今回のゴー!ゴー!
『A-Z あくね』(鹿児島阿久根市)
熊本との県境、東シナ海に面した人口2万人あまりの町・鹿児島県阿久根市にその名物店はあります。
緑の中をドライブしていると突然、広大な施設が出現。コンビニにガソリンスタンド、洗車場、バーベキューエリア、さらに古美術や庭石、中古車の専門店までが点在する、まるで町のようなショッピングセンター。
地元のマキオが展開する「AからZまでそろう」という意味の名『A-Z あくね』です。食品から車まで約40万品目扱い、お客さんの要望があれば増えるため、日々その数は拡大中とか。
メインの建物は、奥行き100m×幅200mと超巨大。端から端までが遠すぎて霞むほどの店舗は、食品スーパーとホームセンターになっています。食品のほか、生活必需品から農具や仏壇までが並ぶ店内。朝獲れの鮮魚からご当地食まで、食品を見るだけで一日がかりの量です。
店の始まりは1997年3月26日。現在、代表を務める牧尾由美さんの父で創業者の牧尾英二さん(故人)が、当時アメリカで人気だった、1カ所で生活のすべてがそろう店「スーパーセンター」の国内第1号として開業。
当時は「こんな過疎地域に?」「すぐつぶれる」と、冷やかな目もあったそうですが、いまでは県内に3店舗を展開し、週末には遠方からも多くの人々が集まる人気店となり、夜の店内も買い物客の姿が絶えません。
急な葬儀で喪服を慌てて買っていく人。午前3~4時に餌や釣り道具を装備しに来る、早朝出港の釣り船の客。さらに釣り帰りに、鮮魚を買ったクーラーボックスに入れ替えて帰る客の姿も。そんな人間模様が映し出される、365日、眠らない店。
実は開業日の17時31 分、大きな被害を出した「鹿児島県北西部地震」が発生。店も被害を受けたなか、近隣の住民のインフラとして営業を続けた経験がありました。
「地域の日常生活のお手伝いとなる存在に」という先代の残した言葉どおり、24時間、年中無休のスタイルに誇りをもって営業し続けています。
県民が愛する鹿児島の地元食
鹿児島のご当地食は個性的。スイーツやおかずみそ、パンと、カテゴリーは別々でも共通項は「甘さ」。甘さ控えめが主流の現代日本で、これほどまでガツンと甘さを主張する、鹿児島スタンダードを体験してみよう。
こだわりの県産品「あるがまま」コーナー
県外で人気の鹿児島産の「安心安全な良品」を、地元でも味わえるように開設した「あるがまま」コーナー。内装には、阿久根大島の台風による倒木松を再利用している。
「醬油」の棚に注目!
醬油売り場が壮観! 「鹿児島県は醬油の醸造所が多い地域。市町村ごとに醸造所があるうえ、1社で何種も作るので、あくね店では284種(取材時)の醬油を取りそろえています」と、井手上(いでうえ)潤店長代理。お土産に最適な小ボトルもあり。
『A-Z あくね』の詳細
取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2024年7月号より