心と舌に染み入るフランス料理とワイン『しみいる』【浅草】
浅草寺の喧噪を抜けて、言問通りを横切った「観音裏」と呼ばれる路地の片隅にある。「いい時間が過ごせたと思える店にしたい」というのが椿豪さん、澄子さん夫妻の思いだ。野菜や肉は地産の生産者から、魚介類は大船渡から仕入れる。ソースは優しい味わいで心に「沁(し)み入る」ものばかり。ワインは小規模に生産しているものが多く、「ナチュラルワインの魅力は面白みと個性です」と澄子さん。料理と重なりあい、余韻が浸透する。
『しみいる』店舗詳細
本格料理とワインを立ち飲みで堪能する『富士屋本店 日本橋浜町』【浜町】
渋谷の『立呑 富士屋本店』の姉妹店。店内の黒板には旬の素材を使用したメニューが並び、目移りする。料理はリーズナブルな前菜から高級食材を使ったメインまで幅広く、特に肉料理が自慢。牛舌ハムカツは、厚さ2㎝ほどだが口の中でホロホロとほどける。寒ブリの塩たたきもおすすめで、肉厚なブリの脂とオレンジソースのさわやかさが調和してうまい。充実したワインとともに味わえば幸せな時間が過ごせる。
『富士屋本店 日本橋浜町』店舗詳細
ナチュラルワインと有機野菜使用の料理『Dochaku』【浅草】
浅草の観光地から少し外れた閑静な西浅草にある。1階はスタンディング、2階はテーブル席、3階では酒の販売をし、購入のみも可能だ。料理に使用する有機野菜は、千葉県山武(さんむ)市産で動物性肥料すら使わない。「えぐみが少なく生でもおいしい野菜です」と店主の佐藤シュンスケさん。そんな野菜を堪能するならば有機野菜のせいろ蒸し チーズフォンデュがおすすめ。手頃に飲めて醸しがしっかり効いたオレンジワインも豊富。
『Dochaku』店舗詳細
気分でワインを選びこだわり素材の料理を『カーサ・コボリ』【国領】
ワインは300本近くストックがあり、99%が自然派ワイン。ただし、ワインリストはないので、銘柄を指定したり、「こんなワインが飲みたい」と相談してみるといいだろう。ワインと合わせる料理はイタリアンがベース。ほとんどが手作りで、新潟市の砂地栽培された野菜や群馬県川場村のブッラータチーズなど、小堀辰朗シェフが惚(ほ)れ込んだ素材を使用する。メニューは仕入れにより異なるので、店内のボードをチェックしよう。
『カーサ・コボリ』店舗詳細
自然派ワインと合う好奇心で誕生する料理『よばなし』【西荻窪】
店主の坂口治之さんは割烹で9年、イタリアンで2年半の経験を持つ。「割烹が基本ですが、すべての料理にあえて和出汁を使っていません」と話す。素材を生かす方法は無限だと知り、常に変化する自然な味わいの面白さから、ナチュールワインにたどり着いたという。おまかせの一皿目は前菜盛り八寸を提供。ズッキーニのすり流し、ビーツとゴルゴンゾーラのくず豆腐など、ひねりが利いた料理が並ぶ。
『よばなし』店舗詳細
朗らかな夫婦と自家製のつまみが人気『ワイン食堂ペコリーノ』【浦和】
大きなカウンター席が目を引き、木が醸し出す自然な雰囲気に心安らぐ。自ら腸詰めするというソーセージからボッタルガのパスタに使うカラスミまで、そのほとんどが秋本周平シェフの手作り。フレッシュチーズと、ナッツやハチミツを練り込んだクリームチーズが並ぶ自家製チーズは、濃厚なのに後味さわやか。スパークリングワインや約10種そろうグラスワインと相性抜群。シェフ夫婦の気さくな雰囲気もこの店の人気の秘訣だ。
『ワイン食堂ペコリーノ』店舗詳細
プロが選ぶワインを手作り料理とともに『松澤ワイン食堂』【日ノ出町】
