新宿の基礎知識
新宿は、超高層ビルが林立する西口エリアと、広大な緑の空間をもつ新宿御苑や大繁華街の歌舞伎町が広がる東口エリアでは、風景がまったく異なる。西口の超高層ビル群には、展望台を備えるところもあるが、地上202mの高さがあり、さまざまな方角から眺められる東京都庁展望室が一番。東口では新宿御苑は必見スポット。四季折々の花の美しさとともに、様式の異なる造園美にも注目したい。
江戸六地蔵の一つを祀る太宗寺や芸能の神を祀る花園神社など、ビルの狭間に残る古寺社も趣がある。「新宿西口思い出横丁」や「新宿ゴールデン街」など、酒好きを魅了する横丁で新宿散歩を締めくくろう。
1 東京都庁展望室
無料で楽しむ東京の絶景
高さ243m。地上48階建ての東京都庁。地上202mの第一本庁舎45階に北展望室と南展望室がある。富士山を望み、眼下の街は箱庭のよう。
2 新宿中央公園
高層ビルに囲まれた緑の空間
かつての淀橋浄水場跡に昭和43年(1968)に開園。新宿ナイアガラの滝に面した広場では、フリーマーケットをはじめ、さまざまなイベントを開催。西側に熊野神社が鎮座する。
3 平和祈念展示資料館
戦争体験の労苦を伝える資料館
第二次世界大戦における戦争体験の労苦を、兵士、戦後強制抑留、海外からの引き揚げの3つのコーナーで構成し、解説する。実物資料、ジオラマ、映像などが多く、わかりやすい。
4 新宿御苑
四季の花が彩る和洋の庭園
約58万3000㎡の敷地があり、風景式庭園、整形式庭園、日本庭園、母と子の森など、趣の異なる庭園様式を見ることができる。
5 太宗寺
内藤新宿の江戸六地蔵が鎮座
慶長元年(1596)頃の創建。閻魔堂には「内藤新宿の閻魔さん」と呼ばれた閻魔像や、「しょうづかの婆さん」として親しまれた奪衣婆像を安置。普段は網戸越しに拝観できる。
どん底
歴史を刻むツタがからまる建物
昭和26年(1951)創業。三島由紀夫や黒澤明などが通った名物店。元祖酎ハイともいえるどん底カクテル(ドンカク)650円のつまみには、たっぷりチーズのミックスピザ1300円を。
6 新宿末廣亭
桟敷席がある昔ながらの寄席
落語の定席の一つで、建物は昭和21年(1946)の建築。毎月1日〜10日の上席、11日〜20日の中席、21日〜30日の下席に分かれ、昼夜各18組ほどが出演。
アカシア 新宿本店
昭和30年代から続く名物料理
看板メニューのロールキャベツシチューは、乳製品を使わず、鶏ガラスープで煮込んだホワイトシチュー。極辛カレーライスとロールキャベツシチュー(ご飯付き)1350円。
7 花園神社
日曜は骨董市、11月は酉の市
江戸開府以前からの新宿の総鎮守。江戸時代に、焼失した社殿再建のため境内で芝居や舞踊などを行い、以来、芸能関係者の参拝が多い。芸能浅間神社の脇に歌手・藤圭子の歌碑が立つ。
【街探検】2つの飲み屋横丁
新宿の迷宮、「ゴールデン街」と「思い出横丁」をさまよう
新宿を代表する飲み屋横丁に「新宿ゴールデン街」と「新宿西口思い出横丁」がある。
新宿区役所の東に位置する「新宿ゴールデン街」は、戦後の一時期、青線と呼ばれた非合法の売春地帯がそのルーツといわれる。木造2階建ての長屋が連なる一帯には約290軒の店があり、その多くが3~4.5坪と小さい。映画関係者や作家、音楽関係者などが集まることで知られるが、最近では外国人観光客の人気スポットとして注目されている。
新宿駅西口の線路沿いに位置する「新宿西口思い出横丁」の起源は、戦後の闇市までさかのぼる。当初は、日用雑貨を売る露天商が中心だったが、統制品から除外されていた牛モツや豚モツを使った料理を出す店が増え、やがて飲食店街へと発展した。
現在、横丁には約80軒の店があり、線路通りと中通りは定食屋や飲み屋などの飲食店が中心、表通りには金券ショップが軒を連ねる。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より