高田馬場の7月で閉まるという「吉田屋そば店」で天ぷらそば。
始めてここで食べたのは早稲田予備校の夏期講習に通う高校生の頃。「たぬきそば」を食べた記憶。35年くらい前。
それからは乗り換える時、なんとなくここでな気分な日に立ち寄り「天ぷらそば」を食べて来た思い出。
高田馬場の改札を抜けて横断歩道の先の大きく学生ローンの看板がのる下に江戸前「幸寿司」の看板。その下に朝6時半から13時半まで掛かる立喰そばうどんの暖簾。
1947年に創業した「幸寿司」の親父が朝と昼は立ち食いそばだと1976年に始めた二毛作の走りのお店。娘さんが切り盛りし走り続けた46年。
そんなこの場所がここいらの再開発で7月末で閉店になるという話を聞き、のんびりと出社する休日出勤の前に立ち寄る。
改札を出て、横断歩道を渡り、暖簾をくぐり、「天ぷらそば」とお願いするいつものルーチン。
ほんとに小さな厨房と添うLのカウンターのお店。厨房にはいつもの紫に染まる髪の姉さんでなく、娘さんかのような女の子。
それでもバッグをどこに置こうかとごそごそとしていると、「お兄さんカウンターの下にフックがあります」とここの気遣い。
壁に貼られる財布、スマホ、傘忘れないでねのやさしい言葉。ずっとそんなお店。
娘さんのバックに控え手伝う爺さんは御大か、いや姉さんの弟さんか。
覗く調理場に整い並ぶ天ぷらと揚げ玉とお揚げと煮卵などの具。いつのも景色。前金を受け取り、ソバを湯がき、天ぷらとねぎを乗せ、お釣りを手渡し、汁をかけ、ほぼ秒殺で配膳。
どっしりと大判の天ぷらがのる真っ黒な汁のいつものそば。七味をかけ、箸を割りいただきます。
まず天ぷらを汁に沈めてから啜る汁はほんのりと出汁が薫る濃いめの醤油。アツツとじんわり喉と胃に染みる。
そんな汁を吸いふわふわになる玉ねぎとか人参とかが織り交ざるたっぷりのころもで包まる天ぷらを頬張るしあわせ。
「むらめん」の茹でそばはもう少し湯がいても良いのではないかなと思うもっさりとしたいつものそば。
センチに浸る間もなくただいつものように食べ終えてご馳走さま。気持ち良くありがとうございましたと見送られ街に戻る。
いつかここでお寿司の夢は果たせず終うのか。
今までありがとう。