ふくべ

創業から80年以上、徳利の立ち姿すら美しい

いかうに1045円、しめ鯖770円、新島産くさや770円など肴は日本酒に合うものばかり。

縄のれんをくぐり、角の取れたカウンター席に座る。棚には酒瓶や化粧罇が並び“酒欲”を誘う。客の熱気がしみこんだ壁はセピア色だ。「1964年に建て替えた現在の店舗も、年の歩みと共にアメ色に染まっていった」と2代目の北島正雄さん。41銘柄そろう日本酒から、今宵は菊正宗の罇酒770円をぬる燗で。同じく角のとれた枡で正一合を計った酒をあおれば吉野杉の清々しい香りに酔う。東京駅近くに古きよき酒場が健在していることに感謝。

2代目の人柄を慕う客も多い。奥にテーブル席も。

『ふくべ』店舗詳細

住所:東京都中央区八重洲1-4-5/営業時間:16:30~ 22:15LO(土は~ 21:15LO)/定休日:日・祝・第2第4土/アクセス:地下鉄浅草線日本橋駅から徒歩3分

小野屋

日本橋ド真ん中に残る奇跡の角打ち

大女将の新部キイさん。土地柄、品のある酔客ばかり。

看板もない雑居ビルの階段を地下へと下りる。と、コの字カウンターの奥から女将の小倉佳子さんが笑顔で迎えてくれた。「40年くらい前、木造の酒屋をビルに建て替えた際、母と私で店を始めたの」。最初は乾きものと缶詰という純角打ちスタイルだったが、お客の要望で手作りの肴も増加。おふくろの味を片手に缶チューハイを傾ける常連さんは、仲良しで楽しそう。「ここに来る人は役員さんも新入りさんも一緒に盛り上がってくれるんです」。

月花のサバ缶500円。築地で仕入れる刺し身も絶品。
ネギ玉子焼き450円。
女将の小倉佳子さん。

『小野屋』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋1-14-6/営業時間:17:30~ 21:30/定休日:水・土・日・祝(祝日のある週の水は営業)/アクセス:地下鉄日本橋駅から徒歩2 分

江戸政

タタキとレバーは未体験のトロトロ感!

店内には初代の屋台時代の看板も。

3代目の浜名久利さんが立ち飲みの焼き鳥屋を継ごうと決意したのは、2代目が急逝したときだった。「それまで包丁も握ったことないし、レシピも残ってない。試行錯誤の日々でした」。当初は閑古鳥が鳴くも、鶏をたたいたミディアムレアのタタキやフォアグラみたいなふわっふわのレバーが評判を呼び、再び繁盛店に。レバーと心臓の間のツナギという部位を使うフジ360円など1日数本限定の部位もあるので、あったら即追加注文を!

4種盛りセットのひとつ、タタキはミディアムレアでとろとろ。甘辛いタレとワサビが合う。
最初に出される4種盛りセット1250円のハートスタミナ(ハツと胸肉と皮)と焼き鳥(胸肉と皮とネギ)。

『江戸政』店舗詳細

住所:東京都中央区東日本橋2-21-5/営業時間:17:00~ 20:00(土は~ 18:30)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄浅草線東日本橋駅から徒歩6分

八海山千年こうじや

軟らかな水で仕込む淡麗な味わい

酒は60mLから提供。特別本醸造385円、純米大吟醸 金剛心1760円のほか、しぼりたて原酒 越後で候 青ラベル、貴醸酒、普通酒、発泡にごりもある。

直営店はいくつかあれど、カウンターであれこれ飲める日本酒バーは希少な存在だ。本醸造、吟醸などに加え、三段仕込みの最後に、水ではなく酒で仕込む、ほんのり甘い貴醸酒や、発泡にごりなどもずらり。迷ったら、3セットある呑み比べセットで3種を利いて。八海山の仕込み水は、霊峰八海山の伏流水。超軟水ゆえに、すっきりきれいな淡麗旨口になるというが、酒の味の多彩さには驚かされる。また、酒蔵料理もいい。仕込み水と同じ伏流水で育った八海山サーモンや、越後もち豚などが用いられ、酒造りから生まれた麹や酒粕によって旨味を増幅。すかさず杯を傾ければ、酒の底力を思い知る。さらに、壁一面の販売棚には限定酒やあまさけが。見逃せない。

麹漬けお刺身3種盛り合わせ1100円は、醤油麹でマグロを、塩麹で白身魚や八海山サーモンを漬けたもの。八海山ねり粕使用 クリームチーズの味噌漬け715円、特別本醸造 八海山の燗。
呑み比べBセット60mL×3杯1650円は大吟醸、純米吟醸、吟醸。

『八海山千年こうじや』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋室町2-3-1COREDO 室町2 1F/営業時間:11:00~14:00LO・17:00~22:00LO(日・祝は~21:00LO、ドリンクはフードの30分後にLO。販売は10:00~23:00で、日・祝は~22:00)、バーの営業は17:00~22:00LO(土は15:00~、日・祝は15:00~21:00LO)/定休日:無/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩1分

あをによし

奈良の旬菜を用いた創作和食で一献

炙り柿の葉寿司4個780円。

小路にある木造家の暖簾をくぐれば、カウンター席が。眼前に居並ぶ酒瓶は奈良の地酒揃い。アンテナショップ『奈良まほろば館』と連携し、食材はもちろん奈良産。県民のソウルフードである親鶏に、柿の葉寿司、古代日本のチーズ・蘇、1000年前の古代調味料・古代醤、吉野葛など。それを、シェフの戸辺太郎さんが、腕を磨いたフレンチの手法で独自の創作和食へと昇華させる。鶏のゼラチンで作る煮こごりは、トレビア~ン。

酒は90mL500円~(日本酒は550円~)。
左からオーナーの一人・山本浩扶臣さんと戸辺シェフ、日本料理の緑川三良さん。
築60年の建物。

『あをによし』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋室町1-12-14/営業時間:11:30~14:00・17:00~23:00/定休日:日/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩2分

富士屋本店 日本橋浜町

旬の味覚彩る美しい肴がワインと会話を加速

1階は立ち飲み、2階はテーブル席、3階はテラス席。

佐伯英佑シェフが豊洲で仕入れる旬の食材を駆使した料理が、華やかで旨そうで、隣客に「それなんですか?」と話しかける人続出。常連を真似て頼んだホタルイカとハナッコリーのマリネ810円はイカのほろ苦さ、シャキシャキ甘い葉と茎が舌に春の到来を告げる。1階立ち飲みのコの字カウンターは調理場近くが特等席で「あの肉デカッ。何グラムだろ?」と、また隣客と盛り上がってしまうのだ。

真鯛のパイ包み1566円、ハムキャベツ700円。シチリアのオレンジワイン、スケッタ918円などワインは約100種も。

『富士屋本店 日本橋浜町』店舗詳細

住所:東京都日本橋浜町2-24-2/営業時間:17:00~23:00(土・日・祝は16:00~22:00)/定休日:不定/アクセス:地下鉄新宿線浜町駅から徒歩5分

構成=柿崎真英 取材=鈴木健太、佐藤さゆり・髙橋健太(teamまめ) 撮影=木村心保、本野克佳、高野尚人、丸毛透

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