まずはさておき日本酒の楽園へ
B2:酒類・日用雑貨フロア
日本酒党なら素通りできないのが、御徒町駅横にそびえる吉池本店ビル。魚自慢の食料品店だが、まずはさておき酒類売り場へ。エスカレーターに乗ると、早速階下から日本酒の香りがふわり立ちのぼる。地下2階へ降り立てば、蔵元が週替わりで客人を待ち受け、新酒や季節限定酒の味見を次から次へと勧めてくれる。あぁ、ここは極楽ですか?
売り場の中でも圧巻なのが日本酒コーナーで、「全国各地の銘酒を約500アイテム、取り揃えております」と、酒類売り場担当の輿水秀憲(こしみずひでのり)さん。巷じゃ入手困難な地酒も見つかり、誰もが垂涎(すいぜん)。遠方から足を運ぶ人も少なくない。
居並ぶ日本酒の約8割を占めるのが、越後の地酒だ。「うちは新潟の会社」と、専務の小林英典さん。新潟県十日町市出身の創業者を筆頭に、スタッフも新潟出身者多し。越後推しもうなずける。
越後ローカル珍味を探せ!
B1:総合食料品
酒を見繕ったらアテ探し。大正9年(1920)、鮮魚小売店から始まった店だけあって、1階の鮮魚売り場はいつだって大盛況。各漁港直送の天然魚、新潟の県民食・鮭に力を注ぐ。さらに、地下1階の総合食料品売り場も見逃せない。昭和8年(1933)に現在地へ移転し、鮮魚から幅を広げてからというもの、越後製品は増える一方。妙高市伝統の発酵調味料・かんずりに、柏崎市の珍味・鱈(たら)の親子漬、海草のいご草を寒天のように固めた佐渡のいごねりなど、越後珍味がザックザク。鮭の寒風干しや、自社の北海道別海工場で丹精する羅臼産真イカの一夜干しも身が厚い。
9F:吉池食堂
迷いに迷ったら9階の食堂で頭を冷やそう。東京スカイツリーや上野駅を眺めつつ、魚料理や珍味を味見気分で日本酒とやるのもまた楽し。軽く一杯のつもりが、杯が重なってしまうのはご愛嬌。気に入った味を階下で買い足すのも忘るまじ。
「ガード下に、越後の地酒と別海(道東)の幸がウリの吉池直営『味の笛』もありますよ」と、小林さん。あら、もう一杯、ひっかけていこうかしらん。
『食料品店 吉池』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=小野広幸
『散歩の達人』2022年2月号より