店主の松澤年尋さんは、長年ワインの販売に携わり、質の良いワインをそろえている。ソムリエでもあり、要望にあったワインを提供してくれる。レモンやハーブのようなさわやかな香りと濃厚な口当たりの「チウチウ」白、ドライフルーツやシナモンのような複雑で豊かな香りの「チウチウ」赤各ボトル5489円など、ほかではあまり見られないワインもある。料理は洋風総菜からメインの肉料理まで並び、ワインとのペアリングを楽しみたい。
『松澤ワイン食堂』店舗詳細
自然派ワインとグリル料理の出合い『グリルとワイン COCCIO 831』【船橋】
屋根裏部屋のような隠れ家的な雰囲気がある。地元農家から仕入れる野菜や旬の食材を使用したグリル料理が看板。「じっくりと旨味を引き出すときは厚さ3㎝の溶岩石、香ばしくパリッと焼くならば南部鉄器と使い分けています」と村田雅史さん。柔らかな仔羊を溶岩石で焼いたラムチョップグリルや季節の野菜を使用した季節野菜のバーニャカウダが人気。季節や料理に合わせた自然派ワインは、グラスで1000円以下。
『グリルとワイン COCCIO 831』店舗詳細
素材の力を引き出す料理に感動させられる『りんどう』【西荻窪】
西荻窪の閑静な住宅地にある。店主の櫻井将司さんは、多彩なジャンルの料理経験があり、季節感と食材を大切にし、ナチュラルワインと合わせることをイメージしながら料理を仕上げるという。その一例である白イカのカルパッチョは、シンプルな見た目だが、スダチの酸味と山椒の刺激がイカの甘みを引き立てて、複雑な味わいにワインを求めてしまう。櫻井さんの出身地である長野県の豚肉や野菜などを使った料理も好評。
『りんどう』店舗詳細
日本各地のワインが気軽に料理と楽しめる『ワインカフェ タンブラン』【下北沢】
開店当時から日本ワインのみを扱い、「食と一緒にワインを気軽に楽しんでいただきたい」というコンセプトから「ワインカフェ」と名付けたという。食中酒としてのワインを中心に約100種あり、グラスワインが10種以上そろうので、料理に合わせてチョイスしよう。料理はイタリアンがベースで、醤油を使ったり、油脂を控えたり、野菜を多めにするなど、ワインに合う調理を心がけている。黒板にはその日のメニューがズラリと並ぶ。
『ワインカフェ タンブラン』店舗詳細
工務店の雰囲気の中で珠玉のワインを飲む『有限会社大塚工務店 ワイン事業部』【浅草橋】
店頭には、「作業中」と書かれた三角コーンが置かれ、工事掲示板に品書きと値段が。大塚雅則さんは「亡き父の工務店の屋号を継いで車庫を改装しました。この屋号でいくなら内装もソレ風にしました」と話す。棚には工事用ヘルメット、箸置きはボルトと徹底している。都内フレンチの名店でギャルソンをしていた大塚さんは、ポルトガルの緑ワインや赤の美発泡など、おいしいと感じたマニアックなワインをそろえている。
『有限会社大塚工務店 ワイン事業部』店舗詳細
自然や人にやさしい芳醇な味わいのワイン『泥棒日記』【船橋】
飲食店街「山口横丁」にあるワインバー。日本ワインの誠実な生産者を応援したいと、店主の木村未穂さんが開店させた。「農薬や防腐剤を極力使わない、自然や人の体に寄り添うワインを選んでいます。最近は食用ブドウで作るおいしいワインも!」。ボトルは200種余、なかには千葉県八街市の無農薬ブドウで作られる「いろは」といったものも。料理は佐倉市のエリー農園の有機野菜や県産いも豚など地元食材が主役。
『泥棒日記』店舗詳細
取材・文・撮影=アド・グリーン 撮影=佐藤侑治、岡田孝雄、丸毛透、加藤熊三、アド・グリーン
『散歩の達人 東京名酒場』より