが飛び込んでくる。「コウネ、カクマク、バラウス……」あまり耳にしたことのない部位の名前が並び、どこの部位を食べられるのかとワクワクしてくる。
店長であり、店舗運営元の会社の営業本部事業部長も務める猶本広志(なおもとひろし)さんがこう話てくれる。
「コウネはたてがみ部分の肉で、カクマクは横隔膜、バラウスはバラの外側ですね。部位の言い方は熊本流で表記しています。と言いますのも、当店で使う馬肉は、安全で高品質な食品であることを認定したSQF取得の熊本県にある創業200年の老舗馬肉メーカーのものを中心に使っています」
品質に自信があるから、馬一頭分のあらゆる部位を焼き肉や刺し身で提供できるのだ。
品質管理も徹底!果実から作るサワーも美味
馬肉は熊本県が主だが、生産量が全国第3位の青森県からも仕入れている。「熊本県産の馬肉は、サシが多くて柔らかく甘みが強いのが特徴です。青森県はそれに比べて脂はさっぱりしているように思いますね」と猶本店長。
冷凍で仕入れた馬肉は、お客様に提供する時に程よい口溶けになるよう保管しており、注文を受けてからカットすることできれいな桜色で、鮮度のよいおいしさを楽しんでもらえるよう配慮している。
コンロでは大鍋で何かを作っていた。たずねたところ、自家製サワーの元を作っているのだとか。レモン、グレープフルーツ、オレンジの3種類あり、どれも皮をむき、種も除去して元から作っている。
手間をかけて作った三馬力サワー各550円は、サイコロを振って出た目の数で1杯無料や半額などの「チンチロリン祭」でお得に味わえるので、馬肉と一緒にぜひ楽しみたい。
焼き加減も部位によって異なる馬焼肉
注文したのは馬焼肉5点盛り合わせ(1人前)1900円。バラ、クラシタ、ロース、ヒモ(あばら骨の間の肉)、ギザギザ(お尻の一部)の異なる部位が盛られ、脂身を楽しむものや赤身の部位など肉質や味の違いを楽しめる。
最初だけスタッフが焼き方を指導してくれる。部位名を書いた短冊は、黒文字がミディアムで約1分、赤文字がレアで約10秒と、各部位による焼き加減を示すものだ。
タレは3種類。やや酸味のきいたさっぱり味と、リンゴのすりおろしを入れた甘めのタレのほか、やわらかな塩けを感じる雪塩。脂身の強い部位なら、雪塩で甘い脂と肉の旨味を味わうのがおすすめだ。
三馬力サワーはレモン味を注文したのだが、レモンの爽やかさと風味が口の中に広がり、馬肉との相性も抜群だ。飲んでいる間も、食べる箸の手がとまらない。
限定数量の貴重なレバー刺しも登場
馬刺しも合わせて楽しみたい。焼き肉と同じ部位もあるが、馬脂がおいしいフタエゴ(バラの一番外側)や、柔らかく厚みのあるヒレなどは刺し身だからこそ旨い。
追加で味わうなら、仕入れ状況によって手に入らない時もある数量限定のレバー刺しを。クセもないので食べやすく、口溶けのよさがたまらない。
炙りタン刺しも試してほしい。サシが程よく入ったタンとゴマ油の風味が口の中で一体となり、旨味と香ばしさが広がるのだ。
馬肉の特徴なのか、サワーのおいしさも加わって、量がいくらあっても食べられてしまいそうだ。だが、まだまだ気になる部位が多くて制覇しきれない。今度はグループで来ようと心に決めた。
取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン