日本酒×洋食の幸せな出合い『日本酒バル YODARE 蒲田店』
和の調味料を隠し味に使った洋食と日本酒のマリアージュが店の真骨頂。例えばエビとブロッコリーのアヒージョ869円は隠し味に醤油をポトリ。ニンニクたっぷりだが少し味がまろやかになり、辛口の日本酒にも合う。全国から選んだ地酒は約40種。季節の新政のプレミアム酒など冷蔵庫に並ぶボトルに、つい目移り。迷ったら、日本酒担当スタッフのマリさんに料理に合う酒をご相談あれ。
『日本酒バル YODARE 蒲田店』店舗詳細
魚を扱い半世紀『いのっ八』
大将渾身の刺し盛り
小学生時代から魚屋に憧れていたという大将の井上八郎さん。「昔、JR蒲田駅西口に青空マーケットがあって、そこの魚屋のさばく姿がいなせでね。ずっと見てました」。魚を扱って約50年の大将が目利きする魚介は鮮度抜群。刺し盛りの本マグロ中トロは口でスッととろけ、締め過ぎずややピンクの〆サバはまろやかな脂が余韻を残す。しかも各刺し身の分厚さと来たら! 「ナス焼きも大きいでしょ? うまいもんをたらふく食べてほしくてさ」。
『いのっ八』店舗詳細
キン冷え生中でサク飲みを謳歌『立飲み たわら屋』
刺し身は大体380円とつまみの多くが400円未満。「20年前の開店以来、安い、早い、うまいがモットーです」と2代目の池田隆行さん。酒に目を転じれば、角ハイは350円、生中はプレモルで460円とこれまた安い。「キンキンに冷したグラスで出してくれるのがうれしいの」とこの店の生中ファンの常連さん。コショウを利かした自家製トマトソースのナポリタンなど昭和生まれの心をひく料理も多く、こんな店、近所にあったらなあ。
『立飲み たわら屋』店舗詳細
ブゥの音も出ねえほど鮮度抜群!『やきとん 豚番長』
レバーは絶妙な焼き加減で魅惑のプリプリ、ハラミ、カシラは噛むほどにジューシー。山田拓也番長(代表)が芝浦から毎日仕入れるつぶしたてのモツを、スタッフが丁寧に処理したやきとんが評判で、店内は常に混み合う。「蒲田はモツ屋が多いけど豚に関しては負けられないっす」と番長。ヒマラヤ岩塩やスパイス数種をブレンドした塩も、醤油ベースにニンニク、リンゴがたっぷりのたれも各串のおかわりを誘引、そしてビールやホッピーを猛烈に加速!
『やきとん 豚番長』店舗詳細
空間と各皿の華やかさに酔う『Flowers & Spanish Sonrisa』
客を迎えるのは店内を彩る花々。「ここは妻が花屋を営んでいた場所。カウンターの生花は週一、壁などのドライフラワーは3週間に1回ほど、妻が変えています」とシェフの上田光嗣さん。和食経験も長いシェフが手掛けるスペイン料理は、素材の味を生かしたもの。アロスアバンダ(薄焼きパエリア)2618円は甘エビや真鯛の出汁を利かせてあり、旨口のオレンジワインと合い、ついもう一杯。酔うほどに、花の香りや美しさが気分を高揚させてくれる。
『Flowers & Spanish Sonrisa』店舗詳細
小躍りしたくなるラインナップ『大衆酒場ビートル』
蒲田が誇る生レモン酎ハイ、シャリキンホッピーなどの酒場王道から、クラフトビール、440円均一の地酒、フローズン日本酒、やかん焼酎まで揃い、まるで酒の博覧会。しかも、つまみも楽しい。1cmはある分厚いハムカツは見た目以上にボリューム満点。「おもしろいものをしのばせたくて」と、ニヤリと笑う店長の田村大樹さん。ガラス戸から中の風情も垣間見え、女性一人客も家族連れも、ふらり店へと誘われる。
『大衆酒場ビートル』店舗詳細
シャリキンともつ焼きの最強タッグ『もつ焼 煮込み いとや』
芝浦の食肉店から毎朝仕入れる新鮮なモツを、丁寧に掃除し、串打ち。炭火で焼き上げれば、やわらか食感と燻香の奥からガツンと旨味が現れて、喉が酒を欲す。酒はあれこれあるが、ここはシャリシャリに凍らせたシャリキンで攻めたい。しょうがハイは、シナモンなどの香辛料を加えて煮詰めたすりおろしショウガと、強炭酸が相まって、濃厚な口中をキリッとスカッと引き締めてくれる。週末は昼から店を開け、地元客の巣窟となる。
『もつ焼 煮込み いとや』店舗詳細
塩マジックで引き出された鶏の底力『うえ山』
蒲田の名店「なか川」の味を引き継いだ鶏の素揚げの人気店。「鶏は埼玉の鶏屋さんから。そこじゃないと、この味が出ないんです」と、急逝したご主人から味を伝授された植山一江さん。塩をなじませた鶏がパリッと揚げられ、鶏本来のコクとジューシーさに瞠目。スーパードライの中生で口中の脂を拭いながら、誰もが無心で食らいつく。3品を選べるお通しは600円はこれだけでもお酒が進む。
『うえ山』店舗詳細
アットホームな空間で極上焼き鳥を『串焼き 炭心』
備長炭で焼く焼き鳥は、筑波の広大な飼育場で育てた筑波地鶏を使用。大きめカットで食べごたえ満点だ。なかでも、店主の高林正隆さんが「自信あり!」と言うのがレバー。ふっくらと焼けて、臭みもなく、タレとの相性も抜群。鶏肉と鴨肉のミンチ、玉ねぎ、ユズ、タレを混ぜ合わせて手練りする自家製つくねも自信作だ。奥さんと二人で切り盛りしており、すぐに打ち解けられそうなアットホームな雰囲気も魅力だ。
『炭心』店舗詳細
新鮮な鶏肉を存分に満喫せよ『若鳥焼 鳥樹 蒲田店』
注文が入るたびに必要な部位を切り分けて調理するのが、この店の焼き鳥スタイル。生でも食べられるほど鮮度が良い鶏肉なので、看板メニュー「ももたたき」の焼き加減はレア。自家製のポン酢ダレで味わえば、高温でパリッと焼き上げた皮が香ばしく、ジューシーな身は噛むほどに旨味が広がる。むね肉をサッと湯通ししてわさび醤油で食べる「そぎ身のお造り」や、もも、むね、手羽先、軟骨の4種類が用意されているから揚げもおすすめ。
『若鳥焼 鳥樹 蒲田店』店舗詳細
ぜいたくな三枚看板を堪能『梅Q』
釜めし、焼き鳥、うなぎを三枚看板にするこの店は、昭和45年(1970)、東急プラザ別館の誕生とともに開業した老舗。「あきたこまち」をオリジナルの魚介スープで炊く釜めしは、ふたを開けると出汁の香りが鼻をくすぐる。牛肉、エビ、ズワイガニ、ホタテ、ごぼう、しいたけ、錦糸玉子など具だくさんな特製五目釜めしが一番人気だという。また、食事のサイドメニューに焼き鳥を注文できるのがこの店の醍醐味。1本1本店内で串打ちして丁寧に焼き上げており、1本から注文できるのもうれしい。
『梅Q』店舗詳細
飲んべえのランドマーク的大衆酒場『鳥万 本店』
酒飲みなら一度は巡礼しておきたい、蒲田に店を構えて半世紀以上になる名店だ。ボリュームたっぷりの名物・若鶏の唐揚は、最小限のシンプルな味付けでありながら、正統派なジャンキーさも併せ持つ味わい。パリッと衣を突き破ると肉汁があふれ、無我夢中で食べ進めてしまうこと請け負いだ。オムライスや磯辺もちなどの〆料理のほか、刺し身やたくあんなどのつまみも充実している。
『鳥万 本店』店舗詳細
飲みたい人のためのそば酒場『酒呑蕎食 〆 TAGURU』
そば屋で飲みたい夜はここに決まり。店名に「酒呑」とあるとおり、酒を注文するのがルールの店だ。日本酒は、松美酉(まつみどり/松田町)、泉橋(海老名市)、相模灘(相模原市)など、神奈川県の地酒に限ったラインナップ。季節によって変わる酒肴は、なすの揚げひたしや板わさなど、軽めのものが中心。契約農家から送ってもらうソバの実をその日使う分だけ製粉し手打ちするというそばは、十割そばなので本来の味と風味が強く、喉ごしのよさが際立つ。
『TAGURU』店舗詳細
店主が厳選した日本酒でそば前を楽しむ『浅野屋』
コンクリートと白木がつくり出す無機質な外観の店が、日の出銀座商店街の一角にある。創業は昭和35年(1960)、2002年にリニューアル。かつては出前もする昔ながらのそば屋だったが、日本酒とそばを楽しむ店に生まれ変わった。そば粉は北海道産を使用し、つゆは冷たいそばには本枯節、温かいそばには鯖節を中心にだしを取っている。芥子(けし)や柚子(ゆず)など、季節ごとの変わりそばも用意する。メニューには酒の肴も多く、そば前を楽しむ客も多い。
『浅野屋』店舗詳細
朝から公民館で飲んでるような幸福感『信濃路蒲田店』
だしの香りが漂う店内。その奥の席には、朝から一杯やる常連の姿が。「普段、入り口側の立ち食いでそばだけ啜(すす)って帰る人が『今日は休みでやっと奥に来れた』って飲みに来る人もいるよ」と店主の関守(せきまもる)さん。うなぎの串焼きやカレーの頭(あたま)、2~3時間煮込んだ牛スジ、牛バラがやわらかいどて焼き大根をつまみながら瓶ビールを飲めば、幸福感に包まれる!
『信濃路蒲田店』店舗詳細
取材・文=鈴木健太、佐藤さゆり、塙 広明、福井 晶 撮影=山出高士、丸毛 透、オカダタカオ、三浦孝明、加藤昌人、本野克佳、塙 広明、福井 晶