くるみは胡桃(クルミ)にあらず?

“くるみ”と名がついているのに、胡桃はかけらも使われていない“くるみゴボウ”。

これを食す秋祭りは、その年の収穫を祝う日。つまり「農作物の収穫が無事に来る日」を祝う日であり、「来る日」→「くるひ」→「くるび」「くるみ」と変化したといわれています。

枝豆で作った餡(あん)でゴボウをくるむから、という説もあります。

なんでゴボウ?

【いわれ①】
ゴボウは「牛蒡」と書き、これは「牛の尾」を意味します。昔は農作業に牛が必須だったので、豊作を願う行事に牛にちなんだものを供えることが多く、牛蒡も牛にちなんだものとして供えられるのです。

【いわれ②】
ゴボウは「男根」にみたてられ、お供えされることも多く、男根=子孫繁栄を祈る象徴になります。そして、植物の種子が実ることは子孫繁栄でもあるんです。

ようは、どちらも「五穀豊穣」を願う意味があります。

滋賀県内でも、この集落の人しか知らない「くるみゴボウ」。販売などもされておらず、食べられるのは地元民のみ。
滋賀県内でも、この集落の人しか知らない「くるみゴボウ」。販売などもされておらず、食べられるのは地元民のみ。

さて、お味は?

砂糖と塩で味つけした枝豆餡に、塩ゆでして拍子切りしたゴボウが入っています。ほんのり甘くておやつ感覚。

 

近畿圏に多い「くるみ○○」

大豆や青大豆、枝豆を餡状にして食材をくるむ(和える)行事食は、近畿圏内に点在しているんですよ!

例えば……
・奈良の「亥(い)の子」
斑鳩(いかるが)は白大豆餡、大和(やまと)高原は青大豆餡
・大阪の秋まつり
北河内は枝豆餡、南河内は大豆餡

取材・文・イラスト・写真=松鳥むう