子供のような教養が詰まったジャングル『Darwin Room』
店内はさながら博物館。原人の頭骨模型、昆虫標本、グラントシマウマの剝製などの“本物”と、自然科学や文化人類学中心の古書。文系・理系という区分けを超えた好奇心の森だ。本の中のモノが、実物として手に取ることができる点が、ふつうの書店と大きく違う。「教育にはゴールがあるようだが、教養は学ぶこと自体が目的。でも必ず役に立つとは限らない。そうした余裕が、いざというときに役立つのです」という店主の言葉が心に残る。
オススメ本
『Darwin Room』店舗詳細
いつ行っても陽気で愉快なワンダーランド『古書ビビビ』
足を踏み入れると、店内はちょっと薄暗くて、探究心がわき起こる。正面の平台には古本と合わせて新刊書やリトルプレスが並び、“本日のビビビ”的に新鮮な熱気を発している。その平台の周りに児童書、文庫、帳場の右には文学、漫画、映画、美術、写真集など。店外の均一本棚(扉付き)には掘り出し物があるので見過ごしてはならない。この濃密な品揃えが、お客さんからの買い取りだけで成り立っているのは、下北沢の奇跡である。
『古書ビビビ』店舗詳細
重厚かつ柔軟なシモキタの新しい顔『CLARISBOOKS』
神保町の古書店で働いていた店主が、2013年12月に開店。商店街を見下ろす2階にあり、店内は明るくたいそう居心地がよい。文学・哲学・思想など「字を読む本」と、「写真集」に力を入れていて、新旧、硬軟とり混ぜた品揃えに知識欲をくすぐられる。月に一度、読書会を開いていて(2021年3月現在は休止中)、テーマは『罪と罰』(ドストエフスキー)、『想像ラジオ』(いとうせいこう)などと幅広い。本を読むことで、人とのつながりが生まれる場所である。
『CLARISBOOKS』店舗詳細
休日限定の静かな隠れ家的読書空間『Brown's Books&Cafe』
平日は雑誌『BARFOUT!』『STEPPIN’OUT!』の編集部、土日はブックカフェ。空間をうまく分けていて、カフェスペースはゆったりと落ち着くつくりになっている。置いてある本は、主に代表の山崎二郎さんの蔵書で、音楽、アート、落語、旅、文学、ノンフィクション、漫画(『ゴルゴ13』『あぶさん』は全巻揃う!)と種々雑多。でもよく見ると、なんらかの意図があって並べられているのがわかってくる。その意図をあれこれ推測するのも、ひとつの楽しみ方だ。
オススメ本
『Brown's Books&Cafe』店舗詳細
あらゆる人が集まる街の古本屋さん『ほん吉』
2008年開店。絵本・生活から思想・歴史まで、幅広いジャンルを揃え、お客さんの層も厚い。開店時から力を入れているのがジェンダーや精神医学といった分野だ。病気や家庭事情などのために不利益を被っていたり、生きにくい思いをしている人や援助者へ向けた本に広がる。そうした本を「特別なものじゃなくて、ふだん読む本と同列に置いてあるようにしたい」というのが、店主の加勢理枝さんの信条であり、お店を開いた動機でもある。
『ほん吉』店舗詳細
取材・文=屋敷直子 撮影=金井塚太郎