元祖焼酎ハイボールと多彩な創作料理を堪能『三祐酒場 八広店』【京成曳舟】
今では多くの酒場で飲める焼酎ハイボール(酎ハイ)。戦後の復興期に京成曳舟駅近くにあった「三祐(さんゆう)酒場本店」から始まったといわれる。駅前再開発により本店が閉店したあと、その系譜を継いだのが『三祐酒場 八広店』。割り材のレシピと「元祖焼酎ハイボール」の名も継承した。店主の奥野木晋助さんは国内外の飲食店で働いていた経験があり、バリエーション豊かな料理がそろう。この店では、やはり酎ハイで乾杯。
『三祐酒場 八広店』店舗詳細
通人がこぞって通うまさに銀座の隠れ家『大衆割烹 三州屋 銀座本店』【銀座】
1968年創業。路地のさらに奥にあるが、開店から閉店まで、客足が絶えることはない。店内に入ると壁をにぎわすように短冊の品書きが並ぶ。板場を引退した初代・岡田正之さんは今も豊洲の河岸での仕入れを行っていて、鮮魚は新鮮さはもちろんのこと、うまさも抜群。特におすすめなのがマグロで、肉厚に切られるので旨味を実感できる。女性から老紳士まで、相席しながら和気あいあいと楽しめる雰囲気もいい。
『大衆割烹 三州屋 銀座本店』店舗詳細
酒は一人3杯まで。粋に飲みたい人情酒場『まるます家』【赤羽】
昼から飲める飲んべいの聖地・赤羽を代表する一軒。創業は1950年で、常にお客さんや地域のことを優先し、コロナ禍前までは、夜勤明けの人のために、朝9時から店を開けていた。酒は一人3杯(3本)まで、時間は90分というルールも飲みすぎないための心遣いだ。看板料理はうなぎと鯉料理。ウナギは愛知県一色町産を使いながら蒲焼を2300円から提供する。入店待ちの行列ができるのも納得である。
『まるます家』店舗詳細
家庭的な雰囲気の中、日本酒をじっくり飲む『酒処 かみや』【荻窪】
1955年創業で、店名は浅草『神谷バー』から受け継いだという。小山さん親子3代が醸し出す家庭的な雰囲気は、心を和ませてくれる。カウンター上にメニューが並び、新鮮な魚介類を使った魚の数々や野菜の小鉢など、多彩な料理は目移りしてしまう。「量を飲めないけど日本酒の味が好きです」という女将の由香さんが選ぶ「日高見(ひたかみ)」や「天狗舞」、創業当時からの定番「高清水」など、じっくりと日本酒が楽しめる。
『酒処 かみや』店舗詳細
個性的な酒肴と元祖酎ハイを合わせる『東邦酒場』【立石】
創業60年以上、2018年にお花茶屋駅から立石へ移転後も変わらず連日にぎわう老舗酒場。この店の名物といえるのが、すっきりとして飲みやすい元祖酎ハイ。何度か訪れている酎ハイブームのはるか以前から人気になっている。もつの串焼きや煮込みとともに下町の味を堪能しよう。この店オリジナルのゴニラは火を噴くような辛さがクセになるニラのおつまみ。プリッとしたレバコロステーキもぜひ味わいたい。
『東邦酒場』店舗詳細
八丁堀の路地奥で酔客の喧噪(けんそう)が心地いい『食事処いち』【八丁堀】
入店するとウェルカムビールがグラスで出されるので、まずは喉を潤そう。店主の武田芳明さんは「築地場外市場には、自分と同じ銀座中学校出身の知人が多く、いいものを仕入れやすいんです」と話す。おすすめの生本マグロブツは、大トロに近い部位も食べられるお得な一品。干物の名店『銀座伴助』から仕入れるホッケ塩も肉厚で最高だ。常連も新規も関係なく一緒に楽しく飲める昭和的な雰囲気なので、心地いい時間を過ごせる。
『食事処いち』店舗詳細
こだわり焼き鳥を求め行列ができる人気店『いせや 総本店』【吉祥寺】
井の頭公園の近くにある昭和3年(1928)創業の老舗焼き鳥店。ひなどり、つくね、タン、ハツ、シロなど、12種類ほどある串焼きは1本100円という毎日通いたくなる価格設定。前身が精肉業者だけあって、肉の品質と味は折り紙付き。串焼きのほか、醤油風味のあっさりとした煮込みをはじめ、多彩なメニューがそろっている。店内は、1階のカウンター席とテーブル席、2階の座敷で自慢の焼き鳥と酒を堪能できる。
『いせや 総本店』店舗詳細
2代目が作るキーマカレーが看板『伊勢元』【三軒茶屋】
1964年創業で、酒場が多い三軒茶屋でも老舗格。アナウンサーでもある店主の中村義昭さんが、母の後を継いで、先代の味と魅力的な雰囲気を残している。自身が好きな三重の地酒「作(ざく)」や、10数種類のスパイスを使ったキーマカレーを新たな看板メニューにしたという。昔ながらのもつ煮込みも名物で、「常連さんは先代の味だと言ってくれます」と話す。軽く飲んで、締めはカレー。これがこの店流の過ごし方。
『伊勢元』店舗詳細
新しい大衆酒場の魅力 地元酔客が昼から憩う『大衆酒場 増やま』【船橋】
代表の村田良介さんは大衆酒場が大好きで、「若い人にも暖簾(のれん)をくぐってほしい」と2015年に創業。今では、昼からにぎわう人気店となっている。肉豆腐やイワシ刺といった定番メニューのほかに、アボカド天ぷらといった若者ウケする品書きにも思わずそそられる。コの字型のカウンター内には「金宮」のおびただしいボトルキープがあり、ミントが香るモヒート割でも楽しめる。敷居は至って低いので、一人飲みでもなじんでしまう。
『大衆酒場 増やま』店舗詳細
取材・文・撮影=アド・グリーン 撮影=加藤熊三、井上洋平、岡田孝雄、本野克佳