今回のゴー!ゴー!
『アルビス 羽根店』(富山県富山市)
「黒とろろ」と呼ばれる小さく刻まれた昆布をまとい、黒々とした不思議なおはぎ。
富山県のスーパー『アルビス』で名物となっている、地元素材を活用した「昆布おはぎ」です。他県民は少し手を出すのに勇気がいるルックスと名前でも、富山県民には黒とろろのおにぎりは海苔のおにぎりよりもずっと身近なせいか、見た目と味で県民への訴求に成功! 発売した2023年秋の彼岸のおはぎ売り上げを、前年の160%増に押し上げた立役者なのです。
「味のよさで知られる県産の新大正もちとうるち米の餅で包んだ甘いあんこに、塩気が強く歯ごたえもある黒とろろは相性抜群の組み合わせ」と、商品部で開発担当の温井(ぬくい)啓介さん。富山県民の好みを知るスーパーが作った地元スイーツといえます。
『アルビス』は設立以来、富山を中心に北陸3県に広く展開してきましたが、2019年から東海エリアにも進出。
新鮮な富山の魚で人気を博し、名古屋の新店オープンに合わせて開発したのが、天ぷら盛り合わせ「北陸の味めぐり」です。とり天2種は、昆布(富山の昆布〆をイメージ)と梅(福井県産の紅映梅〈べにさしうめ〉)を使用し、芋天は五郎島金時(石川産)、かまぼこ(富山県産)、かきあげは野菜に昆布を混ぜて揚げた、まさに北陸の味を満喫できる一品となっています。
「舟形の器にしたのはむかし、北海道から昆布が運ばれた北前船を表現したかったから」と温井さん。富山繁栄の歴史を担った北前船と昆布の壮大な歴史を感じながら味わう、昆布の旨味が主役の天ぷらは格別で、まるで船上の「北陸の食・博覧会」です。
今回紹介した商品たちは、昆布を使ったものがほとんどとなりました。
長い月日をかけて組み合わせ生まれた、昆布の旨味が地元の魚や米などと結びついた名品の数々。北陸の食の豊かさを再認識するものばかりです。
もちろん昆布以外の北陸の魅力的な素材を生かした、『アルビス』の味や富山のローカル商品も見逃せません。
『アルビス』特製&総菜の昆布グルメ
『アルビス』の総菜売り場は広く、魅力的な地元の素材を生かした商品が並びます。なかでも県民食の昆布を使った「昆布グルメ」は必見、必食。他県民がまだ知らない昆布の底力を体験できます。
富山の人気食、ローカル昆布商品
魚自慢で米どころ、水も酒もうまい。食材が豊かなので、地元民に愛され続けるローカル商品が盛りだくさん。昆布を利用したご当地商品は人気があり、多くのメーカーが看板商品に使用します。
「鮮魚売り場」に注目!
独特な地形による漁場で“天然の生け簀”と称される富山湾。冬は「富山湾の王者」寒ブリ、春から初夏は「富山湾の神秘」ホタルイカに「富山湾の宝石」白エビと、富山湾のお宝が季節ごとにきらめきを放ちます。
取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2025年3月号より